金融×建築の知識を活かし、不動産×地方創生で地方の新しい価値を創る

| 社名 | Tellus-Torch株式会社 |
|---|---|
| 代表 | 畠山 秀徳さん |
| 所属支部 | 城東第二支部 |
| 加入年 | 2024年 |
Tellus-Torch代表取締役 畠山 秀徳さん(城東第二支部)

東京都江東区猿江にオフィスを構えるTellus-Torch (テルストーチ )株式会社は、2024年2月に設立し、同年5月に全日本不動産協会(以下、全日)東京都本部へ入会した不動産会社です。
代表取締役の畠山秀徳(はたけやま しゅうとく)さんは、早稲田大学大学院建築学科を修了後、野村證券株式会社 グローバル・マーケッツ部門と投資銀行部門でキャリアを積み、不動産会社勤務を経て独立。
宅地建物取引士と管工事施工管理技士の資格を持ち、金融と建築、そして不動産の知識を組み合わせた付加価値の高いサービスを提供しています。
「社会やお客様に真に役立つ会社づくりをしたい」
――証券会社から不動産業界への転身、その後の独立を考えたきっかけを教えてください。
証券会社での勤務経験を通じて、ビジネスの本質は人と人とのつながりにあると学びました。より一層、人の生活や人生に密接な関わりがつくれる業界を志し、不動産会社へ転職したんです。
実は、個人で会社を設立して金融の仕事を請け負うことは、法律や資本金などの観点からもかなりハードルが高いですし、証券会社を出たところで何か手に職があるわけでもないんですね。
そう考えたときに、「大学院まで学んだ建築の知識を活かせないのはもったいないのでは」という意識がどこかにありました。
また、家族が経営している建築設備系の会社と設計施工の会社をちょっと手伝っていたことも転職に影響しています。
不動産会社で働きはじめたときは、それまでとは違う商習慣に驚くばかりでした。
売買の判断に重要な事項や条件についても、口頭で簡易的に済ませたり、酷いときは省略したりして、書類に残さないケースが非常に多いことや、データに残さず、紙ベースだけで書類を管理しているので、取引を控えているのに見つからなかったり、従業員がパパパっと作っちゃったり……なんてこともしょっちゅうでした。
重要なことでもお客様にキチンと説明しておらず、「この内容でよろしいですか」と確認を取ったら「いや、聞いてません」というトラブルも多発していて。
加えて、暮らしに身近な存在である不動産について、あまりにも知らないお客様が多いことにも驚きました。
こういった背景から、「お客様や社会に真に役立つ会社を作ろう」という想いが強くなり、独立を決意しました。
お客様の人生における重要な決断に関わる不動産の仕事だからこそ、誠実さと透明性をもってサービスを提供する企業が社会には必要だと信じています。
――これまでのご経験は、御社のサービスにどのように活用されているのでしょうか。

証券会社で取り扱う金融商品は、土地や家屋などと異なり、形として存在しないものです。そのため、お客様には当然のように価格の根拠となる情報を示しつつ、お金の動きを含めて総合的な提案をしていました。
前職でのそのような提案のやり方が今の仕事にとても活きています。
「現状をしっかりとヒアリングする事で課題をあぶり出し、解決する糸口を見出し、各課題に合う適切なソリューションを合理的な分析を元に、広域的且つ将来的な視点と併せて提示する。」
さまざまな不動産会社を見てきた中で、そうした提案をしている会社はほとんどないのではないかと思います。
また、前職での人脈もフル活用しています。
――独立されたときに心がけたことや、集客で工夫されたことについて教えてください。
