今回は、前回の「English Drive学習会実践レポート報告会」への参加取材事業に続き、同じくキッズドアの仙台にあるブランチ(東北事業部)へ伺ってきた際の模様をお伝えします。東北事業部のオフィスは今年6月に現在の場所に移転し、以前よりスペースを広げ、活動も活発に行っています。

また、東北事業部では、地元仙台市を中心とした学習支援活動の他、東北復興事業(地方創生推進事業)も積極的に行っています。これまで宮城県の他、震災被災地の一つである福島県双葉郡楢葉町での学習支援・コミュニティ再生支援活動を行ってきましたが(2014年度で終了)、現在でも南三陸町(宮城県本吉郡南三陸町)と連携した形で、小学生から高校生までの地域の子供たちへの学習支援を中心とした地域支援活動を続けています。

(キッズドア東北事業部の学習室)

(キッズドア東北事業部の学習室)


 

【ご協力頂いた方】
○特定非営利活動法人キッズドア 東北事業部長 對馬 良美 様
○有限会社大東不動産商事 代表取締役 佐藤 勉 様(社会人ボランティア)
【取材場所】
○会場:キッズドア東北事業部オフィス(宮城県仙台市宮城野区榴岡3丁目2番5号サンライズ仙台ビル2階)
【訪問日時】
○平成29年12月4日(月)午前11時

■ キッズドア東北事業部の概要
【基本データ】
○開設:2011年6月 *当時の名称は東北事業所
○事業内容:
≪学習支援事業≫高校受験対策講座(タダゼミ)/大学受験対策講座(ガチゼミ)/英語塾(English Drive)/中学1年生・2年生を対象とした高校受験準備講座(タダゼミJr.)/自習室(ネクスタ)
≪東北復興支援事業≫戸倉小学校放課後子ども教室(戸倉っ子教室)/志津川中学放課後学習支援/志津川中学校オンライン授業(すがスク)/南三陸町出張学習会/志津川高校学習支援センター(「志翔學舎」)
○TEL:022-354-1157 ○MAIL:tohoku@kidsdoor.net
○開講日時/各学習支援事業

タダゼミ仙台 毎週日曜日 9時30分~16時30分
ガチゼミ仙台 毎週日曜日 10時~17時
English Drive仙台 毎週土曜日 14時~16時
タダゼミJr中1コース 毎週金曜日 19時~21時
タダゼミJr中2コース 毎週火曜日 19時~21時
自習室ネクスタ 平日3日程度 17時~21時

○開講日時/東北復興支援事業

戸倉っ子教室 毎週月曜日~金曜日 14時30分~15時30分
志津川中学校放課後学習会 毎週2日程度(夏期・冬期は集中講座を実施) 16時~18時
すがスク(志津川中学校) 毎週2日程度 16時~18時
出張学習会(町内施設) 毎週土曜日(期間事業) 13時~17時
志翔學舎(志津川高校中講義室・旭朋会館) 平日(平日・休日含め週5日開催) 16時~21時
休日 9時~17時

※期間事業は過去事例を掲示

【主な学習支援のプログラム内容】
1.タダゼミ仙台(定員40名)
親の経済状況などから塾などに通えず、高校受験対策に不安がある中学3年生を対象とした学生ボランティア講師による無料高校受験対策講座です。主に公立高校向けの入試対策を行っており、参加者の高校進学率は100%です。
2.ガチゼミ仙台(定員15名)
家庭の経済的事業などから塾に通えない高校生等を対象とした「全員が大学合格を目指す」無料大学受験対策講座です。対象は高校1年生から3年生および浪人生です。高校入学後の中退予防の支援も目的としたプログラムとなっています。
3.English Drive仙台(定員15名)
経済的な理由で塾に通えない中学1年生~3年生等を対象とした無料英語学習プログラムです。英単語テスト・個別指導の他に、アクティビティも取入れ「楽しく英語を学ぶ」「英語を好きになる」プログラムです。
4.タダゼミJr(定員各学年8名)
親の経済状況などから塾などに通えず、学校の授業内容について行けなくなりがちな中学1年生~2年生を対象とした、大学生ボランティア講師による無料高校受験準備講座です。

