今回は、前日訪問させて頂いた「武蔵野市立高齢者総合センター」所長からご紹介頂いた街づくりの一環である地域活動で活躍されている現場にお邪魔させて頂きました。今回の御縁で、今後も地域活動の現場取材継続させて頂くことになります。ありがとうございます。

えかったハウスは、①都心の空き家再生 ②生産性を失った人間の再生 という2つの大きなテーマを理念として運営しているコミュニティ・カフェ(地域寄合所)です。

街づくり、特に都市空間の(再)活性化には、ハードとソフトの両方をマネジメントしなければ達成できないことが知られてきていますが、今回の事例では上記2つの目標達成のために、「お金を掛けすぎない」「事業として自立させる」ことをコア・コンピタンス(核となる能力・行動規範)としている点が他との最大の違いと魅力ではないかなと感じさせられます。

【取材に協力頂いた方】

○医療法人社団医輝会理事長 東郷 清児 様

○上田学園講師・作庭家 當山 泰 様

○西久保福祉の会会長 鈴木 佳与子 様

■ えかったハウスとは?

今年(平成27年7月4日)オープンのコミュニティ・カフェです。

えかったハウスは、「尊厳ある生活を送るために、地域のつながりを推進する多目的連携拠点の家屋」を目的とし、高齢者・病気や障害を持った者・その他老若男女が既成の福祉制度に囚われないで自由に集い、自立した社会生活を送る支援をする場です。

形態は、カフェですので基本的には軽飲食サービスを生業とし、そこに交流所機能と人材教育訓練機能を付加しています。

名前の「えかった」とは、「生まれてきて、えかった(よかった)」をキーワードにしたそうで、だれでも参加型の交流の場が「えかったハウス」となります。

【えかったハウスの概要】

○名称:Ecatta House One(1号店)

○住所:東京都武蔵野市西久保2-17-12(JR三鷹駅から徒歩14分)

○事業内容:軽飲食業・地域交流所

○運営者:有志連合(在宅療養支援診療所の医師・フリースクール講師・学生・一般社会人等)が創設した任意組織

○開設時期:平成27年7月4日

(小)IMG_1368

(カフェの内部:この日はオープン準備中でした)

(小)IMG_1369

(カフェの外部:ウッドデッキ)

■ えかったハウスの特徴

1.ハード面

○標準的な既存の一軒家を改修利用。元々は、発起人のドクターがクリニック(在宅療養支援診療所)として運営していた一軒家をカフェに改修。

○土地建物は賃貸だったため、オーナー及び管理の不動産会社への事業内容の説明に日参し同意を得たとのこと。同様に、飲食業届出のために保健所ほか管轄の役所の諸手続きも苦労を経て完了。

○リビング・ダイニング部分をカフェに変更し、庭部分にテラス・ウッドデッキを増設。2階の居室部分は、交流所又は終末期の在宅療養患者の居所として活用。

○車いす利用の来客対応のためのバリアフリー改修や、ペット同伴の来客のためのペット用レストスペースの設置など工夫を実施。

2.ソフト面

○従業員(週一回程度のパート勤務)は、現在8名が在籍。募集採用は、すべて口コミで実施。

○スタッフには、大きなテーマの一つである「生産性を失った人間の再生」の実践として、ドクターの患者でちょっとした経緯からうつ病を患ったために勤務先を退職した人などで、運営の趣旨・理念を伝えたところ、共感を得活動の参加に至った者もいる。

○引きこもりなどの者が、小規模なカフェで仕事に従事することによって、人間交流に徐々に慣れて、ゆくゆくは一般社会で活躍するように支援する訓練の場としての機能も有している。

○来客は、地域の幅広い世代・背景の方を想定。高齢者で、デイサービスなどの既成の制度に窮屈感を感じた要介護の方・その他単に日中居場所がない方・近隣のマダムetc.様々な方が自由気ままに立ち寄れるカフェとして運営。

○2階部分には既存の居室があり、そこを医療・介護従事者のミニ研修の場としての貸出しや、ターミナルケア(終末期医療提供)の場として患者のショートステイ利用も想定。同様に、子供が小児疾患で常時介護が必要な親族へのレスパイトケア提供の場としての利用も想定。

●【PDF】えかったハウス説明資料

●【PDF】えかったハウスパンフレット

3.新しいコンセプト

○これまで、地方自治体(市区町村)や地域社協主導の地域交流事業では、既存の制度・自治体からの補助の制限を受けるため、自由度の高い運営は難しかったが、自治体から補助に頼らない経営を(独立採算性)を標榜し、自由度の高い運営を目指している。

○当事業には、地区社協の市民団体も全面協力し、ありがちなトップダウン方式ではない「自然発生的な支援体制」が整備されている。これは偏に、地域住民の1対1の交流が広がっていった賜物である。

■ 経営の方針

「お金を掛けすぎない」の行動規範の柱のひとつとしているので、リフォームは内装・軽微な設備の改修程度に留まっています。幸いなことに、スタッフの中には元ケーキ職人や調理師の方もいらっしゃるそうで、外部人件費のコスト低減にも貢献しています。

「事業として自立させる」に関しては、今回のプロジェクトの成功が、ビジネスモデルの発展⇒益々の地域活性化の促進に繋げたい想いがあるので、1号店(今回のカフェ)の事業成功が大切だということです。収益の安定までは試行錯誤が続くと思われますが、「対象者とサービス内容を踏まえてあくまで適正な対価の収益を得て事業を継続させる」考えを持っています。

真の地域福祉の発展と継続に、適正な収益の獲得のロジックを持っているところに説得力を感じます。

また、カフェが地域交流の活性化を理念としているので、カフェ単体で事業成功をゴールとはせず、積極的に地域を巻き込む狙いがあります。地域住民に(半ば強制的に?!)参加してもらうことで「当事者意識」を植え付けることが目標です。行政主導型ではない地域交流事業は珍しく、既存の社協等が自主事業を支援するという事例は、実は多くありません。

■ 今後の展望は? 

カフェの名前に「1号店」を付けている通り、2号店~3号店…と増やしていく計画とのことです。その他1号店の収益安定化のために、団体への一括貸し切や夜の部でのアルコール提供等も視野に入れているそうです。

また、来年どう発展したかをのぞかせて頂きたいなと思いつつ、今後の事業成功を祈っております。

(小)IMG_1367(東郷様(左)と當山様(右))

~誰でも笑顔になれる中央区を目指して~

文責:中央支部広報委員会