今回は、京橋おとしより相談センター(京橋地区の地域包括支援センター)を訪問し、地域特性や今後の展望などについおはなしを伺って来た模様をお伝えします。

中央区には、地区ごとに5つのおとしより相談センター(京橋、日本橋、人形町、月島、勝どき)が設置されており、介護や高齢者の方の日常生活に関する様々な相談に対して、総合的な支援をおこなっています。

京橋おとしより相談センターは、事業所のある明石町のほか、京橋・銀座・築地などの地域を担当しています。吉田所長は、この地域で暮らしている高齢者の方々を通して、歴史のある街の文化を学ぶことができると仰っていました。

 

(京橋おとしより相談センター内の風景)

 


 

【ご協力頂いた方】

〇京橋おとしより相談センター 所長 吉田 千晴 様

【取材場所】
〇京橋おとしより相談センター(東京都中央区明石町1番6号)

【訪問日時】
〇令和4年5月31日(火)10:00~11:00

 

■京橋おとしより相談センターとは?

京橋おとしより相談センターは中央区にある5つのおとしより相談センターの一つです。おとしより相談センターとは、高齢者の方々が住みなれた地域で安心して生活をしていくため総合的な相談・支援を行う機関で、介護保険やひとり暮らしの不安など、さまざまな相談に対して、専門的な知識を持った社会福祉士、主任介護支援専門員、保健師、認知症地域支援推進員等が相談に応じます。

おとしより相談センターは、介護保険法で規定された地域包括支援センターのことを指し、中央区ではおとしより相談センターの名称を掲げています。

●京橋おとしより相談センターの概要

○住所:東京都中央区明石町1-6リハポート明石等複合施設1階

○電話番号:03-3545-1107 ○FAX番号:03-3545-1108

○夜間・休日の体制:24時間365日営業のコールセンターに電話を転送する

○開所日時: 毎週月曜日から土曜日(午前9時~18時まで)

○設置者:中央区(公益社団法人中央区医師会に運営委託)

○担当地区:京橋地区

【リンク】おとしより相談センターの紹介ページ(中央区webサイト)

 京橋おとしより相談センターの事業内容

・高齢者に関する総合的な相談支援。

・介護保険や区の福祉サービスの内容や利用方法を支援。

・認知症の介護方法や予防方法の情報を提供。

・福祉用具の利用方法や介護方法を指導・助言。

・出前の福祉講座や説明会を開催。

●京橋おとしより相談センターの活動実績(前年度一年間)

相談件数

10,908件

職員一人あたり相談件数

2,181.6件

担当区域の高齢者人口

6,428人

地域ケア会議開催件数

18件

その他の活動実績

・区民の方から依頼により出前講座や認知症サポーター養成講座の開催

・介護者家族交流会「サンサンサロン」の開催

・認知症カフェ「明石町カフェ」の開催

・認知症サポーター養成講座修了者の交流会「オレンジサロン」の開催

*出典:WAM-NET(介護サービス情報公表システム)

 

(おとしより相談センターのパンフレット)

 

■地域包括支援センターの現状

地域包括支援センターは、地域の高齢者の総合相談などを行い包括的に支援することを目的とし、地域包括ケア実現に向けた中核的な機関として市町村が設置しています。

現在、全国で5,351か所(ブランチ等を含め7,386か所)が設置されています。

*出典:厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課公表資料(令和3年4月末現在)

 

(厚生労働省「地域包括支援センターについて」案内資料)

 

■京橋地区の特徴と支援の課題

●基本データ

中央区の人口合計は172,438人であり、そのうち京橋地区では42,191人の方が暮らしています。また、中央区内の老年人口(65歳以上人口)は25,383人であり、高齢化率は14.72%となっています。この結果は、東京都全体の高齢化率(22.79%)よりもかなり低いものとなっています。

これは、近年の区内の再開発ブームにより他の地域からマンションなど転居する若年ファミリー層の増加による要因と考えられます。

*出典:中央区webサイト「中央区の人口・世帯数(令和4年5月1日現在)」/東京都webサイト「東京都の統計(令和4年1月現在)」

一方、京橋地区の高齢化率は、中央区全体より高い傾向が見られます。区内でも高齢者人口が多い地区と言えるため、相談支援を求める高齢者が多いと予想されます。

*出典:中央区保健医療福祉計画2020(令和2年3月発行)

●歴史ある街で暮らす人たちからの学び

銀座や築地など、全国的にも有名な地区を管轄するため、様々な背景を持った高齢者が暮らしています。一般的に、他の地域の地域包括支援センター寄せられる、ゴミ屋敷や精神疾患を抱えた独居高齢者に対する支援の要請なども少なくありませんが、地方から上京した方や、長年親族から離れて一人で暮らしてきた高齢者の方の生活背景には、多くの生き様が見られます。

●緊急時の介入が困難なセキュリティーの高いマンション

京橋地域では、再開発が進み立派なマンションが次々を建設されています。

マンション住まいの独居の異変に対して地域住民から支援要請が寄せられた場合に、緊急度が高い場合、現場介入するケースも出て来ますが、高精度のセキュリティシステムや、個人情報を取扱う管理体制(管理会社など)の状況理解に時間を要し、リスクを排除できなかった事例もありました。

この様な結果を回避するためには、おとしより相談センターと管理会社や所轄の警察・消防などと日頃から組織を超えて互いに声掛けがしやすい環境を作っておくことが大切だと言います。新しいマンションでは、連携体制は未整備なケースが多く、将来のリスク回避のためには、時間を掛けても関係づくりが特に重要です。

 

■今後の展望

●職員間の理念の共有

京橋おとしより相談センターに勤務する職員間では、吉田所長の声掛けの下に運営理念を共有しています。新たに職員を採用する場合には、医療や高齢福祉分野の専門職だけでなく、業界未経験者の方でも、理念を共有できる方を雇用しています。この職場文化の継続を目指します。

●世代間交流の推進

数多くのケースをマネジメントし、現状のフォローも多忙で大変な状況ですが、隣接地には明石小学校もあり、地域で暮らす子供たちや若年世代の方々との交流を増やしていきたいと考えています。

世代間交流の促進は、高齢者への活力を刺激する意味合いもありますが、若年世代に高齢者の生活を知ってもらい、地域力を高めていきたい狙いもあります。

 

(京橋おとしより相談センターのエントランス付近)

(京橋おとしより相談センターが入るリハポート明石等複合施設)

 

 

~誰でも笑顔になれる中央区を目指して~

 

(文責:広報公益委員会)