家じまいの経験から、人の想いに寄り添う不動産業を

社名 株式会社千織不動産
代表 加納千織さん
所属支部 世田谷支部
加入年 2024年

東京都世田谷区祖師谷にオフィスを構える「株式会社千織不動産」。

代表の加納千織(かのう ちおり)さんは、会計事務所での税務会計業務を経て、2024年に宅地建物取引士の資格を取得し独立しました。

会員歴はまだ1年ほど(取材時)ですが、全日本不動産協会の研修やネットワークを活用しながら、着実に信頼を築いています。

自身の「実家じまい」の経験をきっかけに、不動産を“手続き”ではなく「家族の想いを未来につなぐ仕事」と捉え、地域密着で活動を続けています。

家族の経験が導いた不動産業への道

――不動産業を選んだきっかけを教えてください。

自分が実家じまいを経験した際、誰に相談すればよいのか分からず大変悩みました。

相続や片付け、売却は単なる手続きではなく、家族の想いや歴史と向き合う作業です。

この経験から、「同じ思いをしている人の力になりたい」と強く感じました。自分の経験が誰かの役に立つならと考え、不動産業を選んだんです。

――開業前に不安だったことはありますか?また、それをどのように克服されましたか?

不動産業界でのキャリアが浅く、「果たして自分にできるのか」と不安もありました。

ですが、先輩経営者や士業の先生方が親身に相談に乗ってくださることも多く、人とのご縁に支えられながら仕事を続けるうちに、自然と不安はなくなっていきました。

――独立開業にあたり、どのような準備をされましたか?

宅地建物取引士の資格取得や宅建業免許の申請などの基本的な準備を整え、実家の税理士事務所で得た経験を活かして相続・税金に関する知識の整理を行いました。

また、事業計画や資金計画を策定し、小規模事業者持続化補助金を利用しました。

「実家じまい・家じまい」を核とした事業の方向性を明確にして開業を迎えました。

信頼できる環境で成長を支える全日ネットワーク

千織不動産

――全日本不動産協会を選んだ決め手は何でしたか?

開業相談をした経営者の方が全日に所属しており、信頼できる方からのご縁が大きなきっかけでした。

さらに、日頃から相談していた地域の方も全日会員だったため、迷わず入会を決めました。

安心して相談できる環境があることが、私にとって何よりの決め手でした。

――入会して良かったと感じる点を教えてください。

研修や支部活動を通じて信頼できる先輩方とつながりができたことです。開業当初の不安を相談できる環境があり、ネットワークの心強さを実感しました。

最近は役員を拝命し、支部活動にも関わるようになりました。業界の発展に貢献できることを嬉しく思っています。

――特に役立ったサポートやサービスはありますか?

全日の研修やセミナーでは、法改正や実務知識を学べる点が大きな助けになっています。

不動産取引は法律や制度の影響を受けやすいため、常に最新情報をもとに提案できることが、お客様の安心につながります。

また「ラビーネット」の契約書式システムは非常に便利で、安心して使える書類をスムーズに作成できる点も支えになっています。

地域の業者さんとのつながりも広がり、実際の案件で協力し合える関係を築けたことは大きな財産です。

――役員、他会員との交流で印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

協会や会員のネットワークは、日々の業務で大きな支えになっています。

個人で活動していると判断に迷う場面も、先輩方に相談したり最新情報を共有できる環境があることで安心して取り組めます。

最近は役員としての活動にも関わるようになり、自分自身も情報発信やつながりづくりに貢献できることを嬉しく感じています。

印象に残っているのは、不動産実務で判断に迷う案件を担当した際のことです。

ある会合でご一緒した支部の役員である社長さんからアドバイスをいただき、実務に大変役立ちました。

経験豊富な先輩方から直接学べる機会があることは心強く、協会に所属していて良かったと実感した出来事でした。

支部での活動は、お客様や地域の方々、金融機関など取引先からの信頼につながっていると感じています。

役員として協会の活動に関わることで、外部の方からも「しっかりと業界に根ざして活動している」という安心感を持っていただけるようになりました。

弊社に対する信頼が厚くなることが業務に役立っていると実感しています。

――開業後、特に印象に残っている出来事やエピソードを教えてください。

ご高齢のお母様の住み替えを検討されていたご家族のサポートが印象に残っています。

相続や売却のご相談から始まり、ケア付きマンションでの新生活スタートまで長期に寄り添いました。

お客様から「長い時間関わるから、女性のあなたでよかった」と言っていただけたことは大きな励みとなり、今も仕事の原点になっています。

――不動産業界で働くうえで大切にしている信念は何ですか?

