今回は、文京区千石に拠点を構え活動する地域交流スペース活動の模様をお伝えします。
千石たまご荘の施設は、商店街沿いにある既存ビルのワンフロアを利用しており、私たちと同じく全日本不動産協会東京都本部所属の会員さんが発起人として活動を支えています。

これまで、地域活動・福祉事業を切口とした不動産事業の在り方などの事例現場を訪ねて来ましたが、今回の事例は「子育て支援」「商店街活性化」「既存ビルの再生」「まちづくり」などの機能を有した地域交流活動です。
特徴としては、官民連携・産官連携・大学等とのコラボレーションなどに見られる、大掛かりでアカデミックな視点を重視したものではなく、どこの街にでもある様な佇まいで、だれもが参加できる様な運営スタイルであるという点です。

≪千石たまご荘は商店街沿いに佇む明るいスペースです≫

≪千石たまご荘は商店街沿いに佇む明るいスペースです≫

 


 

【ご協力頂いた方】
○文京子育て不動産 代表 高浜 直樹 様
○ポットラックシアター 倉持 歩 様
【取材場所】
○千石たまご荘(住所:東京都文京区千石4-41-3奥野ビル2F)
【訪問日時】
○平成30年3月15日(木)11時30分~13時00分

千石たまご荘とは?
●住めないシェアハウス⁉
千石たまご荘は、下町の商店街沿いに佇む既存のビルの一室に拠点を構える地域交流の活動を支えるシェア拠点です。
既成制度の枠では支えきれない子育てに関する悩み事やニーズに応えるプログラムについて、皆で考えて活動を行っています。取材当日は、地域で子育て中のママ・パパと子どもたちが集まり、各々が持ち寄った食事を楽しむランチ会を行いました。

千石たまご荘は、2017年月に文京区千石4丁目にある「千石本町通り商店街」の一角で拠店をスタート致しました。
正式な屋号は、「1000人の夢のシェアハウス・千石たまご荘」と謳っており、ひと・もの・しごとについての想いを形にすることを目的とした拠点です。運営は、発起人の高浜さんを含め3名が幹事となり、その他地域の方々が参加して行っています。
住まう事を目的とせず、一つの拠点を様々な地域活動を行う人たちが活用する「住めないシェアハウス」です。

ビルの1~2階を借上げ、2階のワンフロア―を千石たまご荘として使用していますが、たまご荘のプログラムの予定が入っていない時間は、地域活動を行うほかの希望者にレンタルしています。ビルの1階には、高浜さんの学生時代の同級生の方が運営するパーソナルストレッチ&体幹トレーニング専門店「プラスみらいLABO」が入居しています。

●目指すのは「街で子供を育てる」から「街が育つ」へ通じるソーシャル・キャピタルの醸成
千石たまご荘が目指すのは、地元で生まれた子供たちが、夢を持って安全に同じ地域で暮らし続けられる環境を提供することです。
そのためには、子育てに関して地域全体の考えが一つになり、街が子どもを育てる機能を持つ形が必要です。街に子ども育てるノウハウを持つ様になれば、街自体の底力も成長して行くと考えられています。

厚生労働省によると「ソーシャル・キャピタルとは、人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることのできる、[信頼][規範][ネットワーク]といった社会組織の特徴であり、物的資本 (Physical Capital) や人的資本 (Human Capital) などと並ぶ新しい概念である。」と説明されています。
ソーシャル・キャピタルは、アメリカの政治学者、ロバート・パットナムが定義した人々の社会関係に関する理論です。

(小)たまご荘チラシ①

≪千石たまご荘の案内チラシはクラフト紙で作っています≫

≪千石たまご荘の案内チラシはオシャレなクラフト紙で作っています≫

 

●事業概要
○運営理念:
あなたの「やってみたい」「これならできる」と誰かの「こんなことできたらな」「だれかに相談したいな」をつなげて一緒に、夢をはぐくむ、まちの秘密基地。
○活動開始時期:平成29年5月
○運営者:千石周辺で居住・就業している個人が集まった任意組織
○主な実施プログラム:
1.【毎週木曜】ランチタイム開放「つどい~の」(11:30~13:30)
2.【第1水曜】まちのせんせいシリーズ(14:00~16:00)
3.【第1木曜】たまご育てサロン(14:00~16:00)
4.【毎週火・金・土曜日】ネイルサロン「Fleurbelle(フルーベル)」(10:00~19:00)
5.【隔月不定期】ゆっくり・いそげの読書会(19:00~21:00)

