平成23年3月11日に発生した、東日本大震災から14年が経過しました。
その後も、平成28年4月には、熊本地震が発生し、昨年の1月1日には、能登半島地震が発生し、これら大規模地震以外にも、これまで豪雨・台風などの大規模災害が発生するなど、災害対策を意識した日常生活が必要となっています。
大規模災害の被災地では、内閣府による激甚災害制度の指定、災害復興特別交付税制度や、当該地方公自治体からの予算措置等が講じられ、財務面での早期復興へ支援が実施されてきました。
しかしながら、東日本大震災被災地域では、震災発生後10年を契機に、自治体からの財務面を含めた公的支援から、地域による自助に流れが変わっています。
今回は、大規模災害を経験した当事者の宮城県社会福祉士会が行っている、復興支援や災害支援活動について伺ってきた模様をお伝えします。

(東日本大震災で津波による大きな被害を受けた閖上地区の名取川岸辺に2019年4月グランドオープンした商業施設『かわまちてらす閖上』)
【ご協力頂いた方】
○一般社団法人宮城県社会福祉士会
常務理事兼事務局長 西澤 英之 様
【取材場所】
○名取りんくうタウン クリエイトふくし事務所ほか(宮城県名取市美田園6丁目9-25)
【訪問日時】
○令和7年3月19(水)11:00~13:00
■災害被災地での支援活動
●個人ボランティアから専門職団体による支援まで様々な形態
大規模災害が発生した際に被災地に対する支援活動には、これまで国内で発生してきた大規模災害での支援験を積み上げた結果、幅広い内容が実施されています。
主に個人単位で活動する「災害ボランティア活動」から、被災地を管轄する市区町村社会福祉協議会が設置する「災害ボランティアセンター」における組織的な支援活動もあります。
そのほか専門職や自治体が支援する形態としては、都道府県・厚生労働省等が派遣要請を発出する「DMAT(災害派遣医療チーム」、「DWAT(災害派遣福祉チーム)」等の医療福祉専門チームの活動や、仮設住宅の建設・災害公営住宅への移転等に伴うコミュニティ形成に至る支援などがあります。
また、社会福祉法人中央共同募金会が実施する、「赤い羽根災害ボランティア・NPO活動サポート募金(ボラサポ)」などをはじめ、人的支援以外の財務的支援の形態も整備されています。
■能登半島地震における被災者支援、ほか災害被災者支援活動
●被災者見守り・相談支援等事業における「生活支援相談員」協力事業
令和6年能登半島地震被災者支援活動として、石川県内の社会福祉協議会が取組む「被災者見守り・相談支援等事業」に協力をする形で、地元の石川県社会福祉士会が、被災地への支援活動を展開しています。
昨年より、全国の都道府県社会福祉士会からの要請を受けて、宮城県社会福祉士会においても、この事業における生活支援相談員の派遣協力を実施しています。
支援業務の具体的な内容は、能登地域から金沢市内等のみなし仮設住宅に転居し生活している避難者を2人1組で訪問し、見守り支援や日常生活上の相談、専門機関等へのつなぎ支援などを行います。
●令和6年度宮城県災害派遣福祉チーム員養成基礎研修
宮城県では、災害時における高齢者等の要配慮者に対する広域的な福祉支援を目的として、平成29年7月に県、県社協、市町村、福祉関係機関等を構成員として「宮城県災害福祉広域支援ネットワーク協議会」を設立し、宮城県DWAT(宮城県災害派遣福祉チーム)を平時より整備しています。
宮城県社会福祉士会も構成団体として参加しており、協議会と協働し宮城県DWATチーム員養成基礎研修を開催しています。
宮城県社会福祉士会では、他の構成団体と異なり、研修会に参加する対象者を「経験ある方、浅い方問わず、まず参画していただくことが大切」だと表明している点が大きな特徴です。
宮城県社会福祉士会では、参加者に対して、この基礎研修及びその後のフォローアップを経て、災害ケースマネジメントの専門職として技術研鑽の機会を提供しています。
【一般社団法人宮城県社会福祉士会の概要】 ○本部住所:宮城県仙台市青葉区三条町10-19 PROP三条館 ○TEL:022-233-0896 ○FAX:022-393-6296 ○沿革:平成4年(宮城県社会福祉士会として発足)/平成20年12月一般社団法人化 ○正会員数:629名(令和6年3月31日現在)※出典:日本社会福祉士会データ ○組織・委員会等:事務局/地域福祉・災害対策委員会/研修委員会/障害支援委員会/実習指導委員会/権利擁護センターぱあとなあ宮城/地域包括支援委員会/司法福祉員会/独立型社会福祉士委員会/情報発信部会/子ども家庭福祉部会/プラチナ会 |