初期の集客は、BtoB、BtoC、CtoCに分けて綿密に計画を練り、BtoBでは売主側・買主側・仲介業者それぞれに数千社を訪問し各社の強みやクライテリアをデータ化しました。
一方、個人顧客の獲得では大手企業の知名度には勝てないと考え、「紹介が紹介を呼ぶ」仕組みづくりに注力しました。
そこで、あえて不動産以外の業種にアプローチしたんです。不動産のことで困っている他業種かつ富裕層は多いのではないかと。
そういう会社はお客さんから「物件売却で悩んでいる」という話を聞いても、専門外なので対応できずにいるのではと考えたんです。
そこで「不動産にお悩みの方や売却を考えてる方がいたら紹介してください」とお願いして、個人顧客につなげていただきました。
富裕層の方々は、きちんとした紹介を経て信頼関係が築けると、長期的にこちらを信頼していただけます。
富裕層のコミュニティでは紹介に責任が伴うため、100%信用できる人しか紹介しないという文化があるんです。
ご紹介いただいた全ての方々に誠実に対応した結果、「畠山さんなら信用できる」と、お客様から別の方をご紹介いただく、紹介の連鎖が起きました。
顧客基盤はほぼゼロから構築しましたが、私自身の信用で関係を築く必要があったので、こうした方法を選んだんです。
――独立にあたって、どのような準備をされたのでしょうか。
「顧客第一主義を貫き、不動産業を通じて、地域そして社会に新たな価値を創出し、地方創生、ひいては日本経済の発展に貢献すること」というのが弊社のビジョンです。
これを軸に、事業計画や資金計画、相乗効果拡大に向けた緻密な行動計画を立てて、各業種における市場分析調査を行いました。
ビジョンにもある「地方創生」に関しては、土地の価格が比較的低い場所の不動産や建物を購入して、建築デザインと融合させながら、投資の観点も組み込めるような仕組みを作りたいと考えています。
地方には、特産品や美しい景観など、たくさんの魅力があります。
そうした強みを活かして、地域の再生に貢献できないかと、さまざまな取り組みを進めているところです。
長い歴史と人の存在、手厚いサポートが決め手に
――全日を選んだ理由をお聞かせください。
私が全日を選んだ理由は、大きく3つあります。
第一に、全日は業界最古の不動産団体であり、長い歴史を有していることです。
歴史があるということは、豊富な知見が蓄積されている証でもあります。私は、過去の事象の変遷から現在があり、未来へとつながっていくものだと信じています。
第二に、「人」の存在です。ビジネスは人と人とのつながりで成り立つものだと理解し、ご縁を大切にしています。
幸いにもご縁に恵まれ、当協会をご紹介いただいたことが入会のきっかけとなりました。
「会員数の多い他の協会の方が人脈拡大に有利だ」という声もありましたが、歴史を重ねた当協会には、比較的少数精鋭ながらも「濃縮された宝庫」といえるつながりがあると感じました。
第三に、情報発信や研修体制の充実です。ほぼ未経験から独立したため、実務研修の開催や契約書の作成などの幅広いサポートが整っていることは大きな魅力でした。
自身を磨き続けることがお客様の満足度につながると確信しています。
――入会初期に特に役立った全日のサポートや研修はありますか?
定期セミナーや研修、契約書作成や各書面の文言のアドバイス提供、法令改正及び不動産に関する動向の情報発信など、全日が提供するサポートメニューのほとんどが役立ちました。
独立したての頃、未経験だった重要事項説明に初めて臨む際にラビーネットを見ましたら、説明が必要な箇所が丁寧に解説してありました。
契約書類作成サポートも本当にありがたかったですし、もちろん今でも大助かりです。
――全日に対するイメージは、入会前後で変化はありましたか?
