今回は、区内の高齢者施設で、傾聴ボランティア活動を長年継続している「傾聴ボランティアグループうさぎの会」の活動現場を訪れた模様をお伝えします。
うさぎの会は、中央区社協の登録ボランティア団体として、主に区内の高齢者施設などを拠点として、長年地元の方々と傾聴を通じて、様々交流を育んできました。
うさぎの会は、中央区社協が主催する傾聴ボランティア養成講座を修了した第一期生によって結成されました。
会員の皆さんは、施設等の利用者さんとの個別的な傾聴活動だけでなく、日ごろから傾聴ボランティアの啓発活動にも取り組んでいます。

(訪問先施設に隣接する湊公園から望む隅田川の風景)
【ご協力頂いた方】
○傾聴ボランティアグループうさぎの会
副会長 會澤 一成 様
【取材場所】
○優っくり村グループホーム中央湊ほか(東京都中央区湊2-16-23 パークシティ中央湊ザレジデンス 1~4階)
【取材日時】
○令和7年7月9日(水)14時00分~15時00分
■傾聴とは?
●聴く聴く側の3要素「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」
厚生労働省による定義では、「積極的傾聴(Active Listening)」を提唱した、米国の心理学者でカウンセリングの大家であるカール・ロジャーズ(Carl Rogers)による事例を用いて解説しています。
ロジャーズは、自らがカウンセリングを行った多くの事例(クライエント)を分析し、カウンセリングが有効であった事例に共通していた、聴く側の3要素として「共感的理解」、「無条件の肯定的関心」、「自己一致」をあげ、これらの人間尊重の態度に基づくカウンセリングを提唱しました。
ロジャーズの3原則は、
1.共感的理解 (empathy, empathic understanding)
聴き手が相手の話を聴くときに、相手の立場になって相手の気持ちに共感しながら聴くこと。
2.無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)
相手の話の内容が、たとえ反社会的な内容であっても、初めから否定することなく、なぜそのようなことを考えるようになったのか関心を持って聴くこと。
3.自己一致 (congruence)
聴く側も自分の気持ちを大切にし、もし相手の話の内容にわからないところがあれば、そのままにせず聴きなおして内容を確かめ、相手に対しても自分に対しても真摯な態度で聴くこと。
以上と説明されています。
※出展:厚生労働省ウェブサイト「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」
■傾聴ボランティアグループうさぎの会の概要
●養成講座を修了した第一期生によって結成
前述の通り、うさぎの会は、養成講座の第一期卒業生の方々によって、平成19年に結成されました。
うさぎの会の名称は、うさぎの長い耳をアンテナのようにして「どんな話も逃さず受け止めようとする姿勢」と「利用者に寄り添うやさしさ」を表現したいとの想いから名づけられました。
●うさぎの会団体概要
○名称:傾聴ボランティアグループうさぎの会(中央区社協ボランティアセンター登録団体)
○創立:平成19年4月(2007年)
○会長:栗原 秀次 様
○活動拠点:区内高齢者複合施設他(優っくり村中央湊、ドーミー月島駅前、グループホーム人形町、勝どきデイルーム・はまるーむ「おとなりカフェ」など)
○活動日時:高齢者施設:平日午後
おとなりカフェ:平日、土、日午後の開催日
■当日の模様
今回は、優っくり村中央湊の拠点への訪問となりました。
優っくり村中央湊は、社会福祉法人奉友会が運営する、高齢者施設(複合型介護施設)です。
1階には施設エントランス・事務室・地域交流スペースがあり、上階には小規模多機能型居宅介護の事業所や、グループホームがある、複合型施設となっています。

(いつも開催されているという「即席スマホ教室」)

(明るいリビングからは墨田川が一望できます)

(様々な地域活動団体が多世代を対象としたイベントを開催する1階にある交流スペース)
■課題と今後の展望
●コロナ禍における活動の変化
うさぎの会では、これまで区内の高齢者施設(複合型介護施設)を活動拠点としてきましたが、コロナ禍では、その影響から活動が一変しました。
行動制限が解除された現在では、高齢者施設に加え、多世代が交流する地域サロンや、一人暮らしの高齢者への訪問傾聴活動にも取り組んでいます。
●活動の継続と地域イベントへの出展
現在でも、中央区社協が主催する傾聴ボランティア養成講座を修了した方が、新たにうさぎの会へ参加し、ボランティア活動を実践していく流れが継続しており、人材確保が困難なボランティア団体が多い中、うさぎの会では、一定の好循環が保たれています。
今後は、これまで通り、地域のイベント(ブーケまつり、健康福祉まつりなど)への出展し、傾聴ボランティアの啓発活動も積極的に継続していく計画です。
~誰でも笑顔になれる中央区を目指して~
文責:中央支部広報公益委員会