今回は、約二年ぶりに、一般社団法人中央区観光協会を訪れ、行動制限が緩和された環境における観光業界の変化や新たな施策、地域文化の再発見などについて、お話を伺った模様をお伝えします。
前回訪問した令和3年(2021年)当時は、GoToトラベル事業等の需要喚起策の推進によって、一時的に国内旅行需要が回復した背景もありましたが、度重なる感染拡大と緊急事態宣言発出等により再び減少となるなど、国内の観光業界にとっては厳しい状況でした。
また、「令和4年6月版観光白書」によると、2021年の訪日外国人旅行者数は25万人(前年比94.0%減)となっておりました。
一方、今年の5月8日から新型コロナウィルス感染症の感染症法上の位置付けが五類感染症に移行されたことによる入国規制緩和の影響から、インバウンド需要も急激な回復を見せています。
中央区内でも、昨年から地域活動においても行動制限を緩和し、お祭りや交流イベントが少しずつ復活されるなど、活性化の兆しが感じられるようになりました。
この様な環境のもと中央区観光協会では、伝統の再興と共に新しい視点で創られたアイデアや地域文化を再発見するプログラムの開発など、地域の観光資源を活かした様々な事業に取り組んでいます。
【ご協力頂いた方】
○一般社団法人中央区観光協会 事務局長 齊藤 進 様
○ 同 所 事務局次長 志賀谷 優 様
○ 同 所 観光ゼネラルプロデューサー 佐藤 英也 様
【取材場所】
○一般社団法人中央区観光協会事務局(東京都中央区銀座1-25-3 京橋プラザ3階)
【訪問日時】
○令和5年7月20日(木)AM10時00分~
■中央区観光協会とは?
一般社団法人中央区観光協会は、1959年(昭和34年)4月に任意団体として発足しました。
活動の理念には、「魅力の向上」「地域の活性化」「誇りと愛着をもてる街づくり」などを掲げ、中央区内にある豊富な資源を活かし、観光事業の振興に関る多くの事業を手掛けています。
活動原資は、趣旨に賛同する団体や個人会員からの会費と、中央区からの補助金等になります。また、2016年(平成28年)4月には、一般社団法人として新たな一歩を踏み出し、活動の幅を広げています。
●組織概要
○名称:一般社団法人中央区観光協会
○設立:平成28年4月1日(団体設立 昭和34年4月1日)
○所在:〒104-0061 中央区銀座1-25-3 京橋プラザ3階
○交通アクセス:東京メトロ有楽町線新富町駅 2番出口 徒歩5分/都営地下鉄浅草線宝町駅 A1出口 徒歩3分
○電話:03-6228-7907 ○FAX:03-6228-7908
○ホームページ:【リンク】中央区観光協会公式WEBサイト
○公式オンライン販売サイト:【リンク】「東京まんなかippinn堂」
●主な活動内容 *緊急事態措置等の影響により中止となったプログラムあり
区分 |
事業名 |
PR活動 |
観光ガイドマップの発行 |
中央区観光地図アプリ「中央区街歩きマップ」の配信(予定) |
|
観光協会WEBサイトの運営(SNS含む) |
|
公式オンライン販売サイト「東京まんなかippin堂」の運営 |
|
観光協会ニュースの発行 |
|
中央区観光情報センターの運営 |
|
イベント実施 |
中央区観光写真コンクールの実施 |
中央区観光検定の実施 |
|
中央区推奨土産品の選定 |
|
ツーリズム |
市場橋駐車場の運営 |
中央区「わくわくツアー」の実施 |
|
観光協会特派員の活動 |
|
観光ボランティアガイドの紹介・育成 |
|
お江戸満喫まち歩き(旅行会社向け) |
|
オリジナル商品の販売 |
オリジナルポストカードの販売 |
オリジナル風呂敷「千社札ふろしき」および「名刺入れ」「ブックカバー」等の販売 |
|
オリジナル手ぬぐい「ACROSS・CLOTH」の販売 |
|
江戸文字ぽち袋の販売 |
|
東京くみひも拍子木の販売 |
|
その他地元企業や店舗と協同で開発したオリジナルグッズの販売 など |
■観光業の現状と動向
●日本の観光動向(訪日外国人旅行および日本人国内旅行)
「令和5年版観光白書(案・概要版)」によると、2022年の訪日外国人旅行者数は383万人(コロナ禍前の2019年対比87.9%減)となりました。ただし、外国人観光客の受入が最も厳しかった2021年(25万人)対比では、15倍超となっており増加傾向に転じています。
また、行動制限が緩和された今年のゴールデンウイーク後の数値を反映した「訪日外客数(2023年5月推計値)*」では、5月の訪⽇外客数回復率が前月値を上回り、2019年同月比68.5%の1,898,900人となりました。*独⽴⾏政法⼈国際観光振興機構報道発表資料(2023年6月21⽇)
一方同白書によると、同年の日本人の国内宿泊旅行延べ人数は2億3,247万人(前年比64.0%増)、日帰り旅行延べ人数は1億8,539万人(前年比46.6%増)となりました。
