今回は、令和元年にお話を伺った、京橋プラザ(中央区銀座1丁目)の3階に事務局がある一般社団法人中央区観光協会をふたたび訪れ、コロナ禍で感じている観光業界の変化や、厳しい環境でも大切にすべき下町文化の振興などについて、お話を伺った模様をお伝えします。
前回訪問した際は、東京オリンピック・パラリンピックを翌年に控え、またインバウンド需要の高まりを背景にした3,000万人を超える訪日外国人観光客の観光需要など、観光振興は著しい成長を経験していた環境下でした。
その後のコロナ禍で観光産業は深刻な打撃を受けていますが、新しい視点で創られたアイデアや、環境の変化に負けない地域文化の再発見など、中央区観光協会ではこれからを見据えた、観光・地域文化の振興のための事業に取組んでいます。
【ご協力頂いた方】
○一般社団法人中央区観光協会 事務局長 斎藤 裕文 様
○ 同 所 観光ゼネラルプロデューサー 佐藤 英也 様
○ 同 所 観光プロデューサー 近藤 有紀子 様
【取材場所】
○一般社団法人中央区観光協会事務局(東京都中央区銀座1-25-3 京橋プラザ3階)
【訪問日時】
○令和3年9月13日(月)AM10時00分~
■中央区観光協会とは?
一般社団法人中央区観光協会は、1959年(昭和34年)4月に任意団体として発足しました。
活動の理念には、「魅力の向上」「地域の活性化」「誇りと愛着をもてる街づくり」などを掲げ、中央区内にある豊富な資源を活かし、観光事業の振興に関る多くの事業を手掛けています。
活動原資は、趣旨に賛同する団体や個人会員からの会費と、中央区からの補助金等になります。また、2016年(平成28年)4月には、一般社団法人として新たな一歩を踏み出し、活動の幅を広げています。
●組織概要
○名称:一般社団法人中央区観光協会
○設立:平成28年4月1日(団体設立 昭和34年4月1日)
○所在:〒104-0061 中央区銀座1-25-3 京橋プラザ3階
○交通アクセス:東京メトロ有楽町線新富町駅 2番出口 徒歩5分/都営地下鉄浅草線宝町駅 A1出口 徒歩3分
○電話:03-6228-7907 ○FAX:03-6228-7908
○ホームページ:【リンク】中央区観光協会公式WEBサイト
●主な活動内容 *緊急事態措置等の影響により中止のプログラムあり
区分 | 事業名 |
PR活動 | 観光ガイドマップの発行 |
中央区観光地図アプリ「中央区街歩きマップ」の配信 | |
観光協会WEBサイトの運営(SNS含む) | |
観光協会ニュースの発行 | |
中央区観光情報センターの運営 | |
イベント実施 | 中央区観光写真コンクールの実施 |
中央区観光大使・ミス中央選考会の実施 | |
中央区観光検定の実施 | |
ツーリズム | 市場橋駐車場の運営 |
「わくわくツアー」の実施 | |
観光特派員の活動 | |
観光ボランティアガイドの紹介 | |
お江戸満喫まち歩き(旅行会社向け) | |
オリジナル商品の販売 | オリジナル切手の販売 |
オリジナルポストカードの販売 | |
オリジナル風呂敷「千社札ふろしき」の販売 | |
JAPAN・FIRSTS(大判風呂敷)の販売 | |
オリジナル手ぬぐい「ACROSS・CLOTH」の販売 | |
江戸文字ぽち袋の販売 | |
東京くみひも拍子木の販売 | |
千社札名刺入れの販売 など |
■観光業の現状と動向
●日本の観光動向(訪日外国人旅行および日本人国内旅行)
「令和3年版観光白書」によると、2020年の訪日外国人旅行者数は412万人(前年比87.1%減)となりました。一方、同年の日本人の国内宿泊旅行延べ人数は1億6,070万人(前年比48.4%減)、日帰り旅行延べ人数は1億3,271万人(前年比51.8%減)となりました。
国内旅行消費額でみると、昨年の日本人国内旅行消費額は10.0兆円(前年比54.5%減)となりました。
●観光業における新型コロナウイルス感染症の深刻な影響
GoToトラベル事業等の需要喚起策の推進によって、2020年11月にかけて一時的に国内旅行需要が回復しましたが、再度の感染拡大と緊急事態宣言発出等により再び減少となりました。
約900万人の雇用を抱える観光関連事業者の事業継続や雇用維持のため、政府では無担保融資などの支援や一時支援金の支給等を実施し、宿泊業・旅行業の多くの事業者が活用しました。
●観光トレンドの変化
(旅行形態の変化)
国内旅行においては、同一都道府県内等、近隣地域内での観光(マイクロツーリズム)の割合が増加し、同行者については「夫婦・パートナー」の割合が増加し「友人」の割合が減少しました。
(滞在型観光、分散型旅行、オンライン)
