今回は、商店街振興に街づくりイベントを取入れた一例の現場に伺って参りました。街づくり支援のコンサルタントである鈴木社長からイベント開催のご紹介を頂き、当日は、神宮前二丁目商和会の佐藤会長へインタビューをさせて頂きました。

昨今、少子高齢化や地域文化の変化などで、都内の歴史ある商店街でも、その影響を受けて、これまでの実績や立地だけでは簡単に商売が続けられる時代ではなくなってきております。

今回伺った神宮前二丁目商和会では、地元渋谷区で活動している街づくりのNPO団体と協働で、「商店街振興と多様性を持った街づくり」を一括して推進する事をコンセプトとした活動を行っております。

ピープルデザインST2016秋(1) (400)

 (大盛況だったイベントでの集合写真)

【ご協力頂いた方】
○神宮前二丁目商和会 会長 佐藤 正記 様
○株式会社タスクフォース 代表取締役 鈴木 恒雄 様
【取材場所】
○神宮前二丁目商和会(東京都渋谷区神宮前二丁目25付近)
【訪問日時】
○平成28年10月10日(月)11:00~

■「ピープルデザインストリート」とは?

ピープルデザインストリートとは、神宮前二丁目商和会が主催し、NPO法人ピープルデザイン研究所が運営企画を担当する商店街振興のイベントです。商店街振興という課題に地域福祉の課題も掛け合わせた仕組みづくりが活動の理念になっています。

佐藤会長にお聞きしたところによると、地域福祉支援にはダイバーシティ・マネジメントの手法(障害の方やLGBTの方など多様性も持った人たちの活動支援)をヒントに、地域で暮らす・活動する人たちの主体的参加を含めたイベントをやりたいと、渋谷区と地元町会等と協議を重ね、3年前の10月に第一回目のイベントを開催したそうです。このイベントは、年2回程の開催となっており今回で5回目の開催日でした。

毎回新規参加を希望する団体等が増えているそうですが、基本的に会場は封鎖した一般道路を活用するため、スペースに限りがある点が課題だと教えて頂きました。また、当日は6,600人もの来場者数とのことで、その人気が覗えます。

【ピープルデザインストリートvol.5の概要】
○主催:神宮前二丁目商和会
○企画運営:NPO法人ピープルデザイン研究所
○開催日:平成28年10月10日 11:30~15:30
○後援:渋谷区
リンク:ピープルデザイン研究所のFBページ(イベント情報)

(イベントのチラシ表面)

(イベントのチラシ表面)

(イベントのチラシ裏面)

(イベントのチラシ裏面)

(人気サンドを販売するブース)

(人気サンドを販売するブース)

(青空マージャンをはじめ多彩なブース)

(青空マージャンをはじめ多彩なブース)

(プロバスケット選手との交流)  

(プロバスケット選手との交流)

(ブラインドサッカーの体験コーナー)

(ブラインドサッカーの体験コーナー)

(マグロの解体ショー)

(マグロの解体ショー)

(地元球団の人気マスコットの方も参加)

(地元球団の人気マスコットの方も参加)

 

■神宮前二丁目商和会の概要

神宮前二丁目商和会は、任意団体の位置づけですが、渋谷区商店会連合会に所属しています。昨年6月現在ですが、連合会には区内の58もの商店会が加盟しており、神宮前二丁目商和会には、各種物販業から飲食店・診療所や美容院等のサービス業に及ぶ幅広い業態の事業所が76店舗(支店を含む)ほど加盟しております。

立地的には、原宿と千駄ヶ谷の中間地点に位置し、庶民的な雰囲気とオシャレ風味がバランスよく融合された商店街といえます。裏原宿の言葉は耳にしますが、このエリアは「奥原宿」と呼ばれています。

エリア内には、明治9年開校の歴史を誇る渋谷区立千駄ヶ谷小学校もあり、異業種交流に加え多世代交流も盛んな地域です。

また、商店会に設置された42本の街路灯は「奥原宿ストリートミュージアム」として、展示機能を加えて3年前にリニューアルしました。展示物は、商店会の方々が保存されていた昔の写真などで、街の歴史を大切にしている気持ちが伝わってきます。
リンク:神宮前二丁目商和会の紹介ページ(渋谷区商店会連合会HPより)

(NPO法人と協働発行の地域新聞)

(NPO法人と協働発行の地域新聞)

 

■本当の商店街振興策とは一過性の「お祭り」で終わらせず続けること

佐藤会長にイベントの目的を尋ねると、第一に商店街の振興を上げておられました。

商店会加盟の方々の本業に繋げることができなければ、関連する地域課題の解決やサポートも当然する余裕は出て来ません。一過性のイベントに終わらず、イベントを継続する事によって、商店会・個々のお店の認知度アップとファンを増やしていく事が大切であると強調されていました。口コミによる効果は大きいとも教えて頂きました。

「苦労ばかりですよ(笑)」と会長は話されていましたが、子供たちをイベントに参加させ、親世代の方を巻込んだ賑わいを演出するなど、常にアイディアを考えているとの事でした。

■神宮前二丁目商和会の今後目指していく方向性

神宮前二丁目商和会は、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアム(新国立競技場)至近の立地にあります。8万人収容と言われるスタジアムを中心とした次のオリンピックでは、沢山の方の往来が予想されます。海外からの方をはじめ障害を持つ方や多様な文化を持った方々など「皆が来やすい街」を作り上げることが目標だという事でした。同時に、青少年の育成にも力を入れて、次のオリンピック・パラリンピック後も街の活性化が持続するための活動を続けていく予定であるとおっしゃっていました。

次回のイベントは、来年の春に開催予定との事です。今後、神宮前二丁目商和会の皆さんの活動が、産業振興+地域力向上の成功事例になることを願っております。

 

文責:中央支部広報委員会