今回は、ゲームを通じたコミュニティコーピング(社会的孤立の課題を解消する支援)体験会の活動現場に参加してきた模様をお伝えします。

コロナ禍により、地域活動やそのベースとなる相互のコミュニケーションは、オンラインその他様々な形で実施されています。

この様な社会情勢のもと、コミュニティコーピングを運営する一般社団法人コレカラ・サポート(コレサポ)では、地域コミュニティの「新しく、ほどよい付き合いかた」の周知活動と相談支援の実務を行っています。

コミュニティコーピングという言葉には、メンタルヘルス領域で使われるコーピング(ストレスコーピング)と異なり、「人の繋がり」=「コミュニティ」の要素を含有するというコレサポの活動理念をもとに、創り出した背景があります。

 

(イベントの集合写真とオンラインゲームの模様)

 


 

【ご協力頂いた方】
○一般社団法人コレカラ・サポート 代表理事 千葉 晃一 様
【取材場所】
○参加者各自の自宅・職場など(オンライン会場)

【取材日時】
○令和2年9月12日(土)14時~16時

 

 コミュニティコーピングとは?
コミュニティコーピングは、ゲーム体験を通じ超高齢社会における「社会的孤立を解決するための大切なヒント」を得るためのプログラムです。

メンタルヘルス分野では、ストレスの原因に働きかけて問題解決をはかることを「ストレスコーピング」の用語で表現しますがコミュニティコーピングにおいては、地域に寄せられた様々な問題に対処して問題解決と不安解消をはかります。

コレサポでは、これまでの相談支援の現場で培った経験を基にして、「コミュニティコーピングの周知と普及」、及び「若年層を中心とした地域の潜在的な担い手の発掘」を目的として、オンラインゲームの形態で地域支援ツールを開発し、プログラムを運営しています。オンラインゲームの形態は、支援者として地域活動へ参入しようとする人の心理的障壁を軽減する効果が期待できます。

●一般社団法人コレカラ・サポートの概要
○設立:2011年(法人格取得2012年4月)
○所在地:千葉県松戸市新松戸4-32-1
○電話番号:050-3633-8343
○事業内容:
・高齢者世帯への資産全般、相続等の専門家と連携した相談支援事業
・人財育成事業
・アナログゲーム開発及び普及事業 ほか
○メディア掲載:
・NHK「首都圏ネットワーク」(2013年5月24日放送)
・テレビ埼玉「ごごたま」(2015年6月3日放送)
・時事通信社「厚生福祉」(2015年4月21日掲載)ほか

【リンク】一般社団法人コレカラ・サポート 法人WEBサイト

 

 コレサポとして事業をはじめたきっかけ
●大震災の発生を機に専門職による支援活動を開始
コレサポは、東日本大震災が発生した2011年に発足しました。
当時、社会的弱者である高齢者を対象に、「高齢期の財産を始めとした複雑な悩みをワンストップで相談できる仕組みをつくれないか?」と考えていた専門職の人たちが集まり、相談事業を始めました。

●アウトリーチの必要性
相談支援活動をはじめてから、相談者(当事者やご家族)が介護や看護が必要などで困っている最中の場合、専門職に会いに出かけること自体が困難なケースが多いことに気づき、こちらから訪問をする活動に切り替えました。

 

(時事通信社「厚生福祉」/2015年4月21日掲載記事)

(東京新聞/2015年5月6日掲載記事)

 

 

 コロナ禍で事業を継続するための対策
●コロナ禍における必要性からコミュニケーションツールを開発
コミュニティコーピングを普及させる目的のゲームプログラムに関しては、当初アナログカードを作成し、集合開催を予定していました。
しかし、今回の新型コロナウィルス感染症の発生により計画を一旦断念し、ユドナリウムというツールを用いて、オンラインで参加できる仕組みをつくりました。
また、相談支援に関しても、オンラインでの相談対応を開始し、オンラインとオフラインの両方の良さをうまく組み合わせる形に変更し、運営しています。

 

■当日の模様「コミュニティコーピングβ版体験会」
●β版の体験会としては最後の開催
β版とは、正式版のリリース前の最終サンプルのバージョンのことで、今回のβ版体験会は通算5回目を迎え、最後の開催となりました。
1グループ4名×2グループのプレイヤーに加え見学者も交えた中、ゲーム作成までの経緯〜ユドナリウム説明を経て、実際にゲームをプレイしました。

 ゲームでは多くの気付きを得ながら、プレイ時間内の課題をすべてクリアし切って終わることができました。
参加者の方々からは、「全体を把握しづらいテーマが、非常にコンパクトに表現されていた」「楽しんでプレイできた」「普段、地域活動などに携わっていない方とも、感性を共有できそう」「何事もCopingからなんだな…」などのコメントが寄せられました。今後正式版がリリースした後も、体験会は引き続き開催される予定です。
 

■課題と今後の展望
●地域で暮らす高齢者を社会的孤立から救済する支援の継続
老々世帯や頼る親族がいない人など、支援を受けることが難しく社会的に孤立した人が増えてくる中で、どう地域の中で接点を作り継続的に支援していくのかが、課題と認識しています。この様な人たちへの新たな支援者となる人材を発掘・育成するために、アナログゲームで体験できるゲームの開発と普及活動に力を入れています。
コミュニティコーピングは、こうした状況のなか、課題解決シミュレーションゲームを通じ、「人と地域資源をつなげることで社会的孤立を解消」することが体験できる仕組みとして開発されました。

●社会的課題解決の担い手を育成
現在行っているコミュニティコーピングβ版は、10月から正式版としてゲームをローンチさせる予定です。
参加者のニーズに応じて、このゲームを広めたいという方にはゲームファシリテーター養成講座を実際の活動に何か活かしたいという方には、ゲームに登場するCOPINGの手法を学ぶCOPING講座を、それぞれ予定しています。

 

 

 

文責:中央支部広報公益委員会