(教室入口にあるカワイイ木製看板です)

(教室入口にあるカワイイ木製看板です)

 

被災者支援から始まった学習支援(東北復興支援事業)
キッズドア東北事業部における東北復興支援事業は、法人内で「地方創生推進事業」として位置付けられた主要な事業の一つとなっています。
今では、各自治体と連携した補助事業として行われているプログラムも多く、固い事業基盤が出来上がっておりますが、事業化の切欠は、震災発生直後東京本部から職員の方々が被災地に出向いて行っていた瓦礫撤去などの被災者支援活動にあったそうです。

瓦礫撤去活動などの被災者支援を通じて、「子どもたちの居場所が足りない」「子どもが学習する機会が足りない」「子どもたちの交流が足りていない」などの課題・ニーズの存在を強く感じ、これらの支援策を少しずつ実践してきた結果、現在の形態に発展して来ました。

仙台での学習支援の特徴は?

●仙台での学習会の特徴
全体を通じた特徴を對馬さんに伺うと、生徒さんたちの距離が近いことを大きな特徴に上げていました。
一つの教室で複数の学習会が行われているため、物理的に交流の機会が増える要因に加え、一人で複数のプログラムを掛け持ちしている生徒さんも多く、人間関係が深まっています。

●タダゼミJrが始まったエピソード
タダゼミは、高校受験対策のプログラムで、対象は中学3年生となっています。以前、タダゼミに参加している生徒さんが「妹にも受けさせたい!」と希望した事が切欠で、参加対象を中学1年生・2年生としたタダゼミJrが生まれました。
タダゼミJrは、先ずは初歩的な勉強の仕方を学び、学習の習慣を身に付け、早い段階から高校受験を目指す事がプログラムの理念となっています。

●東北大学とのパイプ
東北事業部で活躍している学生ボランティア講師の多くは、現役の東北大学の学生さん達です。毎年大学で行われる新入生説明会等でブースを出展し、そこでキッズドアの活動趣旨を伝えているそうです。理念に共感した学生さんがキッズドアの学生ボランティア(講師)として登録し活動しています。

●仙台で感じたEnglish Driveの特徴
東北事業部でのEnglish Drive対象生徒は、中学1年生~3年生となっています。15名定員で、とてもアットホームな雰囲気の中でプログラムを実施していますが、3学年がひとつのクラスの仲間になるため、年長の3年生が自発的に1年生の面倒を見る等の役割分担が出来ているのが特徴です。
反対に、1年生から見ると3年生と言う「身近なロールモデル」を知る機会となり、自分自身の近い将来目標が描ける等の効果が生まれています。

その他の効果としては、今年6月に現在の場所に教室を移しましたが、以前より専有面積が拡大したので、English Driveの成果発表会において、体で表現したデモンストレーションがしやすくなった等の意見がありました。

現在の課題と今後の展望

現在の課題には、①ボランティア講師集め②職員の専業分化③スポンサー集め、等を上げていました。

ボランティアに関しては、現在東北大学とのパイプはありますが、その他の大学生にも門戸を広げ、色々な立場のボランティア組織を作り上げたい希望を持っています。社会人ボランティアにも同じことが言え、出身母体やその人の背景が違っても孤立しない共同体にしたい目標を持っています。
スポンサー集めに関しては、仙台をはじめ東北の地元企業等との独自のパイプを強くし、東京本部に頼らない地域の独自色を打出した関係を強めていきたい希望を持っています。

これら当面の課題解決の目標を実践するために、今後の具体的なプランとして、東北事業部のホームページ機能の強化等独自の広報活動を展開すると共に、これまでの自治体とのパイプを一層強め、官民協業の連携事業を拡大して行く計画を持っています。

(東北事業部の教室に備えてある書庫)

(東北事業部の教室に備えてある書庫)

☆キッズドア・ラーニングラボTOKYO(東京・八丁堀)と同じく、活用されている臨場感が伝わってきました!

 

文責:中央支部広報公益委員会