東日本大震災から11年が経過し、被災地では地域福祉や要援護者への日常生活支援に主な活動が移行しています。

この様な状況ですが、宮城県社会福祉士会では、2019年に発生した台風19号の大規模災害の被災地支援を目的として組織された「宮城県災害派遣福祉チーム(DWAT)」の派遣・支援事業を現在も行っています。

この組織(DWAT)は、宮城県社会福祉士会をはじめ、宮城県・県社会福祉協議会など56団体で構成された介護・福祉専門職の多職種連携チームで、宮城県災害福祉広域支援ネットワーク協議会が事業を管掌しています。

今回は、宮城県社会福祉士会が取組んできた多職種でのチームケアの現状についてお話を伺ってきた際の模様をお伝えします。

(2019年に発生した台風19号による被害状況/国土交通省資料)

 


 

【ご協力頂いた方】

○一般社団法人宮城県社会福祉士会 

常務理事兼事務局長(地域福祉・災害対策委員会委員長)西澤 英之 様

【取材場所】

○名取りんくうタウン クリエイトふくし事務所ほか(宮城県名取市美田園6丁目9-25)

【訪問日時】

○令和4年12月5日(月)11:00~13:00

 

DWATとは?

●福祉専門職からなる他職種連携の支援チーム

DWATとは、「Disaster Welfare Assistance Team」の略で、災害発生にともない、避難所で生活する災害時要配慮者(高齢者や障がい者・子ども等)に対し、福祉支援を行う、民間の福祉専門職で構成されたチームのことです。

この宮城県DWATは宮城県災害福祉広域支援ネットワーク協議会が管掌しますが、事務局は社会福祉法人宮城県社会福祉協議会内に置かれており、宮城県社会福祉士会も創設当初からの構成メンバーとなっています。

●DWAT創設までの経緯

宮城県では、東日本大震災当時、福祉・介護専門職の派遣の仕組みがなく、高齢者などに対して福祉的な支援を効果的に実施できなかったという課題がありました。この様な経緯から、大規模災害が発生した時に自治体と福祉団体等が連携し、避難所等において福祉的な支援を行うための災害派遣福祉チーム(DWAT)の派遣などのネットワーク構築を進めてきました。

平成25年から 災害福祉広域ネットワークの構築に向けたセミナー等を実施

○平成29年7月 「宮城県災害福祉広域支援ネットワーク協議会」設立

(宮城県・宮城県社会福祉協議会・県内市町村・福祉関係団体等56団体が参加)

○平成31年2月 「宮城県災害福祉派遣チーム設置運営要領」制定

この要領に基づき、災害派遣福祉チーム(DWAT)への職員派遣について・宮城県・ネットワーク協議会・法人等の3者で協定締結。

*出典:「宮城県災害派遣福祉チーム(DWAT)」の派遣について(宮城県保健福祉部社会福祉課webサイト)

●2019年台風19号の大規模災害被災地支援活動からスタート

宮城県DWATは、2019年の大規模災害発生当時、甚大な被害を受けた地元自治体からの支援要請を受けて、旧鹿島台第二小学校避難所でチーム支援の活動を開始しました。

DWATでの支援活動は、11月11日(月)までの計17日間にわたり、終結後は大崎市鹿島台地区の社会福祉協議会職員や市職員の方に引き継がれました。

 

(2019年当時 旧鹿島台第二小学校避難所での支援の様子/宮城県社会福祉士会 資料)

 

現在の支援活動

宮城県でのDWATの支援活動開始から3年が経過しましたが、現在では被災地基礎自治体の地域力の向上等によりDWATの活動は、現場への専門職派遣以前の登録の専門職や団体への教育研修等が事業の主体となっています。

西澤さんは、DWAT創設から現地での支援活動の経験を踏まえ、これまでチームメンバーの育成と技術研鑽の支援をしてきましたが、現在も講師として専門職への支援を行っています。