【リンク】千石たまご荘の専用WEBページ

レギュラーなイベント

ランチタイム開放「つどい~の」 ●千石界隈のパパ・ママが運営するランチサロン
乳幼児から子育て中のパパ・ママなどがご飯を持ち寄った形の交流会。参加費:100円。
まちのせんせいシリーズ ●地域の方が先生になった身近なテーマの勉強会
プロアマ問わず先生が遊び・アートなどについて楽しみ方をレクチャー。参加費:大人300円(子ども無料)。
たまご育てサロン ●「たまご=他孫」の多世代型地域子育てサロン
地域でシニアの方が地域の子どもたち・親世代と交流する子育てサロン。参加費:大人300円(子ども無料)。
ネイルサロン「Fleurbelle(フルーベル)」 ●火・金・土営業のネイルサロン
たまご荘のスペースをタイムシェアで利用。子供連れのママが施術中は子供たちが玩具で遊べる空間に。
ゆっくり・いそげの読書会 ●コミュニティ・ビジネス書籍の読書会
地域活動をビジネスとして成長させる事例を紹介した図書の読書を通じた交流会。参加費:500円。
【常設】おもちゃ図書館 ●おもちゃ図書館の開催(たまご荘オープン中常設)
たまご荘においてあるおもちゃを来場者。地域の方に貸出。

 

■「地元との繋がり」と「課題」
●助成金を活用しながら街の課題解決を支援
千石たまご荘のイベントである「つどい~の」「まちのせんせい」「たまご子育てサロン」は、社会福祉法人文京区社会福祉協議会の助成事業を活用して運営しています。
社会福祉協議会とは、財政支援のほか、人的交流など日頃から様々な連携を図っています。

また、「おもちゃ図書館」は、一般社団法人日本おもちゃ図書館財団の助成を受けて運営しています。
 
課題はコミュニティ・ビジネスとしての経営の継続
コミュニティ・ビジネスとは、地域活性化の機能をベースとした、地域密着型の社会貢献事業です。事業継続のための「実利確保」と「公益性の担保」の両輪から成立つ事業形態ですが、現実的には様々な課題を抱えているケースが殆どです。
収益性を第一に追求すれば公益性は後回しになりますし、公益性を第一に追求すれば修正性を度外視せざるを得ない状況になります。
地域貢献を理念に置く場合でも、事業の継続性は大きな問題であり、常に事業の管理はしっかり行わなければなりません。

高浜さんは、自主事業に加え、各プログラムでの事業費補助制度を上手く活用しながら事業を継続し、今後の広がりに関しては、メンバー同時で事業計画について検討を重ねて行くとお話されていました。

今後の主な予定(今年計画している様々イベント)
●「weアートマルシェ」イベントへの出店
千石たまご荘は、weアートマルシェ(主催「神田川アートブロッサム」:建築家やクリエイターを中心にアートでお洒落なまちづくりを目指すボランティア集団)に参加しています。
weアートマルシェ内のイベントとして「weマーケット(フリーマーケット)」を今年の3月31日(土)・4月1日(日)の2日間で開催します。千石たまご荘もこちらで出店し、手作りの手芸品などを販売します。

 ●「自分の好きな事×まちのニーズ」を生かした仕事づくりセッション
月2~3回のミーティングを通じて、マルシェ以外にも他のイベントでも出店を計画しています。
ミーティングでは、コミュニティ・ビジネスの起業家支援の「鶴岡ナリワイプロジェクト」運営者の方と勉強会を重ね、コミュニティ・ビジネスの在り方について意見交流を行います。

 ●「ポットラックコンサートVol.8」への参加
千石たまご荘と連携する「ツチノコ広場(文京区千石の異世代交流型子育てひろば)」が主催で行われているポットラックコンサートへメンバーが参加する予定です。ポットラックコンサートとは、音楽好きご近所さんが集まって、ウクレレ・ギター・ピアニカなど気軽な楽器を持ち寄って好き勝手に行われる演奏会です。
コンサートのタイトルにある「ポットラック」とは、参加するメンバーそれぞれが食べ物や飲み物を持ち寄って楽しむ、気軽な持ち寄りご飯会の事です。

 

≪子どもたちと一緒に食事をする食卓の風景≫

≪子どもたちと一緒に食事をする食卓の風景≫

 

≪おもちゃ図書館のおもちゃたち≫

≪おもちゃ図書館のおもちゃたち≫

 

≪千石たまご荘が入居するビルの外観≫

≪千石たまご荘が入居するビルの外観≫

 

≪拠点は千石本町通り商店街の一角にあります≫

≪拠点は千石本町通り商店街の一角にあります≫

 

≪チーフキャラクター「たまごくん」が出迎えるビル入口に設置された案内看板≫

≪チーフキャラクター「たまごくん」が出迎えるビル入口に設置された案内看板≫

 

文責:中央支部広報公益委員会