今回は、中央区社協からご紹介頂いた「NPO法人Check」の活動内容についてお話を伺ってきた模様をお伝えします。

NPO法人Checkでは、ユニバーサルツーリズム(※)の活性化を促進する情報サービスを主な活動に置いており、その一環で「多機能トイレ情報共有サービス【Check A Toilet ~ユニバーサルデザイントイレマップ~( http://www.checkatoilet.com/ )】 」を運営しています。このサービスの他、現在手掛けている活動内容についても伺って参りました。

(※)「ユニバーサルツーリズム」とは、すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障害等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行を目指すもの。【出典:観光庁ホームページ】

(ユニバーサル散歩「iPhoneでやさしい街さがし」の模様/2010年6月) 【資料:NPO法人Check提供】

(ユニバーサル散歩「iPhoneでやさしい街さがし」の模様/2010年6月)
【資料:NPO法人Check提供】

 


 

【ご協力頂いた方】
〇特定非営利活動法人Check 代表理事 金子 健二 様
〇社会福祉法人中央区社会福祉協議会
ボランティア・区民活動センター 推進課長 村上 秀貴 様
【訪問日時】
〇平成30年6月11日(月)AM10時30分~

■NPO法人Checkの活動内容
組織の活動理念は「だれもが気兼ねなく外出できる社会の実現」を掲げています。
基本方針には次の3つがあります。
・だれもが安心して旅行に出かけられる社会を創ります。
・バリアフリー、ユニバーサルな社会の実現を目指します。
・ITを活用して、情報インフラの整備を行います。

●組織概要
〇名称:特定非営利活動法人Check
〇本部:東京都世田谷区等々力4-7-10
〇代表理事:金子 健二

●沿革
〇2006年9月 ボランティア団体「Check A Toilet Project」設立
〇2007年6月 「Check A Toilet」創設
〇2008年1月 NPO法人格の認証・登記を行いNPO法人Check を設

●事業内容
(1)トイレマップ制作を通じての市民活動支援事業
(2)バリアフリー・ユニバーサルデザインに関する情報収集及び情報提供事業
(3)社会貢献活動に関する普及啓発事業
(4)その他この法人の目的を達成するために必要な事業
【リンク】NPO法人Check 公式ホームページ

■活動を通じて「社会の課題」が見えてきた
NPO法人Checkの活動では、公益性・社会性の高いニーズに挑んでいるため、日頃の活動から多くの気づきを得ています。

例えば、公共トイレに対する考え方も地域や自治体によって考え方が異なります。屋内外の公設型の公共トイレに関しての管理方法に違いがある状況なので、民間設置型の公共トイレ(営利法人が地域へ開放するためのトイレ等)については、自治体が管掌しない事が主流です。
特に、災害発生時の公共トイレの扱いにおいては、官民関係なく地域の方々が使える様にされていなければいけません。この様に公共トイレ一つを取り上げても、社会の課題が見えると言います。

また、多機能トイレの名称についても、自治体によっては「だれでもトイレ」等の名称を採用しているケースもあり、その際(特に災害時・緊急時)に本当に必要な人たちが使用できないになる状況も課題として考えられます。
その他、多機能型トイレの普及で、オーソドックスなケースとして考えられてきた身体の障害を持っている方の利用に加え、子育て中の親子の利用などが増えてきたそうです。これは、子育て世帯の方々が積極的に外出できる社会になってきた傾向とも考えられます。

■ユニバーサルツーリズムの企画・運営から課題を得て誕生した「多機能トイレ情報共有サービス」
金子さんは、元々旅行会社に勤務されており、そこでは介護旅行の企画営業を担当していました。その時、旅行先で支援が必要なツアー客の方がトイレに不自由した経験を基に、課題を解決するための活動組織としてNPO法人Checkを創設しました。
ユニバーサルツーリズムの利用者は、旅行先で何かと支援が必要な方々が中心です。しかしながら、営利活動を基本とする旅行会社などでは、専門的な情報の整備や、メンテナンスを行うためのコストを掛けることは難しく、ニーズに対して供給が追い付いていな状況でした。NPO法人Checkでは、そこのニッチなニーズを補完する活動を行っています。

