今回は、一昨年の11月に取材で訪問したエナジーハウス(文京区千駄木)が地域交流活動の一環として主催している精神保健福祉講座(地域居住者・関係機関向け勉強会)の活動現場に伺った模様をお伝えします。
エナジーハウスが行う精神保健福祉講座は、今回で14回目となります。

このイベントは、地域の支援者の方々に、メンタルに関する病とそれを抱えて生活することをより具体的に理解してもらうために、毎回工夫を凝らした内容で行っています。今回は、エナジーハウスに長年通っている当事者の方の体験エピソードの紹介を中心に、茶話会やエナジーハウスのプログラムで製作した手芸品などの展示販売会も行われました。

(セミナー中の模様

(セミナー中の模様

 


 

【ご協力頂いた方】
〇特定非営利活動法人エナジー本舗 代表理事 行成 裕一郎 様
【取材場所】
〇特別養護老人ホーム 千駄木の郷(住所:東京都文京区千駄木5-19-2)
【訪問日時】
〇平成30年11月18日(日)14時~

エナジーハウス主催「精神保健福祉講座」について
エナジーハウスは、障害を持つ地域の人たちの居場所である「地域活動支援センター(Ⅱ型)」として、障害者総合支援法のサービスなどを提供しています。同サービスでは、地域の方々との交流・支援活動が不可欠なため、事業運営で関わりのある方或いは、エナジーハウスのサービス展開に興味のある方々を対象として、定期的に地域向け講座(勉強会)を開講しています。

第14回目の講座開催となった今回は、エナジーハウスの開設当初よりメンバーとして参加されている当事者の方が、講師として入退院を経験した際のエピソードを語ってくれました。

●イベント概要
○日時:平成30年11月18日(日) 14時~16時
○千駄木の郷1階 ラウンジ「ラン」
○主催:エナジーハウス(特定非営利活動法人エナジー本舗)
○対象者:日頃の支援活動で関わりのある地域の方(定員30名)

当日のプログラム
○第一部:「エナジーハウスの紹介・講座の趣旨について」
○第二部:「精神の病を抱えて生きる事」エナジーハウス利用者を講師に迎え
○第三部:「茶話会」コーヒーをのみながら質疑応答

(今回のイベント案内)

(今回のイベント案内)

 

病をかかえて生きること
今回の精神保健福祉講座のテーマでは、病をかかえて地域生活を送る際の当事者の心情を理解してもらうために、本人が体験した「入院前の他者へのとらえ方と退院・在宅復帰後の心境の変化」を講師の方に語ってもらいました。お話は講師と支援者の一人であるエナジーハウスの担当職員とのトークセッションの形式で行われました。

病をかかえて生活している当事者の方にとっては、地域の様々な専門職だけでなく身近な住民の方々の支援ネットワークの存在が重要になります。この講座を通じ、来場者の方にもその大切さがリアルに伝わったと思います。

●入院前の心境
講師の方は、エナジーハウスでの活動のほか、ヘルパーのサポートを受けながら積極的に地域活動(各組織の役職など)を行っていました。そのため、友人知人も多く活発な地域生活を送っていましたが、活動過多などから体調を崩し、その後短期の入院生活に入ることになります。
この当時、本人をサポートする人達の存在に対しては、特定の親しい人を除き気持ちの中に上下関係があったと回想されました。

●退院を経て地域生活に戻った現在の心境
入院中は考える時間も多く、地域の支援者に対する考え方が変わったそうです。上下関係の概念から「支援者は自分の生活を応援してくれる対等な存在」として、その価値を認める気持ちになりました。
現在では、自身でクライシスプラン(様態急変時の連絡先・手順などの管理計画書)を作るなど体調管理を行いながら、これまで同様様々な活動も再開され地域生活を順調に営んでいます。
また、入退院~地域生活への復帰を経験して「入院は特別なものではない」とイメージ出来る様になりました。

(会場となった「千駄木の郷」の外観)

(会場となった「千駄木の郷」の外観)

 

様々な意見が交わされた茶話会
第三部の茶話会では、コーヒーを飲みながら意見交流などが行われました。参会者から講師の方に対し、「地域生活を続けて行くうえで重要なポイントは?」「支援者への想いは?」「今後の目標は?」など多くの質問が多く寄せられ、熱気のあるプログラムになった印象でした。

エナジーハウスにおいては、今後も精神保健講座を続けて行き、積極的な地域との交流を図っていく予定です。

(工芸品の展示販売会で出品されていた本革製のコースター)

(工芸品の展示販売会で出品されていた本革製のコースター)

 

文責:中央支部広報公益委員会