今回は、不動産業者にとって日頃から親しみのある公益財団法人不動産流通推進センターに赴き、不動産取引を支援する事業のトレンド・周辺環境の現状についてお話を伺って参りました。

公益財団法人不動産流通推進センター(推進センター)が行う、不動産業者支援策には様々な施策があります。その中でも、「公認不動産コンサルティングマスター」の資格認定試験申込が、この8月から開始されとの事で、そちらのホットな話題をはじめ、各種スキルアップ支援策の概要を中心にお話を伺いました。

【ご協力頂いた方】
○公益財団法人不動産流通推進センター
事業推進室広報推進課長  勝見 知恵子 様
○公益財団法人不動産流通推進センター
教育事業部試験・登録課長 藍田 隆夫 様
【取材場所】
○公益財団法人不動産流通推進センター本部(東京都千代田区永田町1-11-30 サウスヒル永田町 8階東京都)
【訪問日時】
○平成28年8月18日(木)10:00~

 ■推進センターはどんなところ?

不動産業界で長い業務経験がある方はご存知だと思いますが、改めて推進センターの事業内容を整理するために、次の通りまとました。
○設立の目的
推進センターは、国民生活の安定向上と不動産業の振興に寄与することを目的に、国庫補助と不動産業界などからの出えんによって、昭和55年11月1日に設立されました。
それ以来、安全・安心な不動産取引を実現する不動産業の発達支援を行い、一般消費者の利益になる事業を行っています。

○事業のあらまし
◆調査・研究
(1)不動産流通の推進に関する調査・研究の実施(不動産流通センター研究所にて実施)
(2)不動産ジャパンの運営(物件情報検索・取引実務情報公開等の総合サイト)
(3)価格査定マニュアルの作成・普及の推進(WEB形式で公開/有償)
(4)指定流通機構制度の支援(REINSシステムの仕様の整備)
(5)不動産取引からの反社会的勢力の排除(連絡協議会の運営)

◆不動産相談
消費者や不動産業者からの不動産取引一般に関する幅広い相談に専門の相談員が応じています。相談内容のうち他の参考となる事例については、Q&A化し、HPで公開なども行っています。

◆教育事業
(1)講習・研修事業(WEBを活用した通信講座の開設他)
①受講生のレベルに応じた多様な研修
②宅地建物取引士の登録に必要な登録実務講習
③取引士試験受験に際して優遇措置が受けられる登録講習
④不動産流通実務検定“スコア”
(2)不動産コンサルティング技能試験・登録事業及び普及活動等
推進センターでは、国土交通省大臣への登録に基づき試験・登録を行っています。
技能試験合格者で登録要件を満たしている方は、「公認不動産コンサルティングマスター」として認定されます。
(3)教育支援事業(講師派遣等)
(4)出版事業
①研修・講習テキスト等の出版
②不動産業に係る各種統計情報「不動産業統計集」等をHPで公開

債務保証・助成
不動産業者等が共同で行う事業等に対する金融サポートとして債務保証事業を行っています。
①地域再生等支援事業(地域の再生・振興等の事業を共同で実施する資金)
②協業化事業円滑化事業(不動産の証券化を目的とした特定資産を取得するための資金)
【リンク】公益財団法人不動産流通推進センター

■中①業務のご案内_H27.8改訂版_01

■中②業務のご案内_H27.8改訂版_02

(推進センターの業務案内パンフレット)

様々な支援策
推進センターでは、「不動産業の健全な発達に関する支援を行うこと」を事業の目的としており、その一環として様々な教育プログラムを実施しています。
これにより、不動産業者の生涯専門教育及び技術の研鑽をサポートしています。

◆体系的に学ぶ継続学習
推進センターでは、継続学習を大きく2つの体系(コース)に棲み分けています。

宅建業法に係る業務宅建コース
宅建業務以外の総合業務コンサルコース

これらコースを基礎ステージ~プロフェッショナルステージのグレード別に分けた教育プログラムを実施しています。
さらに、一度切りの資格認定で終わらぬ様(生涯専門教育の実施)、これらの知識・技術を維持向上するために、「不動産流通実務検定スコア試験を定期的に実施しています。
このスコア制度は、生涯専門教育の集大成と考えられており、不動産業界版のTOEICを目指しています。
【リンク】フォローアッププログラム(生涯専門教育)専用サイト