現在では、その社会的意義に賛同した大手旅行会社・地図情報サイト運営企業・医薬品メーカー・学校法人など多くの組織から支援を得て活動を拡大しています。

(「パパと子どもで体感!ユニバーサルデザイン~未来のトイレを デザインしよう」の模様/2011年1月)①

(「パパと子どもで体感!ユニバーサルデザイン~未来のトイレを
デザインしよう」の模様/2011年1月)①

 

(「パパと子どもで体感!ユニバーサルデザイン~未来のトイレを デザインしよう」の模様/2011年1月)② 【資料:NPO法人Check提供】

(「パパと子どもで体感!ユニバーサルデザイン~未来のトイレを
デザインしよう」の模様/2011年1月)②
【資料:NPO法人Check提供】

 

■もう一つの柱「レアめし~Check A Food」
NPO法人Checkにおけるもう一つの活動の柱に、昨年から始めている「レアめし」活動があります。
これは、希少な外食情報共有サービス活動で、専門知識が必要な「食物アレルギー対応食」や、自然派ライフスタイルの食事習慣として注目されている「マクロビオティック」の他、高齢・障害者の方で必要なケースの多い「介護食(きざみ食等)」この様に専門的なニーズ食を提供(又は対応可能)する外食情報を、リアルタイムに提供するポータルサイトです。

NPO法人Checkでは、これまで食に関する専門的な相談も多く持ち込まれており、多機能トイレの情報提供で培ったノウハウを活用し、小単位の地域交流にて情報の収集・活用を実現しています。
※【リンク】「レアめし」紹介ページ

(レアめし情報の一例/京都市街地での食物アレルギー対応店マップ)

(レアめし情報の一例/京都市街地での食物アレルギー対応店マップ)

 

■今力を入れている活動と今後の展開の方針
●トイレシェアリングの普及・促進
金子さんのお話によると、現在「平常時ではなく、イベント開催時での多機能トイレ情報の提供」をパッケージ化する活動を進めているそうです。

これには、大手地図情報サイトをはじめ、多方面のスポンサー企業からの支援を得て、全国でのサービス実施を進めている最中です。
折角集めた多機能トイレの情報が、祭りやイベント開催時には閉鎖や混雑などで、本当に必要な方へ活かされない事に陥る可能性が出て来ます。これら緊急時・有事に備え、地域の企業や自治体とコマ目にリサーチした活きた情報をリアルタイムに全国で提供するサービスの標準化を目指しています(トイレシェアリング)。
【リンク】「トイレシェアリング」紹介ページ

●他団体と「世界IBD デー」での協働
先日(2018年5月19日)に行われた「世界IBD デー」において、EAファーマ株式会社と協働で、銀座・日本橋地区を中心に区内の複数個所で「みんなで多機能トイレをチェック!」イベントを実施しました。

IBDとは「炎症性腸疾患」のことで、一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病の事をさします。
この疾患では、症状が重くなるとストーマ(人工肛門)等の敷設も必要となるもので、当事者にとっては外出時に多機能トイレの存在を知ることが大きな日常生活上のニーズとなります。
このイベントは、区内の多機能トイレを参加者総勢70名で調べることで、疾患と当事者の課題を共有する効果を目的としたものです。
NPO法人Checkでは、様々な地域連携の形態をとって、この様な社会性の高いコラボレーションも推進していく予定です。

●探す必要のない社会になることが目標
金子さんは、最終的に「多機能トイレやレアめし等の支援機能・拠点を、わざわざネット等で検索しなくても済む社会を実現する事が目標。」だと語っていました。

(「岸和田だんじり祭の車いす観光コース&マップを作ろう!」の模様/2017年6月)①

(「岸和田だんじり祭の車いす観光コース&マップを作ろう!」の模様/2017年6月)①

 

(「岸和田だんじり祭の車いす観光コース&マップを作ろう!」の模様/2017年6月)② 【資料:NPO法人Check提供】

(「岸和田だんじり祭の車いす観光コース&マップを作ろう!」の模様/2017年6月)②
【資料:NPO法人Check提供】

 

みんなで「働きやすく、住みやすい、誰でも笑顔になれる中央区」にしませんか?

 

(文責:広報公益委員会)