今回は、これまで何度かイベントに参加させて頂いているNPO法人キッズドア主催の、四谷で行われた昨年度の活動報告会に参加してきた模様をお伝えします。
当日は、既に何らかの形でキッズドアと連携や協働を実施している企業などの方々が参加していました。
キッズドアでは様々な事業を行っていますが、今回の報告の主な対象となった事業は「タダゼミ」と「みらい塾」についてです。これら活動報告に付随して、ボランティアによる活動紹介や協働する企業の方の視点での事業紹介もありました。
【ご協力頂いた方】
○特定非営利活動法人キッズドア 広報担当者様
【取材場所】
○会場:キッズドア ラーニング・ラボ四谷(東京都新宿区四谷2-8 藤井ビル5階)
【訪問日時】
○平成30年7月9日(月)18:30~20:00
■ 当日のイベント概要
今回は、昨年度実施したキッズドアの事業の中の「タダゼミ」と「みらい塾」についての活動紹介でした。
それぞれ担当の方が、昨年度の活動紹介のスピーチを行いました。どちらの活動も、前年度から利用者数の増加など実績が大きくなっています。
●タダゼミの活動報告
「タダゼミ」は、親の経済状況などから塾などに通えず、高校受験対策に不安がある中学3年生を対象に、大学生を中心としたボランティア講師陣による無料の高校受験対策講座です。主に公立高校向けの入試対策を行っており、2010年の開始以来 通学する子どもたちの高校進学率は100%を続けており、昨年度も合格率100%の成果を上げました。
現役で高校入試に合格することを目的としていますが、同時に勉強がしづらい環境で育ってきた子どもたちに対して、ボランティア講師陣が、心理的なサポートや生活支援のためのアドバイスも行います。これら両輪支援が成果に結び付いています。
【昨年度の主な活動実績】
〇開催地:中央区/杉並区/足立区の各会場
〇通常の隔週日曜日開催に加え夏休み・冬休み期講習+入試直前講習を実施
〇子どもたちへのアンケートではプログラムに対する満足度が高かった(講師陣への高い信頼度)
〇今年は定員を超える応募があった
●みらい塾の活動報告
「みらい塾」は、キッズドアの自主事業のひとつとして実施しており、生活協同組合コープみらいとの協働事業(コープみらいは会場提供等の支援)です。
2015年9月からコープみらい新中野を会場に活動をスタートした新事業であり、生活困窮家庭・ひとり親家庭の小中学生を対象とした活動で、「日々の学習の下支え」「ソーシャルスキルの向上」「高校受験サポート」などを目的とした無料学習会です。
学習習慣の定着にあわせ、コミュニケーション能力の向上や、「小さなできた」の積み重ねから自信をつけてもらい、社会に出られる力を養うことを目標としています。
【昨年度の主な活動実績】
〇開催地:中野区(コープみらいプラザ新中野)
〇定員:経済的に支援が必要な家庭環境の子どもたち30名程度
〇登録ボランティア:合計57人(学生6人・社会人51人)
〇年間24回の開催(12月にはクリスマス企画・夏休みには遠足企画を実施)
■ 活動に参加されたボランティアの方々からのエピソード発表
当日は、キッズドア職員の方からの活動報告に加え、参加されたボランティアの方々からも体験談・エピソードの発表行われました。
●学生ボランティアの活動紹介
キッズドアでは、東京都・仙台にかけて複数の事業を行っているため、たくさんの学生ボランティアの方々が活躍されています。(今年3月に実施した学生ボランティアの卒業イベント(ガクボラ感謝祭)にも取材で伺って参りました。)
(1)『居場所一緒に作る。まずは学習会に来てもらえる環境を整える。』
スピーチをされた豊津さんは、「タダゼミ」中央区で子どもたちに主に英語教えています。
経済的な要因などから、家庭内で勉強を行う環境が整っていない生徒に、学習する習慣を根付かせることから教えていますが、最初は生徒とのやり取りで相当驚かされることも多かったとのことです。
中学三年生の一年間で高校入試合格の成果を上げなければならないミッションが課せられていますが、「まずは、勉強を一緒に楽しむ。」作業から始めます。この地道なコミュニケーションを続ける中で、生徒本人のやる気に火がつき、結果高校合格に結びついています。
(2)『自分が成長できた。そして子供たちの成長に寄添えた喜びを感じることができた。』
ボランティア講師にとって、生徒の成長に寄添い、成果を一緒になって喜べることが何よりも大きなやりがいであると語っていました。
●社会人ボランティアの活動紹介
ボランティア講師陣には、学生だけではなく協働する協力企業の社員の方や、地域の社会人の方など多くの「大人」も参加しています。
キッズドアでは、子どもたちが一般社会で働く幅の広い世代の大人たちと学習会を通じて触れ合うことで、大人や社会に親しみ、自分の将来を考えるきっかけをつかんでほしいと考えています。
(1)『最初子どもたちには自己肯定感がない。そこからの共同作業。』
社会人ボランティアとしてスピーチされた小野さんは、みらい塾で教えていらっしゃいます。
みらい塾は、タダゼミと少し趣が異なり、生活支援(共感的指導)が重要なミッションとなります。来所当初は、自分の意思ではなく親御さんに言われて来た感覚の子どもに、一年間で学習へのやる気を起こさせ、結果を出しています。
(2)『最初は小学校の算数から教え始めた生徒が、最後には連立方程式を勉強していた。』
みらい塾でも間違いなく本人のやる気が必要です。これまで他人から褒められた経験の少ない(ほぼ無い)子どもたちには小さな成功体験の積み重ねがとても重要で、それらの結果が見事に学力に結びついていきます。
■ そのほか協働する協力企業の方々からの活動紹介
●エヌエヌ生命
中小企業支援を主力とした外資系生命保険会社です。同社では「未来の社長」の名称で社会貢献活動を行っています。
この活動では、「高校生のためのソーシャルビジネス企画コンテスト」「学習を通じて子どもたちの未来をつなぐ支援活動」「継ぐをつなぐ~家業イノベーションラボ」などを展開しています。
キッズドアとは、社内プログラムの「Your Miles Matter」を通じて寄付された原資を元にした、学習会の活動協力の関係を作っています。
●コープみらい
首都圏(千葉・埼玉・東京)で展開する消費者の協同組合です。コープみらいでは、組合員をはじめ地域の生活者に対するサービスとして、日用生活品の物販から宅配事業・介護事業所の運営・共済保険など幅の広い事業を行っています。
また、一般社団法人コープみらい社会活動財団を2015年6月に設立して、「ひとり親家庭の高校生への返済不要の給付型奨学金事業」をはじめとした社会貢献活動を展開しています。
キッズドアとは、東日本大震災の被災地復興支援活動を通じて知り合うことになり、現在では先の通り「みらい塾」に会場とおやつを提供しています。
■ 渡辺理事長のあいさつ
当日のイベントの最後には、NPO法人キッズドアの渡辺理事長が締めのあいさつを行い、その中で『昔と違い、教育は学校だけが行うことではなくなってきている。本当に子どもたちを育てるには、社会全体で支援する仕組み作りと実践の継続が大切である。』との言葉が伝えられました。
文責:中央支部広報公益委員会