今回は、若者を中心に地域で「働く事に悩みを抱えている」方々に対して、社会参加~就労支援の活動等を行っているNPO法人のセカンドスペースが運営する「ふなばし地域若者サポートステーション(ふなサポ)」を訪問し、お話を伺ってきた模様をお伝えします。
ふなサポには、2年前に初めて訪問しており、今回はこの間の利用者ニーズや法人自体の方向性の変化などについてお聞きいたしました。
セカンドスペースは、千葉県で不登校やひきこもり、ニート状態により社会参加が出来ていない方々への多面的なサポート(復学・就労などの社会復帰支援)を行ってきた団体です。

(普段は利用者向けの講座が行われている本部内の教室)

(普段は利用者向けの講座が行われている本部内の教室)

 


 

【ご協力頂いた方】
○NPO法人セカンドスペース 理事長 成瀬 榮子 様
○同所 相談支援員   精神保健福祉士 降屋 守 様
【取材場所】
○名称:ふなばし地域若者サポートステーション(ふなサポ)
【訪問日時】
○平成30年4月18日(水)16:00~18:00

■地域若者サポートステーションとは?
地域若者サポートステーション(愛称:「サポステ」)では、働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者に対し、キャリア・コンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業の就労体験などによる、就労に向けた支援を行っています。
サポステは、厚生労働省が委託した全国の若者支援の実績やノウハウのあるNPO法人、株式会社などが実施しています。
今回訪問した「ふなサポ」は、その船橋地域を拠点とし、受託運営機関としてのセカンドスペースが運営しています。プログラム内容として、ジョブトレーニング・キャリアカウンセリング・心理カウンセリング・職場実習などがあります。

【リンク】厚生労働省:「地域若者サポートステーションって何?」
【リンク】船橋市:「ニート・ひきこもり・若者の就職を支援します!」

 ふなサポの事業内容
ふなばしサポステは、平成14年に不登校・ひきこもり・ニート当事者のための自助グループとして活動を始めたNPO法人セカンドスペースが運営しています。

事業としては、「ひきこもり」「ニート」のお子さんをお持ちの保護者の方の個別相談から始まり、社会人としてのパソコンやビジネスマナー、職業訓練、コミュニケーション訓練等を通し、就労に向けた様々な訓練が行われています。

【ふなサポの概要】
○住所:千葉県船橋市湊町2-1-2 Y.M.A. Officeビル5階
○電話番号:047-437-6003(受付・FAX)/047-437-5338(相談受付)
○受付時間:午前9時から午後5時まで(日曜日、月曜日、祝休日、年末年始は休業)
○利用料:無料(厚生労働省委託・船橋市委託事業)
○運営:特定非営利活動法人セカンドスペース(本部:千葉県船橋市湊町2-1-2 Y.M.A. Officeビル5階)
【就職支援のプログラム】
(1) 職業能力スキルアップ講座
(2) 個別パソコン力アップ講座
(3) ビジネス訓練(電話応対、履歴書の書き方等)
(4) 職場で使うソーシャルスキルトレーニング
(5) 実務経験の場の提供
(6) ハローワーク・ジョブカフェちば等との連携による就労支援
(7) 企業見学・企業内実習の場の提供
(8) 企業とのマッチングの場の提供
(9) 就職後の継続支援

【リンク】NPO法人セカンドスペース:「ふなばし地域若者サポートステーション」    

フォローアップ体制の充実
前回訪問した際(2年前)から変わった点として、現実的な就職を体験するプログラムや、卒業生のフォロー(就職後の支援)体制の充実が挙げられます。

●職場体験
自分に出来る仕事、やりがいのある仕事の発見のために「職場体験」を行っています。どの様な仕事をしたらいいのか、自分に出来る仕事について悩みながら就職活動を行っている人にとって、就職前の貴重な体験になっています。
●OB・OG
ふなサポの卒業生で現在仕事をしている方を対象にした「OB・OGの支援」を行っています。職場での困りごとを抱えて悩んでいる、将来について考えるとステップアップしたいがどうしていいかわからない等の課題を解決する支援策として、毎月1回OB・OGの方同志が集まり、勉強会や情報交換のための懇談会を行っています。
 

(ふなサポパンフレット)

(ふなサポパンフレット①)

(ふなサポパンフレット②)

(ふなサポパンフレット②)

 