不動産は動く金額が大きいからこそ、誠実さと責任感を持つことが欠かせません。

お客様がお住まいになっていた不動産は単なる資産ではなく、ご家族の思い出や歴史が刻まれた大切な場所です。

女性ならではの共感力でその想いを受け止め、安心して次の一歩を踏み出していただけるように寄り添うことを信念としています。

一つひとつの出会いを大切に——印象に残る取引の数々

――達成感を感じた事例を教えてください。

「売ってから買う」という難易度の高い取引です。

居住中の家を売却し、その資金で新居を購入する案件で、購入エリアも広く、ローンを使わない条件でした。

売主様に引渡し前の家財搬入を承諾いただくなど調整を重ね、無事にご希望通りのお引越しを実現。お客様の笑顔に触れた瞬間、すべての苦労が報われました。

――困難な局面を乗り越えた経験は?

擁壁のある土地で行政協議を経て面積が確定する難案件を担当しました。

確定測量後に価格変更の可能性もありましたが、地元業者さんと連携しながら慎重に進行。

結果的にお客様の希望を叶えられ、開業間もない自分でも支えがあれば難題を乗り越えられると実感しました。

「女性であること」が強みになる仕事

――女性として不動産業界で働く中で感じる強みはありますか?

家庭で実際に不動産を扱うのは女性が多いと感じています。

私自身も女性であることで「話しやすい」「共感してもらえる」と言っていただけることが多く、安心して相談いただける点が強みになっています。

――お客様との関係構築における女性ならではのアプローチは?

結婚・子育て・介護など様々なライフイベントを経験してきたことで、女性のお客様の悩みに共感しながら寄り添えるのは女性ならではの強みだと思います。

不動産の取引は生活や家族と深く関わるからこそ、気持ちに共鳴しながら支えることを心がけています。

顧客との信頼関係で大切にしているのは、誠実さと透明性です。不動産は金額が大きく人生に深く関わるため、正しい情報を丁寧にお伝えすることが大切だと思います。

また、不動産は思い出が詰まった大切な場所でもあるので、お客様の想いを一つひとつ汲み取り、きめ細やかに寄り添いながら進めることを信条としています。

――業界で女性が活躍するために必要なことは?

柔軟な働き方や相談し合えるネットワークの整備だと思います。子育てや介護などのライフイベントを経験する女性が多いからこそ、安心してキャリアを続けられる環境が欠かせません。

共感力や丁寧さが評価される風土が広がれば、女性がもっと活躍できると感じます。

仕事と生活の調和、そして未来への展望

――仕事と私生活のバランスはどのように取られていますか?

開業当初は休みなく働き続けてしまいましたが、今は意識的にバランスを取るようにしています。

ジムで汗を流したり、出張ついでに小旅行を楽しんだりと、リフレッシュの時間を大切にしています。

「休める時は全力で休む!」これが私のバランス術です。

――今後のキャリアやビジョンについて教えてください。

母であり妻であり娘でもある――そのすべての経験が今の仕事に生きています。

息子が大学生になり、子育てが一段落した今は、女性の視点を活かしながら自由な働き方を模索しています。

母の介護と向き合いつつ、これまでできなかった学びや趣味にも挑戦したいです。

そうした経験を、今後の雇用や働き方づくりにも反映していきたいと思っています。

今後は、高齢社会においてますます増える「家じまい」や「空き家問題」への対応に力を入れていきたいと考えています。

不動産を単なる資産として扱うのではなく、その家に込められた想いを受け止め、次につなげることが私の役割です。

地域に根ざした活動を続けながら、安心してご相談いただける存在として、弊社としても挑戦を重ねていきたいと思っています。

女性が不動産業で成功するために必要な心構えは「共感力」

――これから不動産業に参入したい女性へのアドバイスをお願いします。

女性ならではの共感力やきめ細やかさは、この仕事の大きな強みです。

不安があっても、仲間やネットワークの力を借りながら進めば必ず道は開けます。自分の強みを信じて、ぜひ挑戦してほしいと思います。

自分のスタイルや価値観を軸に、粘り強く取り組む覚悟が大切です。

先輩から知恵を学び、自分が役立てるときは惜しまず力を提供する。

仲間と励まし合い、支え合える関係を築ければ、どんな困難にも立ち向かえると思います。

入会専用フリーダイヤル 入会専用フリーダイヤル