今回は、これからのまちづくりを担う若者が集う福祉教育の現場に伺ってきました。

将来福祉の専門家として地域で活動する事を目指している学生や、他の分野に進みつつも福祉専門科目を自己研鑽の為に受講している学生など、様々な目的を持った方々が集まる授業に、ゲスト講師として参加して参りました。

学生達が、「これから社会人になってどんな専門性を持って(目指して)地域へ出ていくのか?」について、授業内で簡易なアンケート調査を行い今の考えを伺いました。未来のある学生達が、志高く今後の日本社会を牽引してくれることを願うばかりです。

●東洋大学朝霞キャンパス(中庭より)

●東洋大学朝霞キャンパス(中庭より)

【ご協力頂いた方】
○東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科 准教授 早坂 聡久 様
【取材場所】
○東洋大学朝霞キャンパス(埼玉県朝霞市岡48-1)
【訪問日時】
○平成29年1月10日(火)14:00~

■東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科について

今年の箱根駅伝で総合二位に入りその強豪ぶりの印象が大きい東洋大学ですが、全学生数は30,556名(2016年5月1日現在)・11学部44学科と規模も大きい総合大学です。
また東洋大学は、明治20(1887)年に「私立哲学館」として、井上円了博士により創立され、哲学の普及を実践してきました。東洋大学の教育理念は、「自分の哲学を持つ」とした人間育成です。
今回伺ったライフデザイン学部生活支援学科では、ライフスタイルの多様化が進む現代社会における生活や健康の変化に対応するアプローチ方法等を具体的に学びます。生活支援学科には、生活支援学専攻と子ども支援学専攻のコースがあります。

今回の授業は、「社会福祉施設管理論/福祉サービス運営論」の授業内での特別講義でしたが、このテーマ全体では秋学期内で全15回の授業があります。出席の学生には、2年生から卒業を間近に控えた4年生も受講する等幅広い年次の参加者がいます。

「福祉サービス運営論」授業内での講義

福祉サービス運営論では、福祉サービスの経営について様々な視点に立ち専門性を習得する事を目的とした授業です。本講では、人事労務・財務などの経営管理から地域社会との交流までに至る幅広いテーマを学びます。今回は、「ダイバーシティ・マネジメントを取入れた実践モデルの事例紹介」の内容で講義を行って参りました。

授業内アンケート(学生達への質問)結果について

アンケートでは、将来自身が進むべき道や目指したい専門分野について質問致しました。授業には2年生から4年生までの学生が出席しているので、現在自身が置かれている環境で考え方に差が出るのではないかと予想されましたが、質問の大きなテーマとしては「福祉専門者としての仕事について」にフォーカス致しました。

【アンケート調査の概要】
○実施日:講義当日
○調査方法:学内専用インターネットサイト(東洋大学授業支援システム「ToyoNet-Ace」)に質問項目を掲示し回答を得た
○調査対象:福祉サービス運営論(秋学期)受講生徒
○回答率:95.48%(総数133・回答数127)

【質問項目と回答】
1.入学当時と比べ、自分の「職業としての福祉分野」に対するイメージは強くなりましたか?

強くなった 弱くなった 特に変わりない その他 無回答
88 5 34 0 6

2.今後福祉分野における研究者・実務者としての自分自身はどのタイプになると思いますか?

福祉分野の研究・実践を深める道を進む 福祉分野に加え他の分野も合わせて研究・実践する道を進む 職業では、福祉分野と異なった道を進む その他 無回答
43 53 31 0 6

3.現在既に福祉分野における研究者・実務者として希望する形はありますか?

特にない ある 模索中 その他 無回答
48 20 59 0 6

質問1の職業としての福祉分野に対するイメージについては、「強くなった」が最も多く(69.29%)過半数を超え約70%に近い回答となりました。次いで「特に変わりない」(26.77%)となっており、「弱くなった」は回答のあった項目では最も少ない結果となりました(3.97%)。

質問2の今後福祉分野における自身のタイプについては、「福祉分野に加え他の分野も実践」が最も多かった(41.73%)ですが、次点の「福祉分野を深める」の回答も30%を超えた結果(33.85%)となりました。その他「福祉分野以外の道を進む」の回答も決して少なくない結果(24.40%)となっており、ある程度方向性の分散が見られました。

質問3の福祉分野における希望の形については、「模索中」が最も多く(46.45%)半数に近い結果となりました。次点の「特にない」も40%に近い結果(37.79%)となっており、現時点での明確な形が決まっていない回答の両項目合わせると、80%を超える結果(84.25%)となりました。一方、「ある」の結果も一定数あり(15.74%)、割合としては少ないながらも、明確な希望を持つ回答も見られました。

●授業中の様子①

●授業中の様子①

授業中の様子②

●授業中の様子②

今回の授業参加を通じて学んだこと

今回の授業を通じ、福祉専門教育を受けて、様々な形で今後地域へ飛出す学生の皆さんの”現在地”を窺うことが出来ました。アンケート結果のからわかる様に、福祉教育を行けながらも福祉以外の分野も志す方も多く、幅広い視野のある彼らが今後現実社会で活躍していく姿を想像すると、住まいや暮らし等の生活支援では、福祉専門性が果たす役割の可能性と責任が大きいのではないかと改めて気づかされました。

 

文責:中央支部広報委員会