■NPO法人セカンドスペースの活動
セカンドスペースの事業内容は、「不登校・ひきこもり・ニート状態の若者に対して学校復帰や社会復帰」の支援になります。
平成15年に特定非営利活動法人セカンドスペースを設立したところから団体としての活動がスタートしました。
代表の成瀬さんが元々上級教育カウンセラーとして、教育関係の団体で不登校やひきこもりの方々に対するカウンセリングを行っていた実績が団体の活動の源泉となっています。

設立当初は、自助グループとしての運営形態でしたが、相談件数の増加と共に、職員として参加するスタッフの方々の増員もあって、平成25年度より、厚生労働省・千葉県・船橋市の公募による選定を経て厚生労働省及び船橋市委託事業の「ふなサポ」を開所。法人として事業の安定化を実現しています。
その他セカンドスペースでは、千葉県委託事業として子ども・若者に関する電話相談事業(千葉県子ども・若者総合相談センター「ライトハウスちば」)をはじめ、社会や仕事に復帰することを目的とした幾つかの事業を手掛けています。

【リンク】NPO法人セカンドスペース:法人案内

【NPO法人セカンドスペースの事業一覧(完了した事業含む)】

ふなばし地域若者サポートステーション

H25年4月~現在に至る

若者の職業的自立を支援するため、無料相談やキャリアコンサルティング、ジョブトレーニング、職場実習などを通して就職や進学等をサポートします。平成24年度からは「ニート・ひきこもり等無料相談」も行っています。
ちば地域若者サポートステーション

H28年4月~H30年3月31

千葉市美浜区で行っている若者の職業的自立を支援する事業です。こちらは厚労省・千葉県からの委託事業となります。
青少年の居場所「あゆみ」

H18年8月~H29年3月31

「公益財団法人千葉県青少年協会」と協働して、不登校・引きこもり・ニートの方々に対して自立支援サポートの事業(学校復帰・社会復帰など)を行っています。
千葉県子ども・若者総合相談センター「ライトハウスちば」

H24年7月~現在に至る

子ども・若者(概ね39歳まで)の抱える様々なお悩みに対してお話しを伺い、必要な情報を提供し、適切な専門支援機関をご案内する総合的な相談窓口です。

 

■目的を持った運営を行うライトハウスちば
若者総合相談センター「ライトハウスちば」は、社会復帰に向けて準備を進めている若者のための支援事業の一つですが、長期に渡り自宅へ閉じこもっていた若者等で、直接サポステなどの支援機関を訪れる事に未だ抵抗感がある方への「繋ぎのための通過型支援」を行う受け皿としての機能も持っています。
そのため、期限を決めない居場所ではなく、若者自らが次の社会復帰へのステップを登れる様に、概ね3ヵ月~6ヵ月程度の利用期限の設定していることが特徴です。

(ライトハウスちばパンフレット①)

(ライトハウスちばパンフレット①)

(ライトハウスちばパンフレット②)

(ライトハウスちばパンフレット②)

 

■ふなサポの豊富な就職実績
昨年度のふなサポにおける就労支援の実績は、年間の新規登録者数が139人に対して78人の就職実績を誇ります。そのうち、39人が「正社員雇用」となっており、実に卒業生の50%の割合となっています。就職先の業種も多岐に渡っており、製造業・情報通信業・小売卸売・医療福祉・公務員などとなっています。

その他特筆すべき傾向としては、利用者の約47%が「大学卒又は大学院卒の方」となっており、船橋地域でも利用者の高学歴化の傾向が窺えます。

■就職受入れ先の開拓は企業側からの問い合わせも多い
この点も前回お話を伺った時点から変化している傾向です。活動開始当初は、職員総出で企業開拓(電話や直接訪問など)を行っていたそうですが、現在では景気上昇による人材獲得が困難な社会情勢の影響もあり、企業の人事担当者から直接卒業生の受入れに関する相談も増えています。そのため、受入れ先企業の登録数は安定しています。

■私たちも参加できる!?
先にお伝えした通り、多くの卒業生が不動産業界へ就職して現在も事務や営業の第一線で活躍されています。これら若者に対して私達が受入先法人として活動に参加していく意義も大きいと考えられます。就職先には不動産会社も多数含まれているそうです

この様な受入法人としての支援ほか、「職業人講和による仕事内容の紹介」「合同就職フェア(年3回)への出展「職場体験プログラム参加による支援」など様々な形でも若者に対する支援が行えます。

(本部内の風景)

(本部内の風景)

 

文責:広報公益委員会