今回は、当支部入会時の支援業務などで日頃からお世話になっている東京都行政書士会中央支部を訪問して、お話を伺った際の模様をお伝えします。
行政書士の業務は広範囲であり、時代の流れと共に進化しています。
宅建業者に馴染みのある宅地建物取引業の免許申請のほか、外国人の在留資格認定申請や、最近は相続の前に作成する死後事務委任契約書の作成業務など、官公署に対する書類作成・申請代理業務から、生活者へのコンサルティングに至るまで幅広い役割を担っています。
【ご協力頂いた方】
○東京都行政書士会中央支部 支部長 藤原 文 様
○東京行政書士政治連盟中央支部 支部長 市岡 秀基 様
○東京都行政書士会中央支部 三上 貴子 様
【取材場所】
○東京都行政書士会中央支部事務所
【訪問日時】
○令和4年6月1日(水)14:00~15:30
■行政書士とは?
●高度情報化社会における行政手続きの専門家
行政書士とは、行政書士法に基づく国家資格で、官公署へ提出する申請書類の作成・提出手続代理などを行う専門職です。そのほか遺産分割協議書等の権利義務に関係する書類等の作成、図面や議事録等の事実証明に関する書類等の作成も行います。
行政書士は、国民の権利義務の確保と同時に、行政を含む公の利益の確保とをバランスよく遂行する公益性の高い業務を行っています。
【主な業務内容】
1.許認可業務:各種業務に係る許認可の取得及び登録申請を代理又は代行
2.会社設立:会社設立業務(会計記帳・決算書類作成、就業規則作成ほか)
3.外国人の入国・在留許可等:外国人の日本入国に係る申請の取次ほか
4.遺産相続関連:相続に関する相談、遺言書の作成、遺産分割協議書の作成及び相談
5.その他業務:中小企業支援(事業承継・M&A支援、補助金・助成金申請ほか)
*出典:日本行政書士会連合会webサイト、東京都行政書士会中央支部webサイト
●行政書士会の構成
所属 |
個人会員数 |
法人会員数 |
日本行政書士会連合会 |
50,472名 |
1,006 |
東京都行政書士会 |
7,422名 |
255 |
東京都行政書士会中央支部 |
401名 |
23 |
*出典:東京都行政書士会中央支部データを基に作成(令和4年4月現在)
●東京都行政書士会中央支部の概要
○住所:東京都中央区日本橋兜町9番5号717号室(MAC行政書士事務所内)
○電話/FAX番号:03-5643-7225 / FAX:03-5643-7224
○支部長:藤原 文 様
■行政書士の公益活動
各行政書士会では、所属する行政書士に対する教育・ブラッシュアップ研修等を通じ専門職としての技術研鑽を図るほか、法教育や地域における無料相談会などの公益活動も盛んに実施しています。
●日本行政書士会連合会での公益活動
(1)日本行政書士会連合会被災者相談センター福島事務所の運営
日本行政書士会連合会では、東日本大震災の発生した2011年の10月に、地震・津波・原発事故による被災者への生活相談等に応じるため、福島県郡山市に日本行政書士会連合会被災者相談センター(福島事務所)を開設し、電話による無料相談を実施しています。
【センターの概要】
○所在地:福島県郡山市堂前町10番10号
○相談時間:13:00~16:00毎週水曜日(祝祭日・年末年始休業)
○相談体制:対面相談・電話相談(予約制)
(2)ウクライナから避難された方々への在留支援
行政書士は、外国人の方々への在留手続きを通じ、適切な在留管理制度の実現に寄与してきた実績を踏まえ、避難民の方々の生活の安定を支援しています。
【事業概要】
○支援内容:ウクライナから避難された方々の在留資格の変更・更新に関する相談、手続きの依頼その他、生活支援の相談も対応
○無料相談窓口(電話番号):03-6822-2187
○メールアドレス:u-support@staff.gyosei.or.jp
○受付時間:10時~17時(平日のみ)
