今回は、中央区社会福祉協議会が運営する「さわやかワーク中央」の施設に伺った際の模様をお伝えします。こちらには、2011年に取材で伺っており、今回久しぶりの訪問となりました。
現在中央区内では、障害者総合支援法に基づく多くの就労継続支援事業所が運営していますが、「さわやかワーク中央」は、事業開始時期も古く地域の特色に寄添った運営を行っています。
歴史ある地域で、障害を抱えて暮らす人たちが「さわやかワーク中央」での仕事を通じて、商人の街と共生する地域社会の一員となっています。
【ご協力頂いた方】
○社会福祉法人中央区社会福祉協議会障害者就労促進部さわやかワーク中央
所長 増田 由美子 様
○社会福祉法人中央区社会福祉協議会障害者就労促進部さわやかワーク中央
主任・生活支援員 木幡 由美 様
【取材場所】
○さわやかワーク中央(東京都中央区東日本橋2-27-12 4階)
【訪問日時】
○令和6年2月21日(水)10時00分~11時00分
■「さわやかワーク中央」とは?
「さわやかワーク中央」とは、中央区社会福祉協議会(中央区社協)の障害者就労促進部が管轄する、障害者総合支援法に基づく就労継続支援B型の施設です。
「さわやかワーク中央」では、障害のある方に対し、働く場を提供することで生産活動や就労に必要な知識や能力、及び社会性の習得を支援するサービスを提供しています。
●就労就労継続支援B型(非雇用型)の概要
対象者は、一般企業等の雇用に結びつかない方や、一定年齢に達している方などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される方となります。
ここでのサービスを通じて、就労に必要な知識や能力が高まった方の中には、雇用型である就労継続支援(A型)や一般就労への移行を目指すことに繋っています。
●「さわやかワーク中央」施設概要
○名称:さわやかワーク中央
○設立:1994年9月
○設置者:社会福祉法人中央区社会福祉協議会
○現在の事業内容:障害者総合支援法に基づく就労継続支援(B型)事業所の運営
○対象者:原則として自力通所が可能な知的障害・身体障害・精神障害のある方で、障害福祉サービス受給者証をお持ちの方
○主なサービス内容:
(1)施設内での軽作業、公園清掃・ビル公開空地清掃(施設外就労)などの福祉的な就労機会の提供及び事業収入に基づく工賃の支給
(2)区役所、一般企業などでの実習機会の提供
(3)個別支援計画に基づく、就労および生活の質の向上に必要な知識や能力を身につけるための支援
○利用料:障害者総合支援法に基づく利用者負担額(所得に応じた軽減措置あり)。
○URL:【リンク】https://www.shakyo-chuo-city.jp/jigyo/sawayaka
■障害者就労支援を取巻く環境
●障害者支援体制の現状
障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスには、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援の4種類のサービスがあります。現在、中央区内の就労継続支援B型事業所は、さわやかワーク中央を含め9施設(*)が登録されています。
*出典:東京都福祉保健局「東京都障害福祉サービス情報」
また、厚生労働省の公表データ(令和2年3月)によると、全国で就労継続支援B型のサービスの利用者は約26.9万人となっていますが、令和2年における、就労移行支援・就労継続支援A型事業所を含めた就労系障害福祉サービスから一般企業への就職は、約2.2万人の実績となっています。
●東京都共同受注窓口(TOSTEP)
東京都では、就労継続支援B型事業所の工賃水準を向上させるため、「TOSTEP(東京都共同受注窓口)」を設置し、利用者や事業所の運営を包括的に支援する体制を構築しています。
TOSTEPは、「『未来の東京』戦略ビジョン」に掲げた東京都の施策のひとつとして、東京都福祉局が実施(委託事業者による運営)している事業です。
TOSTEPが窓口となり、民間企業や官公庁、関係機関等が発注する事業案件(役務・請負、物品・商品)に対し、相談応対及び対応が可能な就労継続支援B型事業所などにあっ旋・仲介を行っています。
■「さわやかワーク中央」の特徴と課題・今後の展望など
●地元に支えられてきた実績と伝統
「さわやかワーク中央」の特徴は、中央区内における就労継続支援(B型)の中では、自治体である中央区が設置した事業所以外では、最も歴史のある事業所であることが挙げられます。
NPO法人や営利法人等が母体となる事業所では、先ず日常の仕事探しが当初の課題となりますが、さわやかワーク中央が地元の方々と、開所後長年交流を重ねてきたことで、障害のある方が社会生活で必要となる「仕事」に対しての向き合い方を地元企業が理解し、協力する相互の関係を築いてきた実績が、大きな財産となっています。
●コロナ禍での交流機会の減少を乗り越え同業者ネットワークの構築を目指す
緊急事態宣言が発出されたコロナ禍では、登録利用者の方と接触する機会が制限されため、健康管理等が難しい状況もありました。また、国内の社会的課題同様に、慢性的な利用者や家族の高齢化の課題もあります。
一方、昨年新型コロナウィルス感性症が5類に移行されてからは、様々な交流が増加してきています。さわやかワーク中央では、利用者との交流だけでなく、中央区における共同受注の窓口となり、同業者連携のためのネットワーク作りの計画を進めています。
■当日の模様
さわやかワーク中央に伺った日は、夏日を記録した前日から一変した肌寒い雨模様でした。
当日午前中の仕事は、原則毎日行っている屋外での公園清掃に加えて、事業所内部での仕事は、提携する企業から受注した「タオル折り・袋詰め」「お弁当用の箸とおしぼり封入」「点字名刺加工」のほか、自主製品の作成・使用済切手のリユース製品の作成も行っていました。
~誰でも笑顔になれる中央区を目指して~
(文責:広報公益委員会)