入会前は、正直どんなサポートがあるのか、どういう人がいて、どんな関わり方をするのか全く知りませんでした。
しかし、イベントや研修へ参加し、手厚いサポートを実感している今では、全日へのイメージは良い方に大きく変わりました。
多くの協会員の方とお会いした際、不明な点を親切に教えていただき、新参者だった当時の私にとっては非常に助けられました。
「利他」を大切に、お客様ごとに異なる最適解をご提案
――お客様との関わりの中で、大切にしていることは何でしょうか。
「利他」を大切にしつつ、お客様や取引先の最適解を重視していて、不動産取引の不透明さをなくし、分かりやすく誠実な情報提供を心がけています。
――開業後に印象に残った出来事を教えてください。
開業前に不安だったのは、「私の考えや行動、信念が、お客様の幸福につながるものなのか、誰かに紹介したいほど満足だと感じてもらえるのか」に尽きます。
不動産の業務や取引の際などにお渡しする書類は、一般のお客様に分かりづらい部分がたくさんあります。
お客様にご理解いただくため、「とにかく分かりやすくする」ことを心がけ、日々試行錯誤しました。
結果、「こんな分かりやすい資料は見たことがない」とか、「畠山さんだったら信頼できる」とか、「知り合いに良い不動産屋がいるって紹介したよ」などなど、お客様から喜びや感謝のお言葉を直接頂戴するようになりました。
中にはお手紙をいただいた方までいらっしゃって、「自分の考えや行動はやっぱり間違ってなかった」と、救われる思いでした。
――今までで、最もやりがいを感じた案件についてお聞かせください。

知人より相談があり、「不動産について悩んでいる人がいる」と、ある方をご紹介いただきました。
聞けば、相続絡みの都心の一等地をどうしようか、6年もの間悩まれている状態が続いているとのことでした。
場所が場所なだけに、いろんな不動産業者がその方に寄ってきていたようです。
いろんなことをいろんな人に言われて混乱していらっしゃったので、まずは情報整理をし、抱えてる課題を書面にして、金融資産の部分の活用も含めて幅広くご提案をしました。
すると、「何かちゃんと理解できたの初めて。あなたにお願いします」と正式に依頼を受けました。
必要に応じて専門の方へのご協力を仰いだことで、希望価格で売却することで話がまとまりました。それも1ヶ月足らずで決着がついたんです。
後日、「畠山さんと出会えたことで、長い間悩みの種となっていた不動産の売却が実現した。ありがとう」と感謝のお言葉をいただきました。
他業種にいたからこそ、活かせる経験や視点がきっとある。突き進む信念と強い心を持って前へ
――異業種からの参入で苦労も多かったと察しますが、どのように乗り越えたのでしょうか。
参入当初は不動産に関する経験が浅いこともあり、実務面において細かな不明な点が多く存在したこと、先ほども話した商習慣の違いに慣れることは本当に大変でした。
しかし、全日で提供しているさまざまなサポートを活用することで、乗り越えることができました。
契約書や書式のフォーマットが整っていたので業務効率も改善できました。
――畠山さんは現在、所属支部で役員をされていらっしゃいます。今後、挑戦したいことがあれば教えてください。
今後は金融と建築の知識をさらに活かし、地方創生や街づくりに貢献できる不動産事業を展開したいと考えています。
製造業だったら工場を建てたいとか、そのための用地を確保したいとか、不動産って、どんな業種でも必ずつながっている業種だと思うんですよ。
今、証券会社時代の伝手も使って、いろんな上場企業の方々と話をしていて、不動産を通じて他業種とのマッチングから派生する新たなビジネス創出を検討しています。
全日会委員としては、現在は城東第二支部の委員会に所属しており、研修の運営や、区役所との連携業務に携わっています。
協会のネットワークを通じて、自分が開業時に感じた不安や悩みを解消するお手伝いを積極的に行い、異業種から参入する方をサポートする活動にも関わっていきたいです。
地域に密着した運営を行うことで、不動産業界だけではなく、日本全体の発展にも貢献できればと考えています。
――異業種から独立を目指す人へ、アドバイスや心構えがあれば教えてください。
他業種にいたときの知見をフル活用することをおすすめします。
他業種で得た視点、経験、スキルは、不動産業界においても十分に活かせるものであると感じています。
もとの業種で得たものを全部持ってくるぐらいの気持ちでないと、単なる不動産屋の不動産業で留まってしまうのがもったいない気がします。
あとは周りが何と言おうと、突き進む信念と強い心を持っていればきっと大丈夫です。是非、諦めずに不動産業界の発展に寄与してほしいと願っています。
――全日に入会を検討している方へメッセージをお願いします。
不動産業で成功するためには、常に利他主義であり続けること。
驕り高ぶることなく、ひたむきに行動を続けること。そして、周りに感謝することです。
全日には幅広いサポート体制が整っております。
私自身がそうであったように、未経験の方でも安心して不動産業界で存分に力を発揮できるのではと思います。
是非、活用してみてください。





