今回は、千葉で長らく、子どもや若者に対して、学校復帰・社会復帰をサポートしている団体のNPO法人セカンドスペースが運営する、不登校の方やひきこもりの方等に向けてのデイケアプログラム(不登校・発達支援プログラム)の現場に伺った際の模様をお伝えします。

このデイケアプログラムは、セカンドスペースが心療内科・精神科・メンタルケアを専門とするクリニックより委託を受け、クリニック内のデイケアルームで実施するプログラムとなります。

セカンドスペースでは、子ども・若者(概ね39歳まで)を対象とした支援を実施していますが、今回訪れた日は、小学校4年生から高校3年生までを対象とした「不登校・発達支援プログラム」の実施日となりました。

 

(デイケアプログラムの会場となる船橋はるかぜクリニックが入居する建物外観)

 


 

【ご協力頂いた方】
○NPO法人セカンドスペース 理事長 成瀬 榮子 様

○同所 相談支援員  精神保健福祉士 降屋 守 様

○同所 相談支援員  教育カウンセラー 矢部 文絵 様

【取材場所】
○船橋はるかぜクリニック・デイケア室(千葉県船橋市本町1丁目9−11銅市ビル2階)
【訪問日時】
○令和7年8月26日(水)10:00~

 

 

■セカンドスペースが行う「デイケアプログラム」とは?

●千葉県唯一のクリニック内にあるフリースクール

はるかぜクリニック・デイケア事業には、「不登校・発達支援プログラム」と「就労支援プログラム/ゆるやか就労支援プログラム」があります。

これらプログラムは、NPO法人セカンドスペースが2021年から始めた新事業で、はるかぜクリニックから委託を受けて、不登校の方やひきこもりの方等に向けての支援としてデイケア事業を運営しています。

利用対象となる方は、心療内科や精神科に通院しながら支援を希望されている方です。また、医療機関内のプログラムの為、医療保険の対象となります。

また、年齢やプログラムの内容等により、コースを分けて運営しています。

「不登校・発達支援プログラム」は、不登校や引きこもり状態から復学を目指す小学校中学年から高校生までを対象としたプログラムで、居場所の確保・日常生活の安定を通じ、参加者が未来を描けるようになることを目指しています。

また「就労支援プログラム/ゆるやか就労支援プログラム」は、高校3年生からが対象となるプログラムで、日常生活の安定や就労・就職準備・復職を目標としています。

具体的なプログラムには、メンタルケア、ソーシャルスキル・トレーニング、パソコン講座、キャリアプランニングの受講や参加者同士での疑似職場体験などがあり、円滑な社会生活を送るためのスキルや自信の獲得を目指す内容となります。

●不登校・発達支援プログラムの事業概要

○事業名:不登校・発達支援プログラム

○事業主体:NPO法人セカンドスペース(医療法人社団船橋はるかぜクリニックから委託運営)

○実施日時:毎週、火・水曜日 10時~12時30分

○対象年齢:小学校4年生~高校3年生まで

○実施場所:はるかぜクリニック内デイケア室(千葉県船橋市本町1丁目9-11 ドーイチビル2F)

○利用料金:医療保険、自立支援医療適用

 

 

(不登校・発達支援プログラムの事業紹介チラシ)

 

 

■セカンドスペースの概要

NPO法人セカンドスペースは、困りごとを抱えた子どもや若者(不登校・ひきこもり・ニート・発達障害・精神障害のある方など)の学習機会の確保や就労支援など、社会参画をサポートしている千葉県にある団体です。

不登校・ひきこもり者の「学校復帰・社会復帰」を目指した任意団体として、

セカンドスペースを市川市に開設して以来、船橋市・千葉市を主な拠点として、31年以上若者と社会との接点となる支援活動を行ってきました。

 ●自治体や医療機関からの委託事業を展開

NPO法人セカンドスペースでは、これまで創業時から31年以上、一貫して「不登校・ひきこもり者の学校復帰・社会復帰支援」の事業を行ってきました。

現在は、千葉県からの委託運営事業として、ライトハウスちば(千葉県子ども・若者総合相談センター)と、今回取材で訪れたクリニックからの委託運営事業として、デイケアプログラムなどの事業を中心に活動しています。

【ライトハウスちば】

千葉県子ども・若者総合相談センター「ライトハウスちば」とは、千葉県が子ども・若者育成支援推進法に基づき平成24年7月から設置し、NPO法人セカンドスペースが委託運営を行う事業です。

千葉県に居住する子ども・若者、御家族や御関係者等を対象とした、無料の相談窓口です。

相談員が電話相談や面接相談で、子ども・若者(概ね39歳まで)の抱える様々な悩みに対して話しを伺い、必要な情報を提供し、適切な専門支援機関をご案内する総合的な相談窓口です。

法人概要

○名称:NPO法人セカンドスペース(特定非営利活動法人セカンドスペース)

○代表理事:成瀬 榮子 様

○事務局:千葉県船橋市本町6丁目18番19号第3山中ビル401号室

○設立時期:2002年4月1日(2003年に法人格取得)

○役員数:11名

○職員数:12名

○事業内容:保健・医療・福祉/社会教育/子どもの健全育成分野に関する事業  

【リンク】NPO法人セカンドスペース 法人WEBサイト

 

 

(NPO法人セカンドスペース 事業案内チラシ)

 

 

■当日の模様

今回訪問した日は、デイケアプログラムのうち「不登校・発達支援プログラム」の実施日でした。こちらのプログラムは、毎週火曜日と水曜日の実施となります。

そのほか、毎週月曜日・木曜日には、もう一つの「就労支援プログラム」が実施されており、木曜日をセカンドスペースが委託運営しています。

【当日のプログラム】

10時

A:言葉の表現※隔週火曜日実施
(音読・発声練習・表現)

A:ソーシャルスキル・トレーニング
※毎週水曜日実施

11時

B:有償ボランティア※隔週火曜日実施

C:学習支援

D:フリータイム

12時

E:ゲーム/終了後に掃除の時間

13時

終了

【個別プログラムの目的・内容】

学習支援

月2回教員経験者が来室し、個別指導を受けられる。

ソーシャルスキル・トレーニング

年齢に合わせた学校・社会でおこる様々なシチュエーションを想定したトレーニング ほか。

言葉の表現

演劇の先生や参加者と一緒に音読等を行う ほか。

有償ボランティア

スタッフが同行のもとで、コンビニエンスストアでの就労体験 ほか。

ゲーム

自分の中にある想像力、単語力、知識、理解、類似、組み合わせ、ユーモア等の力を身につけて自己表現を行う ほか。

 

 

■課題と今後の展望

●医療的アプローチよりもコミュニケーションが大切

デイケアプログラムは、はるかぜクリニックの院長がセカンドスペースの成瀬理事長のもとを訪れたことから事業化に発展しました。

クリニック内でのデイケアなので、当初は、対象者の年齢別に、ウェクスラー式知能検査を基にしたゲーム等をしていましたが、試験的に事業を続けていく中で、オーソドックスなコミュニケーションが、対人個別援助の現場では大切であるとのことを再認識しました。

これら経験が技術研鑽となり、現在の事業の価値へとつながっています。

●活動拠点の確保

セカンドスペースは、特徴のある事業を地元で長年実施してきたので、その認知度から、度々自治体や医療機関などから協業の依頼を頂いてきました。

しかしながら、遠方エリアでは、職員確保など管理上の課題が大きく、拠点は船橋や千葉など、実績のある地域に集中しています。

今後は、空家等を活用し、目の届く地元で拠点を拡げたい構想があります。

 

 

 

 

(文責:広報公益委員会)