今回は、中央区内を拠点に、保活に取組んでいる保護者世帯への支援活動を実施している保活座談会の現場を拝見させて頂いた際の模様をお伝えします。
これまでは、勝どきデイルームなど区の施設を主な会場とした集合形式での開催でしたが、新型コロナウィルスの影響を考慮し、オンラインでの開催となりました。
今回は、民間の一時預かり託児所をチェーン展開するママズスマイル月島との共同企画として実施されました。
コロナ禍により生活支援策は様々な形で実施されていますが、そんな状況下でも保活に関する根本的な課題は変わりません。当日は、区内の保活トレンドを説明しながら、参加者の方々からの質問に答える内容で展開していきました。
【ご協力頂いた方】
○保活座談会 主催 高橋 まき子 様(中央区議会議員)
【取材場所】
○参加者各自の自宅・職場など(オンライン会場)
【取材日時】
○令和2年6月25日(木)10時00分~11時30分
■ 保活座談会とは?
中央区に在住のママ・パパ、プレママの方などを対象とした、出産・育児・子育てにおける不安や疑問を共有できる相互交流の居場所サロン兼勉強会です。
主に、中央区の認可保育園入園を希望されるご家族との話し合いの場・情報提供の場として開催されています。
参加者は各回10組程度(オンライン開催の際は20名程度)とし、近い距離感で話しやすい場の雰囲気を保てるよう注力していています。待機児童の多い、勝どき周辺などにて不定期開催しています。勝どき会場は、おとなりカフェが開催される勝どきデイルームを使用しています。
●イベント概要
○運営主体:保活座談会(高橋さんの個人主催)
○活動開始時期:2015年
○開催場所:中央区内(勝どき地区・日本橋地区・京橋地区など)*集合開催の場合
○開催日:不定期(各地区概ね年間3回程度の開催)
○参加費:無料(集合開催の場合は拠点によって変動実費制)
■「保活の不安を話し合える場所がない」との声がきっかけ
保活座談会の活動を始めたきっかけは、区内の子育て支援施設(グロースリンク勝どき)に寄せられた保護者の方からの保活(保育園の入園活動)に対する不安の声がはじまりでした。
高橋さんが、中央区子ども子育て会議に第1期区民委員として関わった経緯から、講師の依頼を受け、保活についての講義をはじめたことが、その後の保活座談会のスタイルになりました。
2015年の活動開始から2018年までの3年間で、延べ150家族が参加されました。その後、当初からの拠点であった勝どき地区以外のエリアからの要望を受け、中央区内各地で保活座談会を開催されています。
■東京都内における保育サービスの状況と待機児童の状況
東京都が毎年7月下旬に公表しているデータによると、都内における保育サービス利用児童数は、309,176人(昨年度比15,409人の増加)となっています。
これに対し、待機児童数は、3,690人(昨年対比1,724人の減少)となりました。
都内で最も待機児童数が多い区市町村は世田谷区で、次いで中央区・調布市の順となっています。一方、「待機児童ゼロ」の区市町村は13自治体にのぼっています。
*データ元:東京都福祉保健局少子社会対策部保育支援課利用状況資料(平成31年4月1日現在)
■ イベント当日の模様
●ママズスマイル月島とのコラボ企画として開催
当日は、はじめてオンラインでの開催となりましたが、民間の一時預かり託児所をチェーン展開するママズスマイル月島店との共同企画として実施されました。
ママズスマイルは、株式会社 ママスマ(本社:埼玉県さいたま市大宮区仲町2-85 アクシスコア3F)が運営し、拠点は首都圏をはじめ、北海道(札幌市)や大阪(八尾市)など広域で展開しています。
はたらくママに対するサポートや、レスパイト・ケア(保育・監護者などへの支援)の機能として需要を集めています。
●1歳児の受け入れ先確保がもっとも難しい
中央区における「認可保育園に内定していない児童数」は、今年6月現在で1,050名となっています。
そのうち、1歳児は395名にのぼり未就学児童の各年代ではもっとも多い結果となっています。その次に多いのが7ヶ月~1歳未満の児童で、285名となっています。
*データ元:保活座談会資料・中央区保育園空き情報など
●「期間限定型保育」や「居宅訪問型保育」の活用
期間限定型保育(事業)とは、期間限定型保育事業とは、保育園に入園できなかった1歳児クラスの児童を、5歳児クラスの保育室等空いているスペースを活用し、期間を限定して預かる事業です。
全国の自治体で実施されている制度で、地域のニーズによっては2年間の利用(2歳児クラスの利用)ができるなど、運用の方法が異なります。
居宅訪問型保育(事業)とは、認可保育園の入園が待機となった児童を対象に、利用者の自宅に保育者を派遣し、1対1の保育を実施する事業です。
対象は、認可保育園の入園が待機となっている0歳児(生後57日以上)から2歳児クラスの児童です。
中央区では、株式会社ポピンズが運営を行っており、定員は20名(歳児ごとの定員設定はなし)となっています。
■課題と今後の展望
●定期開催の難しさ
保活座談会では、地域のニーズが高い勝どき地区で集合形式での開催を多く行ってきましたが、これは勝どきデイルームなどの公共施設を利用する機会に恵まれた環境の効果が大きいと言えます。
日本橋地区や京橋地区など、勝どき地区以外でも保活座談会を開催して、地域特性に応じた普及活動を継続したいところですが、会場の確保には苦労しています。そのため、定期的に各地区均等に開催することは簡単ではありません。
オンラインセミナーの実施も続けながら、社会環境が改善した際には、各地区での集合開催を続けられる拠点の確保に力を入れていく予定です。
●今後も増えていくと予想されるニーズへの対応
他地域からの転居により中央区へ転入する方なども増えており、自治体で公表している数値以上に、保活を取り巻く環境は変化しています。今後も、保活のニーズが増えることが予想されます。
家庭的保育事業(地域保育)から、認可外保育所の位置づけになる企業主導型保育事業などの整備も進んでいますが、まだまだ保育支援機能の拡充が望まれるところです。
中央区では、就学前教育の充実と幼児期からの学びの連続性を強化するため、区立阪本小学校に併設して、区内で初めてとなる公私連携幼保連携型認定こども園(阪本こども園(仮称)/運営主体:学校法人渋谷教育学園)を令和3(2021)年4月1日に開設する予定です。
このほか、現在3か所ある区内の認定こども園を、各地域に増やしていく計画があります。
みんなで「働きやすく、住みやすい、誰でも笑顔になれる中央区」にしませんか?
文責:中央支部広報公益委員会