(珠洲市内を流れる鵜飼川と周辺地域の模様/西澤様写真提供)

(能登半島地震における宮城県DWAT活動報告会の開催案内/令和6年6月実施)
20250401【写真 DWAT報告会】32479-300x225.jpg)
(宮城県DWAT活動報告会の模様/西澤様写真提供)
■宮城県災害復興支援士業連絡会への参加
●東日本大震災発生以前の平成17年3月より活動
宮城県社会福祉士会では、他の職能団体からの要請もあり、昨年より「宮城県災害復興支援士業連絡会」へ参加しています。
同連絡会は、県内の専門士業や研究者等の複数団体で構成されており、防災活動・災害復興及び被災地域・被災住民の復興支援活動を遂行することを活動の目的としております。
定期的な会合や勉強会を実施し、構成団体員間のコミュニケーション維持を図りながら、各専門職が大規模災害被災者に対する相談会等復興支援活動を行ってきました。
宮城県社会福祉士会には、福祉専門職としての被災者に対する個別相談援助の実践や、構成団体内外の専門職とのネットワーキングの役割が期待されるところです。
【宮城県災害復興支援士業連絡会の概要】 ○事務局住所:宮城県仙台市青葉区一番町2丁目9-18仙台弁護士会内 ○TEL:022-233-1001(代) ○沿革:平成17年3月 士業8団体にて宮城県災害復興支援士業連絡会設立 平成10年12月 宮城県との間で災害発生時のための協定書を締結 平成23年3月 東日本大震災発生(災害対策本部を設置) 平成23年3月~ 県内被災地にて無料相談会を実施 ○構成団体:仙台弁護士会/宮城県司法書士会/宮城県社会保険労務士会/宮城県行政書士会/日本公認会計士協会宮城県会/東北税理士会宮城県支部連合会/(一社)宮城県不動産鑑定士協会/(一社)建築研究振興協会東北分室/(一社)宮城県建築士事務所協会/宮城県土地家屋調査士会/(公社)宮城県公共嘱託登記土地家屋調査士協会/(公社)日本建築家協会東北支部宮城地域会/(公社)日本技術士会東北本部/(一社)宮城県社会福祉士会 |
■東日本大震災における被害状況
東日本大震災の発生から14年が経過し、国・被災自治体での復興支援予算や組織体制の再編成等で、大規模災害における復興支援は、日常生活支援と共存する形へと変化してきました。
また、昨年には「復興庁の有識者会議(復興推進委員会)では、東日本大震災の地震と津波の被害に対応する復興事業を、原則として2025年度で終了するとの考えで一致した。」との報道がありました。
今後は、国や自治体から支援への期待は難しくなるため、地域を単位とした自助・互助・共助が本格的に必要となっていきます。
●東日本大震災における被害状況
人的被害(宮城県全体) |
・死者10,571人(直接死及び関連死合計) ・行方不明者1,215人 ・負傷者4,145人 |
住宅被害 |
・全壊83,005棟 ・半壊155,131棟 ・一部破損224,202棟 ・床下浸水7,796棟 |
非住宅被害 |
・26,796棟 |
(出典:宮城県復興・危機管理総務課/令和7年2月28日現在)
●応急仮設住宅(民間賃貸借上住宅分)物件所在市町村別入居状況
入居戸数 |
7戸 |
入居者数 |
11人 |
(出典:宮城県復興・危機管理部復興支援・伝承課/令和7年2月28日現在)
●東日本大震災からの復旧・復興事業の進捗状況(東日本大震災関係分)
公共土木施設の災害復旧事業の進捗状況 |
被災公共土木施設全体の2,296箇所のうち、2,295箇所(全体の約99%)が完成 内陸部808箇所すべて完成 沿岸部1,488箇所のうち1,487箇所(全体の約99%)が完成 |
(出典:宮城県土木総務課/令和5年3月末日現在)
●県外避難者数について
避難先都道府県毎合計 |
全国合計69人 |
(出典:宮城県復興支援・伝承震災復興支援班/令和7年3月11日現在)
文責:中央支部広報公益委員会