回は、前回参加させて頂いた「ママズスマイル月島店×保活座談会」のオンラインセミナーを共同開催されたママズスマイル月島店を訪れ、一時預かり専門託児所の活動内容と、運営者が感じている課題等についてお話を伺ってきた模様をお伝えします。

ママズスマイル月島店は、コロナ禍により東京都で外出自粛要請が発表されてから間もない、今年の4月10日にオープンしました。

難しいタイミングでの事業開始、本来、人と人との距離が近いサービスを提供する形態にもかかわらず、密を避けなければいけない社会的環境の中での難しさに直面しながらも、新しいアイディアを見出し、事業を継続しています。

今日のような制限が多い時代には、暮らしのニーズが届きにくくなります。そんな中で行っている、地域コミュニケーションと居場所の提供には、大きな役割があると感じました。

 

(ママズスマイル月島店内の保育スペース)

 


 

【ご協力頂いた方】
○ママズスマイル月島店 代表 秋葉 恵里 様
○保活座談会 主催 高橋 まき子 様
【取材場所】
○ママズスマイル月島店(東京都中央区月島2-20-14)

【取材日時】
○令和2年7月6日(月)13時30分~15時30分
 

 一時預かり事業とは?
一時預かり事業とは、子ども・子育て支援法や児童福祉法に規定された、地域における子育て世帯への支援サービスの一つです。
保護者の出産・病気・冠婚葬祭、習い事、ショッピング、美容院などのほか、育児疲れで子供からちょっと離れたいときなど、理由を問わず利用できます。
ただし、区市町村や施設によっては、就労や通院などの利用の際の理由を要件としているところもあり、管轄する区市町村で運用に差が見られます。
自治体が実施主体となり、委託を受けた、認定こども園・幼稚園・保育所等が法定事業(一時預かり・特定保育事業)として運営する場合、「一般型」「余裕活用型」「幼稚園型」「訪問型」などの種類に分かれます。

中央区内3ヶ所のこども家庭医支援センターでも、一時預かり保育事業を行っていますが、定員が5名~10名(緊急保育は1名ないし2名)となっており、その他民間事業者が実施する供給量を踏まえても、需要過多の状況が続いています。

また、厚生労働省の調査研究事業で実施された事業者ヒアリング調査()では、一時預かり事業の運営課題として「定員以上の申し込みがあり、断らざるをえない」が36.7%で最も多く、次いで「利用者数に応じた職員配置など、調整の負担が大きい」が27.1%、「配慮を要する子どもや乳幼児の預かりが増え、定員分預かることが難しい」が24.1%の結果となりました。

*出典:厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業「一時預かり事業の運営状況等に関する調査報告書」(2019年3月)/実施主体 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

 

■ママズスマイル月島店の概要
ママズスマイルは、株式会社ママズスマイルが運営する「一時預かり専門の民間託児所」です。そのフランチャイジーとして、秋葉さんがこの春、月島に事業所を立ち上げました。
【月島店の案内】
住所:東京都中央区月島2-20-14
●電話:03-3520-9958
●営業時間:9時~17時(時間外相談/土日祝日受付)
●利用対象:0歳~小学生
●利用料:1時間1,200円から(初回登録時に本人確認と保険加入が必要)
●開設時期:2020年4月10日(金)
●登録保育スタッフ数:9名
【リンク】ママズスマイル月島店ホームページ

 

(ママズスマイル月島店の事業案内チラシ)

 

【託児の際に必要となる持参品】

●ミルク(哺乳瓶)
●衣類(オムツ/着替え/スタイ等)
●おしりふき
●使用済みオムツを入れるビニール袋
●ガーゼなどのハンカチやタオル
●お弁当(お昼を挟む場合)その他

 

