今回は、区民館や区立住宅などで構成される、京橋プラザ(中央区銀座1丁目)の3階に構えている「一般社団法人中央区観光協会」を訪れ、昨今のインバウンド需要の高まりや、数々の体験型交流イベントの実施を通じて見えた、中央区内における観光需要などについてお話を伺って来た模様をお伝えします。
中央区観光協会では、情報発信にとどまらず、江戸の伝統や下町文化をはじめとした数多くの資源をベースに、観光需要を盛り上げるため、自ら数多くの事業を展開しています。
【ご協力頂いた方】
○一般社団法人中央区観光協会
事務局長 斎藤 裕文 様
管理課長 三浦 裕伸 様
○中央区観光情報センター
所長 奥山 徹 様
企画課 課長 吉田 梢 様
【取材場所】
○一般社団法人中央区観光協会事務局(東京都中央区銀座1-25-3 京橋プラザ3階)ほか
【訪問日時】
○令和元年10月16日(水)AM10時30分~
■中央区観光協会とは?
一般社団法人中央区観光協会は、1959年(昭和34年)4月に任意団体として発足しました。
活動の理念には、「魅力の向上」「地域の活性化」「誇りと愛着をもてる街づくり」などを掲げ、中央区内にある豊富な資源を活かし、観光事業の振興に関る多くの事業を手掛けています。
活動原資は、趣旨に賛同する団体や個人会員からの会費と、中央区からの補助金等になります。また、2016年(平成28年)4月には、一般社団法人として新たな一歩を踏み出し、活動の幅を広げています。
●組織概要
○名称:一般社団法人中央区観光協会
○設立:平成28年4月1日(団体設立 昭和34年4月1日)
○所在:〒104-0061 中央区銀座1-25-3 京橋プラザ3階
○交通アクセス:東京メトロ有楽町線新富町駅 2番出口 徒歩5分/都営地下鉄浅草線宝町駅 A1出口 徒歩3分
○電話:03-6228-7907 ○FAX:03-6228-7908
○ホームページ:【リンク】中央区観光協会公式WEBサイト
●主な活動内容
区分 | 事業名 |
PR活動 | 観光ガイドマップの発行 |
中央区観光地図アプリ「中央区街歩きマップ」の配信 | |
観光協会WEBサイトの運営(SNS含む) | |
観光協会ニュースの発行 | |
中央区観光情報センターの運営 | |
イベント実施 | 中央区観光写真コンクールの実施 |
中央区観光大使・ミス中央選考会の実施 | |
中央区観光検定の実施 | |
ツーリズム | 市場橋駐車場の運営 |
「わくわくツアー」の実施 | |
観光特派員の活動 | |
観光ボランティアガイドの紹介 | |
お江戸満喫まち歩き(旅行会社向け) | |
オリジナル商品の販売 | オリジナル切手の販売 |
オリジナルポストカードの販売 | |
オリジナル風呂敷「千社札ふろしき」の販売 | |
JAPAN・FIRSTS(大判風呂敷)の販売 | |
オリジナル手ぬぐい「ACROSS・CLOTH」の販売 | |
江戸文字ぽち袋の販売 | |
東京くみひも拍子木の販売 | |
千社札名刺入れの販売 など |
■国内外の観光動向と中央区における観光振興
●2018年の訪日外国人旅行者数は3,119万人(対前年比8.7%増)
2018年の訪日外国人旅行者数は、2017年の2,869万人から250万人の増加となりました。訪日外国人旅行者数の内訳をみると、アジアからの来訪者が2,637万人(全体の84.5%)となっています。
一方、2018年の日本人旅行者数に目を向けると、「海外旅行者数は1,895万人(前年比6.0%増)」で3年連続の増加、「国内宿泊旅行延人数は2億9,105万人(日帰り旅行延人数は2億7,073万人)」となりました。
また、観光白書では、今年度国が講じようとする主な施策を、次の通りとしています。
① 外国人が真の意味で楽しめる仕様に変えるための環境整備
② 地域の新しい観光コンテンツの開発
③ 日本政府観光局と地域(地方公共団体・観光地域づくり法人)の適切な役割分担と連携強化
④ 地方誘客・消費拡大に資するその他主要施策
●「中央区観光ビジョン」に基づいた観光振興の推進
中央区では、観光分野に関する国の新成長戦略と歩調を合わせ、2012年~2022年までの概ね10年間を対象期間とした「中央区観光ビジョン」を2012年に策定しました。
ここでは、「歴史と未来が交差する『都市観光のまち』へ」を基本理念とし、5つの目標を実現させるための戦略が示されました。
この施策の一つに、単なる観光案内所ではなく新しい観光拠点の整備が掲げられており、これを具現化したものが、再開発ビルとして2016年10月に完成した「京橋エドグラン」の地下1階の中央区観光情報センターになります。
■中央区観光情報センターについて
●「和+モダン」をテーマとした空間デザインが施設コンセプト
中央区観光情報センターは、多言語による観光案内や地域の観光情報の集約・発信を行う機能を備えた観光情報提供の拠点として、2016年11月にオープンしました。
同センターの営業時間は、午前9時~午後9時まで(ビルの休館日等を除き年中無休)となっており、英語・中国語をはじめとした、バイリンガルなスタッフの方が応対しています。
