今回は、文京区を拠点に活動する人たちが、「まちでしたいこと」「まちの困りごと」を共有し、コラボレーション基盤になることを目指す「文京まちたいわ」のネットワーク有志の実行委員会が開催した地域交流イベント(文京まちたいわフェス2018)の模様をお伝えします。
このイベントは、2月10日(土)からの3連休を利用して開催されました。

取材当日は、「文京まちたいわフェス2018の中日にあたり、3日間開催されたフェスの中心的なイベントとなる「みんなで文京まちたいわ(対話・参加型のイベント)」で、地元の老舗旅館を会場とし、日頃地域活動を行っている方々の情報共有と地域支援についてより一層共に考える場となりました。

当日のコンセプトは【「旅館×地域」のアイデアソン】ということで、参加者の皆さんから様々なアイデアが提示されていました。また、今回の形式では初めての試みで、(まちたいわフェス)実行委員の「年1回ぐらいは大・ホームパーティーのようなことしよう!」とのメッセージが込められています。

●最後にみんなで撮った集合写真

≪最後にみんなで撮った集合写真≫

 


 

【ご協力頂いた方】
○株式会社 鳳明館 代表取締役社長 小池 邦夫 様
○鳳明館森川別館 女将心得 大曽根 美代子 様
○介護家族キャリアカウンセラー
(文京まちたいわフェス2018実行委員長) 都丸 光子 様
○株式会社エンパブリック 代表取締役 広石 拓司 様
【取材場所】
○鳳明館森川別館(住所:東京都文京区本郷6-23-5)
【訪問日時】
○平成30年2月11日(祝・日)13時~

文京まちたいわとは?
取材したイベント「みんなで文京まちたいわ」とは、3日間を通して行われる「文京まちたいわフェス2018のプログラムの一つで、中日(2月11日・祝)に開催された地域交流イベントです。
会場の鳳明館を舞台に、「旅館という空間を、より地元に役立てるには?」をコンセプトにしたアイデアソン(*)を取入れており、第二部のグループワークでは、急造チームのメンバー同士でアイデアを出し合い、評価を競い合うプログラムを実施しました。

「文京まちたいわ」は、法定組織ということではなく、誰かに困り事があった時に声をかけあえる任意のネットワークで、40以上の活動団体・個人が参画しているオープンなつながりの「場」、ソーシャルネットワークとも呼ばれるものです。

*【アイデアソン:Ideathon】アイデア(Idea)+マラソン(Marathon)の造語で、特定のテーマについて多様なメンバーが対話を通じてアイデアを出し合うイベントのこと。

●文京まちたいわフェスイベント案内

≪文京まちたいわフェスイベント案内≫

 

●イベント概要
○名称:文京まちたいわフェス2018「みんなで文京まちたいわ」
○主催:文京まちたいわフェス2018実行委員会(協力:鳳明館森川別館)
○目的:地元を拠点に活動するひとたちが、「まちでしたいこと」「まちの困りごと」を共有し、各々のコラボレーションの基盤づくりを目指すつながりの場の形成。
≪リンク≫文京まちたいわFBページ

【第一部】
・「鳳明館森川別館」建物の紹介/歴史の解説
…㈱鳳明館 代表取締役社長 小池 邦夫 氏
・「鳳明館森川別館」建物の内覧会
…案内:鳳明館森川別館 女将心得 大曽根 美代子 氏
・認知症高齢者への支援と地域イベント(RUN伴)の紹介
…㈱ケアワーク弥生ユアハウス弥生課長 金山 峰之 氏
・文京ソーシャルイノベーション・プラットフォーム(地域課題に取組む協働)の勉強会
…広石 拓司 氏
【第二部】
・グループワーク(各班に分かれたアイデアソン及び発表会)
【第三部】
・懇親会
【同時開催】
・千石の「おもちゃ図書館」による出張キッズスペース(隣接の梅の間にて)

≪第一部の風景①≫

≪第一部(シンポジウム)の風景①≫

≪第一部の風景②≫

≪第一部(シンポジウム)の風景②≫

 

●「文京まちたいわフェス2018」その他のプログラム
○初日(2月10日):「第3回文京映画祭(住民参加型の自主製作映画上映会)にみんなで参加しよう」
○二日目(2月11日):「みんなで文京まちたいわ」
○最終日(2月12日):「公開!フェス撮りたてプレイバック&展望トーク」(SNSを活用したライブトークイベント)

■「文京まちたいわ」は、「文京区新たな公共プロジェクト」団体連絡会での検討をきっかけに有志のつながりから生まれた活動団体のネットワーク
 文京区では、地域福祉を推進する目的として、行政計画の最上位の位置づけに「文京区基本構想」を策定し、平成22年6月に公表しました。
これは、平成32年までの概ね10年間で、新たな公共の担い手と区が手を携え、互いの責任と役割を果たしながら文京区のあるべき姿と、その実現に向けた基本的取組で構成されています。