1つの地域で滞在し文化を体感する滞在型観光や時間と場所を分散する分散型旅行のほか、オンラインツアーも普及し、地域物産品の販売促進などの効果も見られました。
(コロナ収束後の旅行意向)
コロナ収束後の旅行意向は10代から30代の若年層を中心に増加しました。今後の国内旅行の意向としては「オフシーズン」「近場」「密集しない観光地」「自家用車利用」等の新型コロナウイルスの感染予防を重視した傾向となっています。
●観光地の再生に向けた取組
観光庁では「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)」を開発し、2020年度に同指標の導入を行う5地区(北海道ニセコ町・三浦半島観光連絡協議会・岐阜県白川村・京都府京都市・沖縄県)を選定・支援し、国際団体が発表する「2020Sustainable Top 100 Destinations(世界の持続可能な観光地100選)」に全5地区が選ばれました。
*データ出所:「令和3年版観光白書について(概要版)」(観光庁/令和3年6月)
■中央区観光協会が取組む新たな試み
●中央区推奨土産品~Central Tokyo Premium Selection~
中央区で展開されている魅力的な土産品の新しいプログラムです。
土産品を「食部門」と「モノ部門」の2つの部門に設定し、応募と投票で各部門20商品ずつを決定しました。昨年10月から候補を募集、集まった商品の投票を12月から実施し投票の結果全40商品が決定いたしました。
「食部門」 |
1位:空也/空也もなか(10個入) 1,200円(税込) 2位:銀座スイス/銀座スイスのレトルトカレー 1,512円(税込) 3位:日本橋うさぎや中央通り店/どらやき 220円(税込) |
「モノ部門」 |
1位:梨園染 戸田屋商店/梨園染手ぬぐい「お江戸日本橋」 1,650円(税込) 2位:西勘本店/黒の爪切り標準型 1,000円(税込) 3位:岩井つづら店/小物入れつづら 8,250円(税込) |
【リンク】Central Tokyo Premium Selection専用ページ
●街歩きオンラインツアー(国内向けツアー・英語対応ツアー)
これまでシーン別に実施されてきた集合形式の「わくわくツアー」は中止となりましたが、地域の街歩きツアー発信事業(公益財団法人東京観光財団の補助事業)を活用し、新しい試みとして中央区内のオンライン街歩きツアーを今年12月に実施します(英語対応ツアーは年明け2月に実施)。
このツアーは有料で実施し参加者には事前に材料が送付され、当日のツアー行程にライブ通信で風呂敷包みつくりを体験できる講座が盛り込まれています。
■伝統をまもる「中央区写真コンクール」
●昨年は特別企画として実施
これまで実施してきた形態の「中央区観光写真コンクール」は、行事やイベントが実施されないため、昨年は残念ながら中止となりましたが、特別企画としての「みんなの思い出アルバム」を開催し、前回の東京オリンピックが開催された1964年当時の中央区の街並みなどの写真を一般公募しWEBサイトに掲載しました。
●今年のテーマは「街の魅力を再発見」
中央区観光写真コンクールは、中央区の素晴らしさを知ってもらうことを目的として実施しています。プロ・アマチュア問わず幅広い層の方が応募できるプログラムです。
今年は「街の魅力を再発見」をテーマに作品を募集します。
《応募概要》
○題材:
(1)第69回中央区観光商業まつり期間中の各種行事
(2)観光におすすめしたい神社・お寺、建造物、名所・旧跡など
(3)あまり知られていない隠れ家的スポット
(4)散歩やデートに最適な風景・街並み
(5)伝統的行事
(6)その他・観光スポット・ポストカードにふさわしい写真
○注意事項:著作権は中央区観光協会に帰属ほか
○応募方法:令和4年1月4日(火曜日)午後5時までにWEBサイトから申込
○賞:中央区観光協会会長賞・中央区長賞・特選・入選・中央区観光協会賞予定
■今後の展望
●「できることの継続」と「時代のニーズに対応した産業振興」
中央区観光協会では制約の多い環境ながら、今回新しいイベントを実施しますが、事業の実施で大切な理念としては「できることの継続」と考えています。
また、時代のニーズにマッチしたコミュニケーションとして、中央区推奨土産品ECサイトの開設運営(令和3年11月ごろ開設)、You tubeチャンネルの運営(【リンク】中央区にちゅ〜もく! Fun to travel in Tokyo!)、その他商店街レポートも公式WEBサイトで引き続き動画配信していく予定です。
~誰でも笑顔になれる中央区を目指して~
(文責:広報公益委員会)