今回は、都市農園と地域をつなぐことで社会貢献を目差す地域密着型EC*を運営するサンタ・カンパニー代表の大串さんに、活動の理念や事業の特色などについてお話を伺った模様をお伝えします。

 

サンタ・カンパニーでは、北多摩エリアの農家さんとのつながりをベースに、東京都内の都市農園で収穫された東京都産の新鮮野菜を主に、自社ECサイト(店舗名「東京いちば(tokyoマルシェ)」)や、高齢者福祉施設・地域イベントとタイアップしたマルシェで販売し、地域活性化を農業面から実践しています。
また、事業活動においてはSDGs(国連サミットで採択された国際目標)を理念の柱と考えており、身近な社会課題の解決に取り組んでいます。
*EC:Electronic Commerce(ネット通販などの電子商取引)

 

(都市農園と大串さん「都筑農園(府中市)×東京いちば」)

 


 

【ご協力頂いた方】
○サンタ・カンパニー 代表 大串 哲人 様
【取材場所】
○オンライン取材ほか
【取材日時】
○令和3年3月28日(日)

 

■サンタ・カンパニーとは

サンタ・カンパニーは東京を本拠地とし、「様々な人の考えや想いをつなぐ」「地域と地域をつなぐ」「地域と人をつなぐ」支援を行い、社会へ貢献することを目指す企業としてゼロからスタートしました。

その中の地域と人をつなぐ事業として、東京都産の生産物を地域密着型ECサイト「東京いちば(tokyoマルシェ)」で販売、そして都内の高齢者福祉施設でマルシェを企画運営しています。

 ●運営理念:地域と人をつなぐ
「都内の採れたて新鮮野菜を都内の高齢者福祉施設を通じて、地域住民へ提供し、地元東京の土でできる味わいを楽しんでいただき、良さを再確認、もしくは発見してもらいたいと考えています。」
将来的には、都内生産地域で収穫体験を実施するプログラムを企画しており、デジタルとアナログを融合した包括的展開を実施しています。

組織の概要
○運営主体:サンタ・カンパニー(店舗名「東京いちば(tokyoマルシェ)」
○代表者:大串 哲人 
○本部:東京都小金井市本町5−38−25−306
○事業内容:地域密着型EC、マルシェ・収穫体験の企画運営、ベジ・デリバリー
○設立:2019年7月
○e-mail:info@santa-company.jp

【リンク】東京いちばWEBサイト
【リンク】東京いちばFBページ
【リンク】東京いちばInstagram
【リンク】東京いちばTwitter
【リンク】東京いちばYouTube
【LINE ID】@938mahib (旬野菜情報・マルシェ開催情報を配信)

 

■「都市農園の現状」と「SDGs」

都市農園の現状
東京都の農地面積は2018年に6,790haとなっており、3年前の2015年の7,130haから340ha純減しています。さらに、2022年には生産緑地解除により、農地が減少する傾向は高まると推測されています。
サンタ・カンパニーは、「東京の都市農業を守るためにも、東京の人に東京の野菜をもっと食べて欲しい。」との想いで、都産都消の観点から活動しています。

また、東京都では、都市農業に対する施設整備費補助を柱とする「都市農業パワーアップ事業(平成22年度~平成27年度)」「都市農業活性化支援事業(平成28年度から)」を実施しています。この事業により、都市農業の活性化を目的としています。
 *出典:サンタ・カンパニー調査/東京都産業労働局農林水産部農業振興課 資料

●SDGs
SDGsとは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
これは、17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。(外務省:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省 (mofa.go.jp))
サンタ・カンパニーは、SDGsの視点を持ち、地域福祉に寄与する事業活動を行っています。
*出典:サンタ・カンパニー調査/持続可能な開発目標(SDGs)推進本部 資料

 

(東京いちばWEBサイトのバナー)

 

■地域と人をつなぐ様々なプログラム

●マルシェ
朝に収穫した野菜をその日の午後に販売します。
都内高齢者福祉施設の敷地内で地域住民と施設利用者や職員など関係者に向け、採れたて野菜を販売しています。目的は、地域のケア拠点である高齢者福祉施設が東京都産野菜により、地域住民と食を通じて交流を図る、「地域密着型マルシェ」です。

第一回目のイベントは、2020年9月の敬老の日に世田谷区下馬にある優っくり村下馬(運営:社会福祉法人奉優会)で開催し、商品は2時間程で完売しました。その後、毎月同施設で開催しています。

二回目以降は施設側が認活(認知症予防活動)講座、感染予防講座を同時開催しコレボレーションしました。
その後、新型コロナウィルス感染症蔓延の第三波到来・緊急事態宣言のためマルシェも自粛していましたが、今年4月以降優っくり村下馬をはじめ、文京区・北区・港区でも同イベントの開催を予定しています。

ベジ・デリバリー
マルシェが自粛、そしてコロナ禍で外出や買い物ができない高齢者福祉施設のご入居者の「免疫力アップ」「認知症促進予防」などを栄養面からサポートすることと普段の食事に少しでも季節を感じてもらいたい想いから、べジ・デリバリーのプログラムを企画しました。
収穫した採れたて野菜を配送会社を通じて翌日には施設へお届けします。都内の認知症グループホームからの問い合わせが特に多く、まずは4月から東京都港区の認知症グループホームでスタートします。

●収穫体験
ただ買うだけではなく、体験してより身近にそして感動してもらうことを目的に、ECの出店農園や、地域密着型マルシェへ出店・提供している農園とタイアップして、収穫体験を企画運営しています。
例えば、マルシェを開催している世田谷区の高齢者福祉施設から車で1時間ほどの距離にある府中市内の農園で収穫体験などのイベント実施です。

 

(優っくり村下馬で開催したマルシェの模様①)

(優っくり村下馬で開催したマルシェの模様②)

 

 

■コロナ禍での活動と影響

東京いちばにおいても、コロナ禍で多くの地域イベントが中止・延期・縮小せざるを得ない状況が続いています。その対策としてオンラインによるつながりをつくる活動や、人数を制限したイベントを行っていますが、その一方で地域の絆やつながりへの希薄化が懸念されます。

サンタ・カンパニーは、その様な中でも「地域と人」「地域と地域」をつなぐ活動を目指して次の展開を準備しています。

 

■今後の展望

●地域の課題解決が私たちのゴール
現在、新型コロナウィルス感染症の影響で、収穫体験のプログラムなどは活動自粛中ですが、自粛措置の緩和後は開催する予定です。
これまでの地域活動の中で感じている身近な社会課題の解決に取り組むため、そしてSDGsの達成に向け、何ができるかを考え活動を続けて行きます。

都市部と都市農園との良好なつながりを支援していく中で、都市農園の魅力を発信し、且つ農産物の正しい知識とともに提供することで、持続可能な「都市部と都市農園との地域循環社会の一助」として貢献していきます。

 

(「ベルマッシュ(府中市)×東京いちば」)

 

(「清水農園(国分寺市)×東京いちば」)

 

(「阪本農園(小金井市)×東京いちば」)

 

(文責:広報公益委員会)