今回は、街づくりと地域生活支援の活動事例紹介の一環として、武蔵野市立高齢者総合センターの活動の現状を伺ってきましたのでご紹介します。

高齢者総合センターでの地域振興(高齢者の日常生活支援から多世代交流の促進まで)施策を起爆剤として、武蔵野市内各小地域での見守りや地域振興の自主活動へと発展しております。

私たち不動産業の事業者が街づくり・地域振興を考えるとき、超高齢社会への対応を踏まえつつ、多世代交流や地域振興の支援を行っていく必要があるのではないでしょうか。それら支援が、街の力となり不動産としての価値形成にも繋がっていくことになります。同じ東京都の活動事例を学ぶことによって、今後の街づくりの参考にさせて頂きたいと思います。

取材にあたっては、高齢者総合福祉センターの所長にお話を伺うなど色々ご協力いただきました。

■ 武蔵野市立高齢者総合センターとは?

昭和44年に開業した福祉会館を建て替え、平成5年にオープンした施設となります。

入浴設備があり、風呂上がりの座敷で茶を飲みながらの交流などの昭和型の老人福祉センターから脱皮し、21世紀の高齢者像に合致する施設として構想されました。

○設置者:武蔵野市(指定管理者として公益財団法人武蔵野市福祉公社が運営受託)

○目的:高齢者の福祉増進

○住所:東京都武蔵野市緑町2丁目4番1号

(事務所 小①)IMG_1339

(事務所の風景)

■ 公益財団法人武蔵野市福祉公社の概要

武蔵野市立高齢者総合センターを運営する組織です。

ファイナンシャルプランナーの方などはご存じかと思いますが、武蔵野モデルと言われる直接方式でのリバースモーゲージを昭和56年に全国で初めて実施した組織として有名です。

その他、福祉公社として全国で初めて平成元年に財団法人の認可を得ました。

○事業開始:昭和56年4月(武蔵野市の出捐金を基本財産とする)

○事業内容:有償在宅サービス/福祉資金貸付/権利擁護センター運営/総合相談/調査研究・啓発普及 など

○本部:東京都武蔵野市吉祥寺北町一丁目9番1号 2階

*公益財団法人武蔵野市福祉公社の案内(ホームページ)   

■ 高齢者総合センターの事業内容

元気高齢者から要介護高齢者を対象にする幾つかの部署により構成されています。また、センターの中にある各交流スペース(会議室やホールなど)は、地域活動を行う団体が無料で利用できます。

1.管理・社会活動センター

センター施設の維持管理や高齢者の健康増進・教養向上・レクリエーションに関する講座開設、行事の実施などの活動を行っています。

2.デイサービスセンター

介護保険制度施行前の平成5年から事業を行っています。現在は介護保険を利用できる事業所として毎日35名前後の高齢者の方が通っています。

3.在宅介護支援センター・補助器具センター

在宅介護支援センターは、介護保険上の地域包括支援センターのブランチ機能を兼ね、高齢者の生活に関する総合相談所として、相談援助、社会資源仲介、介護保険事務等を行っています。

補助器具センターは、住宅改修や・福祉用具の相談を行い、介護保険が適用にならない場合に、市独自事業の福祉機器の貸与や住宅改修事業を行っています。

■ 昨年度(平成26年)の主な活動実績

○社会活動センターが管轄して下記の様々な事業を行いました。

1.各種講座の開設

スポーツ系から書道や茶道或いはギターなどの趣味、芸術文化活動まで、43の多様な講座を開設するなど、市内高齢者の介護予防、健康長寿の在宅生活に資する事業を実施しています。受講者数は年間延べ36,998人です。社会活動センターが主催した行事は17回を数え述べ2,691人の方が参加されました。

*平成27年度の月間スケジュール(PDF)添付

2.境南小学校ふれあいサロンを開催し、学校行事や給食の会食を通じての児童との世代間交流を行いました。

3.地域健康クラブ

高齢者総合センターから地域へ飛出し、武蔵野市内の各コミュニティセンターなどで21コースを開催しました。参加者の平均年齢78歳で、最高齢の参加者は96歳ということです。年間延べ33,144人が参加しました。

○デイサービスセンターでは、要支援の方への予防的リハビリトレーニングから重度要介護者の方への医療的ケアの実施も積極受け入れました。

プログラムは、個別のニーズ・健康状態に応じてメニューを分け(いきいきクラブ・はつらつクラブ・のびのびコース)年間延べ7,298人の方が利用されたということです。

(デイサービス 小)IMG_1341

(デイサービスセンターでの一コマ)

■ 今、力を入れている事業は?

所長に伺ったところ次の内容を教えて頂きました。

○健康長寿の介護予防:社会活動センターの自主グループ支援

○地域包括ケアを推進するための横断的な人的な組織作り(在宅介護支援センター)

○民間事業者の下支え機能(デイサービス、補助器具センター)

今回は、前述の通りリバースモーゲージの施策を導入し、高齢者の地域生活を総合的に牽引してきた先行事例を伺って参りました。街のセンター機能が、様々な小地域の自主活動へ派生し連携していました。今後益々の発展とご活躍を祈っております。

今後、地域の価値創造(資産価値の形成の集合)やその価値の維持には、継続した地域福祉活動を避けて通れない状況が強くなってきます。次回は、今回のような公的・大きい規模の組織が作ったセンター機能から派生した、小地域活動の実例に触れるチャンスを作れればと考えております。

 

~誰でも笑顔になれる中央区を目指して~

文責:中央支部広報委員会