この基本構想に定められた具体的取り組みの一つに「新たな公共プロジェクト」を立上げ、平成29年3月までの4年間実施してきました。
「新たな公共プロジェクト」では、この4年の間に、対話等を通じて地域の多様な主体が関わり合いながら、地域課題の解決を図る担い手を創出していく様々な取組を実施してきました。
自治体関与する事業期間が終了した後の平成29年4月からは、文京区社会福祉協議会が運営する地域連携ステーション「フミコム」が主体となって新たな事業を展開しています。「文京まちたいわ」は、これまでの流れで育まれた現在進行形で広がる活動団体のソーシャルネットワークです。

■鳳明館の紹介
鳳明館は、文京区本郷に佇む歴ある旅館です。鳳明館には「本館」「台町別館」「森川別館」の3施設があります。本館の建物は、明治時代に当地で営んでいた下宿屋を昭和時代に入ってから旅館に改装して現在まで現役で役割を果たしています。文化庁にて有形文化財(建造物)登録がなされています。

鳳明館は、地方からの修学旅行客を宿泊させることが多かった様ですが、その純和風な佇まいから訪日外国人観光客での宿泊ニーズは昔から根強く、インバウンド・ブームが高まる前から英語表記でのパンフレットを作成・専用ホームページの開設等を行ってきました。
●鳳明館森川別館概要
○構造・規模:木造・鉄筋 地下1階付地上3階建(一部4階部分あり)
○建築時期: 昭和30年代
○総室数:33室(総畳数:332畳)
○交通:東京メトロ南北線『東大前』駅徒歩3分
≪リンク≫鳳明館公式ホームページ

【鳳明館森川別館4つの特徴】
1.純日本建築・和室のしつらえ(寄木の床など伝統的職人技・銘木の利用等)
2.職人の遊び心
3.昭和レトロのインテリア
4.当初より団体旅館として建築された為、廊下が広く開放的な雰囲気

≪鳳明館パンフレット/English versionと日本語版≫

≪鳳明館パンフレット/English versionと日本語版≫

 

【見学ポイント】
1.前庭…様々な種類の庭石の配置
2.玄関・ロビー…昭和レトロのシャンデリア
3.帳場…「おおとり」の明り取り/河童の飾り桟
4.風呂場…ローマ風呂(昭和のタイル貼り、モダンスタイルの円形浴場)
5.廊下…職人がしつらえた船底天井
6.客室…客室の名前が入った引き戸/飾り桟、扇の飾り天井等

≪鳳明館森川別館 外観≫

≪鳳明館森川別館 外観≫

≪玄関/向かって左側が帳場≫

≪玄関/向かって左側が帳場≫

≪3階の洗面所≫

≪3階の洗面所≫

≪3階廊下にある梅の木の障子窓≫

≪3階廊下にある梅の木の障子窓≫

≪3階へつづく木製階段≫

≪3階へつづく木製階段≫

≪扇のデザインが施された飾り天井/末広の間≫

≪扇のデザインが施された飾り天井/末広の間≫

 

■コンセプトは「旅館×地域」のアイデアソン
●鳳明館森川別館で地域イベントを行うことになった背景
当初、実行委員会の方々と鳳明館との間では、イベント開催にあたって、会場のレンタルについての協議を行っていました。
詳細な話し合いを重ねて行くうちに、途中で話し合いの趣旨が「場所を借りる」打ち合わせから「旅館を守る」打ち合わせに変わって行ったそうです。最終的には、小池社長も意見参加し『「地域」と「旅館」を考えるシンポジウムの開催』に辿り着きました。

その様な背景から、同じ想い(地域を守りたい)の人々の集いの場としての機能や、地域に住んでいる高齢者(認知症当事者・介護等で苦労している方々を含めて)・障害者の方々でも気軽に利用できる「私たちの旅館」について討議するコンセプトが生まれました。

また、イベント会場に隣接する梅の間では、子どもたちの居場所として文京区千石で開催されている「おもちゃ図書館」の有志が出張開催を行いました。
おもちゃを通して地域の多世代交流や、子育てについて語らうことを目的としたこの催しは、文京子育て不動産を核に「おひさま・たまご荘・こじゃり」の三拠点で定期的に開催されています。

●ワークショップでは様々なアイデアが提案されました
第二部のグループワーク(アイデアソン)では、各班のメンバー同士で「地域×旅館」の活用案について活発な議論が交わされ、参加者による投票形式での各提案に対する評価発表や、小池社長・大曽根女将心得からの特別賞の授与なども行われ、イベントはとても活況を呈していました。

≪グループワーク中の風景≫

≪グループワーク中の風景≫

≪各班の発表風景①≫

≪各班の発表風景①≫

≪各班の発表風景②≫

≪各班の発表風景②≫

 

文責:中央支部広報公益委員会