その他、国内旅行消費額でみると、昨年の日本人国内旅行消費額は18.7兆円(前年比98.4%増)となり、外国人旅行者数の回復に先行して国内旅行は、既にコロナ禍における数値から順当に回復していることが窺えます。
●「観光立国推進基本計画」を閣議決定~持続可能な形での観光立国の復活に向けて~
観光立国推進基本法(平成18年法律第117号)の規定に基づき、観光立国の実現に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、令和5年度からの新たな「観光立国推進基本計画」が閣議決定されました。
同計画では、持続可能な形での観光立国の復活に向けて、観光⽴国の復活に向けて、観光地・ 観光産業について持続可能な形で「稼ぐ⼒」を強化し、地⽅誘客や消費拡大を促進していくため、1.持続可能な観光地域づくり戦略、2.インバウンド回復戦略、3.国内交流拡大戦略、以上3つの柱のもと目標達成に向けた施策を実施していく予定です。
■中央区観光協会が取組む新たな試み
●中央区の町名千社札をカプセルトイ(街ガチャⓇ)で販売開始!(第1弾13町名)
中央区観光協会(中央区銀座)は、8月8日(火)から区内の町名にちなんだ図柄を“千社札”デザインにしたキーホルダーをカプセルトイとして新たに販売します。
江戸らしい「三十七町千社札」をデザインとして起用することで、来訪者(特に訪日外国人)の土産としての活用や住んでいる地域への愛着を育み、地域を活性化することを目的として企画しました。まずは全37町のうち13町を販売いたします。
●取扱い・商品概要
設置場所 下記参照 料 金 1回300円 主な仕様 【キーホルダー】 サイズ:高さ58㎜、幅22㎜、厚さ3㎜ 素 材:木材のチップを混ぜ込んだMDF素材(環境素材) 【カプセル】 環境にやさしい「AMバイオカプセルⓇ」 第一弾町名 八重洲、京橋、銀座、新富、築地、日本橋室町、日本橋人形町、日本橋箱崎町、東日本橋、日本橋浜町、日本橋、佃、月島 以上13町 設置予定場所(順不同) ① YANMAR TOKYO(八重洲) ② 中央区観光情報センター(京橋) ③ JTB銀座店(銀座) ④ 日本橋観光案内所(日本橋) ⑤ 日本橋案内所(日本橋室町) ⑥ 東京シティエアターミナル(日本橋箱崎町) ⑦ 明治座(日本橋浜町) ⑧ 小津和紙(日本橋本町) ⑨ ホテルかずさや(日本橋本町) ⑩ 月島もんじゃ振興会協同組合(月島) |
■恒例まち歩き『中央区わくわくツアー』
●体験型ツアーもある人気のプログラム
中央区観光協会の人気プログラムの一つには、区内の魅力をもっと多くの方々に知ってもらいたいという理念で実施している恒例のまち歩きイベント「中央区わくわくツアー」があります。このところのコロナ禍でも、人数制限などの安全対策のもと継続されており、毎回抽選になるなど、人気のプログラムとなっております。
中央区観光協会の観光おもてなしスタッフ(ツアーガイド)の方や、連携する区内のボランティア団体(中央区文化財サポーター協会)所属のツアーガイドの皆さんが引率し、約2時間の行程で中央区内の産業や歴史的文化財・名所を巡るまち歩きツアーです。
「産業コース」や「まち歩き産業コース」では、モノづくり体験もできるプログラムなどもあります。
《中央区わくわくツアー概要》
○開催期間:前期 令和5年7月12日~9月30日、後期10月2日~12月14日(予定)
○ツアー内容:老舗や企業に訪問しお話を伺ったり、地元の人しか知らない歴史的スポットや文化財などを巡れる、3つの「文化コース」「産業コース」「まち歩き産業コース」からなる全16コース(前期),20コース(後期)
○定員:10名
○参加費:700円(1名)
○申込方法:中央区観光協会専用webフォームから参加申込(応募多数の場合は抽選)
○ツアーガイド:中央区観光協会観光おもてなしスタッフ(産業コース・まち歩き産業コース)、中央区文化財サポーター協会(文化コース)
【リンク】中央区観光協会公式WEBサイトわくわくツアー案内ページ
■課題と今後の展望
●「オーバーツーリズム」への対策
本格的な制限解除の中、観光地では全国的なオーバーツーリズム(観光地での許容量超過)が問題となっておりますが、銀座・築地など有名観光地のある中央区においても、同様の問題を抱えております。自治体・商店街・観光協会などが協業して、問題解決に向けて今後も取り組んでいくことになります。
●伝統の継承とチャレンジ
「中央区推奨土産品~Central Tokyo Premium Selection~」を選定します。これは、コロナ禍に実施したイベントですが、自薦他薦問わず中央区を代表する推奨土産品を公募するイベントで、地元の銘品・逸品に多くの注目が集まりました。
また、中央区観光協会認定の「観光協会特派員」が公式ブログなどで情報発信していますが、これに加え今後は、インバウンド需要の増加を見据えた中でグローバルに情報発信することにも、一層力をいれていく予定です。
~誰でも笑顔になれる中央区を目指して~
(文責:広報公益委員会)