立地は、東京メトロ銀座線「京橋」駅に直結しているため、来場者数も非常に多く、2018年度では、年間のセンター利用者数が65,000人に上りました。
同センター内には、自由に観光情報を検索できる端末の設置をはじめ、無料Wi-Fi(公衆無線LAN)環境の提供・無料のスマホチャージ機器利用や、着物やゆかたの着付けが無料で体験できるコーナー、折り紙や書道の体験コーナーなどもあります。
着物コーナーは、特に海外からの旅行客の方々からの人気が高く、月間100名の利用実績の月もあります。
また、センターの空間デザインコンセプトである「和+モダン」の内装や運営コンセプトは、内外からの評価も高く、全国の団体や学校などからの視察依頼が多く寄せられています。
●オリジナルグッズの販売や旬なイベントの特設コーナーも設置
中央区観光情報センターでは、伝統工芸品やオリジナル商品の販売も行っています。
その中の一つである「オリジナル千社札風呂敷」には、中央区の全37の町名とそこにちなんだ図柄が千社札に描かれています。中央区らしい”粋”で素敵なデザインとなっています。
その他、旬なイベントのコーナーとして、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」や「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」の特設コーナーも備えられており、これらのオリジナル商品も販売されています。
【リンク】中央区観光情報センター案内WEBページ
■楽しく参加できる各種ツーリズムやイベント
●見つける新しい中央区「わくわくツアー」
中央区観光協会の人気プログラムの一つです。厳選した文化財や歴史スポット、お店等を紹介しながら区内をめぐり、街の魅力を発見するまち歩きツアーです。
コースは、中央区文化財サポーターが案内する「文化コース」、中央区観光協会特派員が案内する「産業コース」と「まち歩き産業コース」があり、中央区が大好きなボランティアの皆さんが案内します。
《プログラム概要》
○開催期間:2019月7月5日(金)~11月30日(土)
○参加費:各コースお一人様500円
○申込方法:往復はがき(パンフレット備付)またはインターネット
○コース内容:文化コース「銀座のレトロ・モダンな建物巡り」ほか/産業コース「日本橋北詰 老舗巡り《食編》」ほか/まち歩き産業コース「人形町界隈のまち歩きと『人形焼き 板倉屋』・『手焼きせんべい 草加屋』」ほか
●力作の揃う「中央区観光写真コンクール」
中央区観光協会の代表的なイベントの一つです。中央区観光写真コンクールは、単に写真技術を競うのではなく、中央区の観光スポットを紹介し「中央区の素晴らしさ」を知ってもらうことを目的としています。前回からは、プロの方も応募できる様になりました。
賞には、「中央区観光協会会長賞」、「中央区長賞」、「特選」、「入選」、「中央区観光協会賞」があります。
《イベント概要》
○題材:第67回中央区観光商業まつり期間中の各種行事/祭りなどの伝統的行事その他
○写真サイズ:プリント単写真で四つ切り(郵送)/JPEG形式で10MB以内(HP)
○注意事項:平成31年1月12日から令和2年1月9日までに撮影した未発表の作品に限る/応募は1人5点まで/入賞作品の版権、著作権は中央区観光協会に帰属 ほか
○応募方法:郵送またはホームページから(期限:令和2年1月9日(木曜日)午後5時まで)
○入賞作品の発表:入賞者のみ令和2年2月中旬ごろに通知/入選作品は区役所ロビーで展示するほか、観光関連事業へ画像の貸し出しも行っています。
●魅力や観光資源を再発見できる「中央区観光検定」
中央区観光検定は、江戸以来培われてきた歴史や文化・伝統、名所・旧跡、江戸っ子気質の残る下町情緒などの幅広い分野を学ぶことによって、中央区の魅力ある観光資源を再発見していただき、より多くの方々に「中央区のファン」になっていただくことを期待するとともに、区民の方々には、郷土に対する誇りをもっていただくことを目的として実施しています。
合格者は、観光ボランティアに申し込め、さらに得点上位の方には観光協会特派員にも登録できます。
【リンク】中央区観光検定公式ホームページ
■課題と今後の展望
●2020年とその後観光振興や地域観光の担い手育成
中央区観光情報センターにおける課題は、窓口やWEBでの利用促進が挙げられます。そのため、東京メトロとタイアップしたプロモーション等を通じて、今後も拠点としての魅力アップの取組みを実施していきます。
また、中央区観光協会としての主な施策では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手や関係者と観光客に向けた観光情報を発信し、2020年以後にも繋がる新たな事業を提案していきます。
その他の重点施策には、観光ボランティアの確保と育成があります。
中央区観光協会では、今後も観光ボランティアの募集を継続し、国内外の観光客に対応できる担い手になれる様に「おもてなし」や「ガイド」に必要な各種講習を実施していく予定です。
~誰でも笑顔になれる中央区を目指して~
(文責:広報公益委員会)