■自身の経験から共感し起業の道へ
●託児に「理由」と「罪悪感」はいらない
ママズスマイルの運営理念に、託児の際に依頼者の理由を問わないということがあります。
自治体・民間の事業者種別を問わず、規定上はプライベートな理由でも託児を拒まないとしていますが、実際の利用にあたっては事前登録や面接などで理由や背景を問われるケースが一般的です。
この手続きが、依頼者にとっては心理的な壁となると同時に、託児理由がママのプライベートなことの場合には罪悪感を抱き、利用をためらう結果に繋がります。
 秋葉さん自身が、この様な悩みを抱えていたところ、ママズスマイルを知る機会を得て、自分だけではなく他の人たちにもサービスを提供したいと考えるようになり、月島に託児所を開設することになりました。

●ママの幸せは家族みんなの幸せ
日々育児に追われるママにとって、『そう言えば、しばらく自分だけの時間を考えたことがなかった』ということが多いそうです。
プライベートが無くなることによって、心身のストレスを重ね、結果事故になることを避けるためには、個人のためのリフレッシュが必要です。
 働くママのための就労支援的な側面だけではなく、就労せず家庭を守っている家事専従者にとって、託児により自分の時間を楽しむことは、レスパイトケアとしての効果が大きいと言えます。

 

(代表の秋葉さんと娘さんで「ちび店長」のさくらちゃん)

 

 コロナ禍で事業を継続するための対策
●基本所作の徹底
新型コロナウィルス感染症対策として、来訪者に対する検温・手洗い・体調確認・器具の消毒、換気、及びマスクの着用などをこまめに実施しており、周辺も含めて感染した方は出ていません。

●身体的な感性症対策と同様に大切な「ママへの心のケア」
巷の話題に上ることも多いですが、子どもへの感染リスクへの過度な配慮、普段より高い家庭内での人口密度による家事負担の増加及び気疲れ等、子育て中のママ掛かるストレス過多が心配されます。

家庭内まで踏み込んだケアはできないため、対面・メールや電話などでの、ママへのこまめな声掛けに気を配っています。

●オンラインでコミュニケーションを図り「つながり」と「居場所」を提供
月島店のオープン日が、緊急事態宣言後だったこともあり、4月中は託児所を閉鎖していました。
そこで、4月から5月のあいだ、長期的な販促活動も兼ねて、各種の無料オンラインイベントを実施しました。これらは、現在も不定期に実施しています。

【実施したオンラインイベントのプログラム】

親子で楽しむプログラム
●手遊び
●読み聞かせ
●歌会
●ピアノ演奏会
●ダンス
●交流会
●託児所現地見学会
ママのためのプログラム
●フェイシャルマッサージ
●勇気づけ子育てアドラー心理学のお話会

 

ピアノ演奏会などにおいては、専門家である講師の方が、プログラムの趣意に共感・賛同され、無償で講師を引き受けて頂きました。
プログラムの告知は、地域情報サイト・SNS(Instagram/Twitter/Line)、及び無料動画サイト(YouTube)などを活用しました。

 

■課題と今後の展望
●もっとママたちに知ってほしい、もっと託児が「当たり前」の世の中になって欲しい。
秋葉さんによると、まだまだお子さんを預けることにネガティブな想いを抱いている方が多いそうです。
業界が成長することでサービスを普及させ、ママたちが「自分のための時間」を取りやすい環境づくりに貢献したい願いがあります。
また、一時預かりだけでなく、月極託児の希望にも柔軟に対応することで、子供の預け先に困っている方たちへのサポートもおこなっています。

●地域に馴染み、地域資源を味方につける。
現在、リラクゼーションサロンやネイルサロン、美容室など、近隣店舗との提携託児もおこなっており、もっと地域に「託児付き」のお店が増えるような工夫もしていきたいと考えています。今後も地域文化の一員としてその輪を広げながら託児所を運営していく予定です。

 

(託児所内の遊具の多くは地域の方々からの寄付だそうです)

 

 

 

~だれでも笑顔になれる中央区を目指して~

文責:中央支部広報公益委員会