■中③宅建&コンサルコース0603_01

 

 

■中④宅建&コンサルコース0603_02


■中⑤宅建&コンサルコース0603_03

(継続学習の案内資料)

 

公認不動産コンサルティングマスターの認定
公認不動産コンサルティングマスターは推進センターの認定する資格で、資格認定試験(不動産コンサルティング技能試験)の受験対象者は「宅地建物取引士資格登録者」「不動産鑑定士登録者」「一級建築士登録者」の3つの国家資格登録者の方のみとなっています。

この資格認定試験では、宅建試験にはない、経済・金融、建築、税制など幅広い知識が問われる試験です。
その後、資格認定試験に合格し、国家資格登録者として5年以上の実務経験があれば「公認 不動産コンサルティングマスター」として登録することができます。こちらは、5年毎の更新要件をクリアーした場合資格認定の更新が可能となります。

また、「公認 不動産コンサルティングマスター」には、さらに専門分野に特化した「専門士コース」があります。
(1)科目 ①相続対策専門士コース ②不動産有効活用専門士コース
(2)一定期間の研修を受け、修了試験に合格した方が各コースの「専門士」に認定
※認定は1年毎の更新が必要。

不動産コンサルティング技能試験の概要
本年度の不動産コンサルティング技能試験申し込みは、8月1日より始まっています。昨年度(平成27年度)は、全国で1,320名の方が受験され、654名の方が合格(合格率49.5%)されました。

受験申込期間平成28年8月1日(月)~平成28年9月16日(金)<Web申込>
試験実施日平成28年11月13日(日)
<ガイダンス>             午前10時15分~10時30分
<択一式試験>             午前10時30分~12時30分
<記述式試験>             午後 2時00分~ 4時00分
試験の内容
<択一式試験>             50問 四肢択一 ➡事業、経済、金融、税制、建築、法律の6科目
<記述式試験>             【必修科目】 実務、事業、経済の3科目 【選択科目】 金融、税制、建築、法律の中から1科目選択
(選択科目は、試験当日に問題を確認の上、選択して解答)
受験手数料30,800円(うち消費税等2,281円)
受験資格受験申込時点で次の①から③のいずれかに該当する方
①宅地建物取引士(主任者)資格登録者で、現に宅地建物取引業に従事している方、また今後従事しようとする方
②不動産鑑定士で、現に不動産鑑定業に従事している方、または今後従事しようとする方
③一級建築士で、現に建築設計業・工事監理業等に従事している方、または今後従事しようとする方
試験合格基準択一式及び記述式試験の合計200点満点中の一定以上の得点
(参考)平成27年度 115点以上/平成26年度 105点以上/平成25年度 120点以上
合格発表日平成29年1月13日(金)

【リンク】不動産コンサルティング技能試験 専用サイト

【リンク】年度別受験者数・合格者数(PDF

 ■中⑦コンサル試験・入門チラシ_01

■中⑧コンサル試験・入門チラシ_02

(不動産コンサルティング技能試験案内資料)

 ■今後の活動方針
推進センターでは、これまで触れてきたように「ブラッシュアップ(技術の研鑽)」に今後より一層力を入れて行くとの事です。継続したブラッシュアップが不動産業者を営む者のステイタスを高め、それが一般消費者の保護に繋がる仕組みを作ることになります。
また、これら施策を推進するための具体的なプログラムは次の通りの内容を進めています。

●フォローアッププログラムの専用サイトの開設(前述にリンク貼付)
●フォローアッププログラム誘導・定期閲覧者増加のための「サイト登録無料→メルマガで情報の配信」
●上級者のための研修だけではなく初級者のための各種講座・研修の拡大
●不動産業者が仲介取引に終始せず案件の川上に立てる流れを支援するための仕掛け構築
①コンサルティング事例の積極紹介
②コンサルティング実務に役立つツール(業務報酬見積書事例その他)の公開

今回お話を伺った教育事業の部門は、特に我々実務者に近い立場の役割を担っており、現場に関わる人々・業界全体の支援にかなり高い意欲を持って臨んでおられる事を知る良い機会となりました。

 

(文責:広報委員会)