このほか、宮城県災害福祉広域支援ネットワーク協議会では、県内でのDWAT派遣・養成研修以外にも、東北6県で研修会を開催し情報共有や専門職間でのコミュニケーション活動も実施しています。

 

(令和4年11月 宮城県DWAT養成研修の開催案内)

(令和4年9月 宮城県社会福祉士会主催「災害対応の備え研修」案内)

 

コロナ禍における宮城県社会福祉士会の支援活動

●電話相談窓口の運営

宮城県社会福祉士会では、現在のコロナ禍での市民・地域への支援活動として、新型コロナウイルス感染症に関する人権相談窓口の運営を行っています。

令和2年度は、窓口は宮城県が設置し、宮城県社会福祉士会が県から運営委託で行う事業で行っていましたが、翌年度以降は、宮城県と宮城県社会福祉士会との共同設置の形態で運営しています。

この事業では、新型コロナウイルス感染者やその関係者が差別や偏見・誹謗中傷などにさらされる市民からの相談に対応するため、専用の電話相談窓口を開設しています。

設置者(管掌)

宮城県(保健福祉部社会福祉課)及び宮城県社会福祉士会

名称

みやぎ新型コロナ人権相談ダイヤル

開設日

令和2年10月12日(月曜日)

相談受付時間

午前9時~午後5時(土日・祝日・年末年始を除く)

電話番号

090-1552-1477

対象者

宮城県内において新型コロナウイルス感染症に関する差別や誹謗中傷等の被害を受けている方及びその関係者など

実施主体

一般社団法人宮城県社会福祉士会

 ●一般社団法人宮城県社会福祉士会の概要

○本部住所:宮城県仙台市青葉区三条町10-19 PROP三条館

○TEL:022-233-0896 ○FAX:022-393-6296

○沿革:平成4年(宮城県社会福祉士会として発足)/平成20年12月一般社団法人化

○正会員数:631名(令和4年3月31日現在)※出典:日本社会福祉士会データ

○組織・委員会等:事務局/地域福祉・災害対策委員会/研修委員会/障害支援委員会/実習指導委員会/権利擁護センターぱあとなあ宮城/地域包括支援委員会/司法福祉員会/独立型社会福祉士委員会/情報発信部会/子ども家庭福祉部会/プラチナ会

【リンク】一般社団法人宮城県社会福祉士会ホームページ

 

東日本大震災の復興支援から日常生活支援への移行

東日本大震災の発生から11年が経過し、国・被災自治体での復興支援予算や組織体制の再編成等で、大規模災害における復興支援は、日常生活支援と共存する形へと変化してきました。

しかしながら、沿岸部の被災地では、自宅等の集団高台移転が完了したのが最近である地域も多く、市民生活の復興は今後の日常生活支援が大きな役割を担っているといえます。

●東日本大震災における被害状況

人的被害(宮城県全体)

・死者10,569人(直接死及び関連死合計)

・行方不明者1,215人

・負傷者4,145人

住宅被害

・全壊83,005棟

・半壊155,130棟

・一部破損224,202棟

・床下浸水7,796棟

非住宅被害

・26,796棟

(出典:宮城県復興・危機管理総務課/令和4年9月30日現在)

 応急仮設住宅(民間賃貸借上住宅分)物件所在市町村別入居状況

入居戸数

8戸

入居者数

12人

(出典:宮城県復興・危機管理部復興支援・伝承課/令和4年10月31日現在)

東日本大震災からの復旧・復興事業の進捗状況

公共土木施設の災害復旧事業の進捗状況

被災公共土木施設全体の 2,296箇所のうち、2,288箇所(全体の約99%)が完成

(出典:宮城県土木総務課/令和4年10月20日現在)

 県外避難者数について

避難先都道府県毎合計

【令和4年11月11日現在】合計72人

【令和4年4月11日現在】合計75人

(出典:宮城県復興支援・伝承震災復興支援班/令和4年現在)

 

文責:中央支部広報公益委員会