○開設期間:2022年4月12日~2023年3月31日まで(予定)
●東京都行政書士会での公益活動
東京都行政書士会では市民生活に役立つ公益活動を行っています。
その中の一つに「空き家対策」活動がありますが、これは「令和4年度 東京都空き家利活用等普及啓発・相談事業」の事業者として採択されており、東京都行政書士会内に空き家対策特別委員会を設置して、市民への相談事業を推進しています。
そのほかには、「法教育」として、都内の小学校にて出前講座を開講し、子供たちへのキャリア教育にも取組んでいます。
(1)無料相談会の開催
1.市民相談センターによる電話無料相談
📞03-5489-2411(時間:平日12:30~16:30)
2.行政書士ADRセンター東京での無料電話相談
(調停手続 「外国人」「自転車事故」「ペット」「敷金・原状回復」各分野)
3.外国人相談会
4.毎年10月の行政書士広報月間での都庁での無料相談会
5.10士業合同「暮らしと事業のよろず相談会」
6.空き家対策委員会での無料相談会、講演会
(2)法教育の実施
○小中高の各学校において、 学校の要望に沿った内容の法教育出前授業を実施。
○各支部での実施に東京会がサポー ト
<最近の法教育の分野>
○ネットトラブル・スマホの活用
○キャリア教育
○ペットボトルのラベルのひみつ
○図書館のきまり
○SDGs
○著作権教育
○成年年齢引き下げ
(3)行政への協力
1.都庁建設業課における相談員
2.2020東京オリンピック・パラリンピック翻訳、通訳のボランティア
3.マイナンバーカード普及促進事業代理申請やサポート
4.デジタル推進員
5.災害協定(罹災証明書の発行申請等)
6.広報誌「プエンテ」の発刊(年1回)
●東京都行政書士会中央支部での公益活動
東京都行政書士会中央支部では、地域実情と生活文化に配慮し、実践的な公益活動を行っています。
東京都行政書士会中央支部は、中央区内と島しょ部全域を管轄しており、最近では法教育出前授業を大島町(伊豆大島)で開催しました。また、中央区役所のまごころステーション(区役所1階)にて、毎月区内在住・在勤者を対象に無料相談会を開催しています。
1.中央区役所での無料相談会(毎月第三水曜日 13:00~16:00)
📞03-3546-9590【要予約】
2.街頭無料相談会(秋に実施)
3.市民セミナーの実施(区立日本橋図書館ホールで実施)
テーマ、遺言・成年後見
4.法教育出前授業(大島町中学校・高等学校 各1校実施)
【リンク】中央区報webサイト(「東京都行政書士会中央支部セミナー『遺言と成年後見 親子の終活ものがたり(令和3年10月23日実施分)』紹介ページ」
■中央区における活動の特徴と今後の展望
●他の業務分野と兼業の行政書士事務所が多い
中央は都市部であるため様々な分野の事業者が存在しますが、東京都行政書士会中央支部に所属する行政書士事務所の方も、他の分野の事業との兼業を行っていることが多いのが特徴です。
また、区民からの相談では「相続」「遺言」「成年後見」などについての内容が多く、これらの分野に関する公開セミナーを開催しています。
●中央支部デジタル計画と推進
東京都行政書士会では、情報デジタル化の推進とデジタルデバイドの解消を目指すため、令和3年にそれまでの「高度情報通信推進委員会(ICT委員会)」を組織改編し、「デジタル推進部」を常設の部門として新設しました。オンライン申請や電子証明書発行等の利用促進にて、相談者からのニーズに対してリアルタイムに応える環境を整備していきます。
東京都行政書士会中央支部でもデジタル化を推進していく予定です。会の活動としての情報伝達にSNSやZoomなどの活用を増やすことによって、所属する行政書士自身が、各自の実践の場でデジタルツールに慣れ親しむ環境を整備していく予定です。
~誰でも笑顔になれる中央区を目指して~
(文責:広報公益委員会)